
奥州最北端の津軽で日展が開催されています。しかし、今週いっぱいで終了のようです。是非行くつもりでした。
確認したいところは、作者の発想、芸術性、文化性、品性、独自性等の感性、そして、それらを表現するための技や気力、そして、作業の丁寧(ていねい)さ等です。
これまで、上野に何度か行っていますが、その度ごとに感激させられてきました。しかし、今日も、納品に迫られ、明日に延期することにします。
さて、我が工房では、作業の合間に、今日も試作です。実は、ここ数日、「車」をテーマにしています。白紙状態からのスタートです。当初は、様子の確認のため、6角形から始めます。しかし、昨日は5角形を模索してみます。
こうなれば、4角形、3角形も試したくなります。これらは、昔から見慣れている形状です。ある程度は想像できますが、実際につくってみなければ、何となく不安です。精神衛生上、良くなかったのです。
最初に4角形からスタートします。直角(90°)と45°が主体の加工です。簡単な筈でした。しかし、不満足な結果に終わります。その原因は、コーナーの合わせが不正確だったことです。一方の辺を深く挿しこみ過ぎた所為(せい)です。
また、カンザシ(簪)の位置を誤ります。スペアーの部材を準備していなかったことで、その間違いを正当化することにします。1ヶ所のコーナーに2本のカンザシを挿し込むことで解決します。
それも、端から1mmほどの位置に、です。結果だけを見ると、その舞台裏は解らない筈です。むしろ、敢えて、そのようにつくったのか、と思われそうです。
続いて3角形です。意外だったのは、この1辺の長さを大きくせざるを得なかったことです。そして、正三角形の内角の一角の60°が、想像よりも小さかったことです。当たり前のことですが、正三角形のイメージは、本来、円である車輪の形と違って見えるものです。
そして、加工中、困ったことが出てきます。60°の1/2の30°の作り方に戸惑います。丸鋸(まるのこ)の目盛は0°から45°までです。30°の余角(両者の和が90°になる角度)の60°の作り方に迷います。
結局、30°を使って60°をつくり、それを定規(じょうぎ)にして30°をつくります。プロの皆さんは、もっと簡単な方法を使っているのかも知れませんが、一度、拝見したいところです。
正三角形の頂角にもカンザシを入れます。表裏6ヶ所に挿し込みます。この段階は非常に醜く汚れています。接着剤の付着のためです。仕上げはベルトサンダーに任せます。頂点の60°も鈍角化します。60°は結構鋭いのです。
車軸部分も正三角形にします。それぞれの3面に直角にドリルを揉み込むには、やはり、ジグに頼らざるを得ないようです。とはいうものの、使ったジグは、正三角柱を切り出したときに出来たものです。ジグは、初めから目の前にあったのです。
因みに、5角形のときは、自分の手と勘に頼っています。やはり、角度が微妙に狂っています。
これで、「車輪バージョン」の6角、5角、4角、そして、3角形づくりの確認を終えたことになります。その瞬間、正7角形、というのは、どんなものだろうか、と考えます。
しかし、奥州最北端の「火祭り」まであと1ヶ月です。間もなくです。制作を急がなければ、またまた、来年に持ち越しです。時間と気力、そして想像力が欲しいです。
「拭漆青森檜葉箸置(ふきうるしあおもりひばのはしおき)」を1個だけカットしてみます。そして両木口(こぐち)の8辺の面取りをします。漆の面と白木の面との対比がややどぎつくもあります。
しかし、木口からは、「青森ヒバ」の香りが伝わってきます。まあまあ、のようです。今回は試作です。30個ほど出来そうです。名刺代わりに、あちらこちらにお分けし、ご意見を頂戴するつもりでいます。
2013/07/04(木)
18:09

昨日の雨は、今日の明け方まで続きます。昼前、曇天から青空に変化します。雨を得たことで、早朝の挨拶は、やはり、農作物に至ります。
早朝の沐浴の前、F氏にお会いします。地元のお菓子屋さんです。因みに、「久慈良餅(くじらもち)」が美味しいです。そのF氏は、K社長とともに、田んぼの水量の調節に行った帰りでした。
車から降りたF氏が、『良い雨でしたね。しかし、地中にはまだ浸透していないようですよ。』と分析しています。沐浴後、早速、我が自慢の畑を確認します。畑、とはいうものの、狭い河原です。小川からの水を毎日かけていますが、今日は、何となく、シャキッと見えます。
ナスが10個ほど生っています。7~8個を収穫します。実は、『ナスやキュウリの最初に生ったものは、小さいうちに収穫します。』、とT氏が言っていたのです。今後に生るものに養分を行きわたらせるためだそうです。その励行です。
小さい、とはいうものの、大きいものは手のひら大もあります。朝食時、早速、「ナス焼き」になります。このレシピは、皮のまま焼き、冷水にとり、焦げた皮を取り除くだけです。鰹節をかけて生姜醤油でいただきます。小ぶりのものは、塩揉み(しおもみ)していただきます。
他方、キュウリの収穫は未だです。窺がうと、爪楊枝(つまようじ)大が生っています。感激すること頻り(しきり)です。ゴーヤの黄色い花が咲いています。しかし、どうやら、雄花(おばな)のようです。カボチャ、スイカ、キウイと同様のようです。
先日、K社長が『収穫しました。』と教えに来ます。ルバーブの種を収穫したのだそうです。実は、ルバーブの種を採るのは初めてのことです。1ヶ月も前から、『いつ頃が採り頃だろうか。』と、何回も訊かれていたのです。
春、グジャグジャと花をつけ、夏になる前に種になり、既にパラパラと落ち始めています。勇気を奮って断行したそうです。ソバ(蕎麦)の種に似ています。
風通しの良い日陰に、「タマネギ」の大きな袋に10袋ほども吊るしています。茎(くき)はジャムやサラダになりますが、種を育てた主茎は、空洞になっています。そして、木のように硬いです。
イギリスでは、このルバーブの軟らかい茎を冷凍にし、通年、野菜サラダとして使っています。飽きの来ないピュアーな酸味に人気があるのです。今回、K社長が気合いを入れているのは、これを使った菓子作りです。これまで、何回も試食させられています。
ジャムをつくる場合は、多量の茎を使います。そのことで、多量の種を採り、植えることが今年のテーマであったのです。昨春は両手に入る量で1000株になりました。
この分では数十万株にはなりそうです。ルバーブに挑戦して2年目です。何とかなりそうです。
2013/07/04(木)
18:04

昨夕、奥州最北端の当地に降った雨は短時間に終えます。しかし、津軽地方のH市の雨に、気象台は「記録的短時間大雨」と発表します。道路の冠水や床下浸水にまで及んだそうです。1時間90mmの降雨量だったそうです。
今日の雨は、朝からダラダラと降っています。この気象条件が「漆の乾燥」を促進させます。実際に作業すると、そのことを顕著に感じます。実は、朝、「箸置き」に3回目の拭き漆をします。
「拭漆」は拭き取るタイミングに気を使います。これまでは、4本全部に塗った後に拭き取っています。しかし、今日は、いざ拭き取る段には、最初に塗った漆が、既に乾き始めているのです。
いつものように拭きとるには無理です。粘度が高くなり過ぎているのです。漆の拭き取りは専用の「拭紙」で行います。その紙の、細かい繊維(せんい)が強い摩擦で分解されてしまうのです。その繊維が木地に付着し、醜い結果になります。
この解決法として、乾きかけた表面に再び「生漆(きうるし)」を塗り、粘度を低くしています。結局、2度手間になります。しかし、専門家のH氏は、『粘度の高い状態で拭き取ることで、艶(つや)は増す傾向があります。』と言います。
確かに、3度目の「拭漆」で、これまでにない光沢を発しています。これで「塗り」の工程は終えても良さそうです。少し落ち着いてから、いよいよカットになります。漆塗りの「箸置き」をこの工程でつくるのは初めてのことです。少しワクワクしています。
次は「鉋がけ」です。今日の本来の課題でした。しかし、「塗り」の作業が優先されたのです。実は、プレナーには集塵機を使っていますが、その集塵機で漉(こ)し切れない微粉末が工房内に充満するのです。「塗り」は、早朝一番の仕事にしています。
鉋がけの後、予定した大きさにカットします。元末(もとすえ・木の根元と先端)と木の表裏を確認します。話は飛びますが、昔の人は、この「末」を「うら」と表現していたようです。今は亡き母も、『針のウラが折れてしまった。』、とよく言っていました。今の時代は、一般的でなくなった言葉のようです。
これで漸(ようや)く作業開始の準備完了です。できるだけ早く納品したいところです。
さて、昨日、「車輪」の試作品をつくってみました。試作品とはいうものの、まだ、海のものとも山のものとも解からない、試行錯誤の段階です。今日、昨日の作品に手をかけてみました。
外輪の削除です。そして、5角形のそれぞれの頂点も、中心に対して直角な面で削除します。その結果、折角(?)の「簪(かんざし)」もまた削除されてしまいます。結果的に10角形の形状になります。手には馴染(なじ)むものの、何となく潔(いさぎよ)さが失われたようにも思われます。ま、この世界はセンスの世界です。どう、ということは無い次元の問題です。
とはいうものの、釈然としないものがあります。夕刻、第2作目をつくってみます。材料は、1作目の1/4ほどの太さにし、また、内径も、心持小さくしてみます。そして、スポークを「竹籤(たけひご)」にしてみます。オール青森ヒバにはならない恨みはありますが、ま、考え方としてはありそうです。
朝から続いていた雨は、夕刻になって上がります。日中の最高気温は20℃前後であったようです。過ごし易い日でした。
2013/07/03(水)
17:47

予想最高気温は26℃の予報でした。朝の涼しいうちに「漆塗り」をします。このところ手をかけている「糸巻き」とニューバージョンの「箸置き」の手直しです。
2時間弱も要します。汗びっしょりになります。「糸巻き」は醜いながらも少しずつ変化しています。また、「箸置き」は今日で2回目の「拭漆(ふきうるし)」です。素地が良かった所為か、結構な艶(つや)が出てきています。
午後、試作にとりかかります。実は、昨日、6角形をつくりました。古典的な「車」をイメージしたつもりです。実際の用途としては、「鍋敷き」や「ストラップ」に使えそうです。秀木の「青森ヒバ」です。おそらく、世界中で唯一の作品の筈です。
話は飛びますが、今般、この「青森ヒバ」が三重県の「伊勢神宮」の造り替えの建材として納品されるそうです。実は、「青森ヒバ」は、木曽のヒノキよりも遥かに優秀であることは昔から自明のことでした。
安東水軍や北前船が首都圏に運んだものは、蝦夷の昆布、奥州最北端の米、岩木山麓の鉄、そして「青森ヒバ」だったそうです。
米や鉄の文化は、中国から九州に上陸する前に、既に朝鮮半島を経由して奥州最北端に伝わった、という説が有力です。
また「青森ヒバ」は、抗菌力と耐水性、そして馥郁(ふくいく)とした香りにおいて、これに勝るものは無い、といわれています。しかし、時の中央政権は、表面きっては、それを認めなかったようです。全国で最も恵まれていない奥州最北端の地に、最も優秀なものがあることを認めたくなかったのでしょう。
その話は兎も角、先日、6角形の車をつくることは確認できました。しかし、今日は、5角形をつくることにします。4角形や6角形はあまりにも一般的過ぎるのです。そのため、簡単な設計図をつくることにします。
5角形を考えるのは中学校以来です。手持ちの「スライド丸鋸(まるのこ)」に関係する角度を計算してみます。まず、360°÷5=72°、180°-72°=108°です。結局、正5角形の内角の1角は108°です。
そして108°÷2=54°となり、これと余角をなす角は36°です。このことさえ確認すれば、あとは、考えることなく作業はできます。因みに、補角と余角を習ったのは半世紀も昔です。よくもまあ覚えていたものです。そして、やる気が出てきます。
「丸鋸」の角度を1度設定すれば、部材づくりは簡単です。皆、同じ形なのです。そして、部材ができれば、あとは組み立てです。これも簡単です。ついでに「カンザシ(簪)」も挿しこみました。今回は、少し大きく作ってみました。普通のコップが乗る程度です。これをストラップ大にすることも簡単そうです。ま、誰も、こんなものを作っていない筈です。面白くなりそうです。
次の課題は「鉞(まさかり)」のつもりです。これは、昔、天子様が武勲をたてた侍にご褒美(ごほうび)としてプレゼントしたものです。形はワイルドですが、謂わば、縁起物です。このデザインはこれまで何回か使っています。これもまた、面白い筈です。
予報とは異なり、昼前に出かけたときの気温30℃でした。ジョブジョブと汗をかきます。夕刻、突然、雨がバラバラと降ります。しかし、所詮は一瞬です。困ったものです。
2013/07/02(火)
18:34

夜露と朝露の区別はよく解りませんが、このところ、毎朝、露が降りています。昔、『0の定義は何か。』と訊かれたことがあります。
皆さんが酔った席でしたので、「夜露から朝露に変化する刹那(せつな)、というのはどうでしょう。」と答えたのを覚えています。
冗談は兎も角、露の発生は、晴天時の放射冷却と関係がありそうです。この日記で、毎日のように憂いてきましたが、今日の朝刊にも、『今年の6月の奥州最北端県は、131年間で最少の降水量。』の記事が載っています。畑に関係している皆さんにとっては、厳しいです。一雨(ひとあめ)欲しいところです。
今日は、朝から「鉋(かんな)がけ」です。実は、「箸置き(はしおき)」の部材を使い果たしました。納品を催促されています。まだ涼しい時間帯から「鉋(かんな)がけ」を開始します。簡単な作業です。しかし、立ち姿勢を余儀なくさせられます。腰が自己主張することで、休み休みの作業になります。その休憩時間に、寄り道することにします。
実は、この「箸置き」は無塗装で納品しています。しかし、以前、漆を塗ったことがあります。今日は、その「漆塗り」に挑戦することにします。それも、ニューバージョンで、です。
以前つくったものは、加工後に塗っています。ところが、1個、1個をこの方法で塗るには、とてつもない時間を要します。しかも、折角の「青森ヒバ」の香りを遮断してしまいます。この課題を解決する方法です。
それは、カットする前の長い状態で、塗りを済ませる方法です。実際にやってみると、やはり、ほぼ一瞬で塗り終えます。1回の塗りで満足できなければ、数回繰り返すことになります。やがて、塗りを終えた時点で、カットします。木口(こぐち)面は無塗装になります。面白そうです。試作ですが、30個ほどをつくるつもりです。
昨晩、Kホテルの女将さんから注文がありました。明日は、またまた「鉋がけ」からのスタートになりそうです。ハードスケジュールです。
2013/07/01(月)
16:10

朝は涼しかったものの、次第に暑くなります。早朝は園芸活動です。実は、昨日、W氏から「オクラ」の苗をいただきました。150株もあります。昨日、数株を植えましたが、まだまだ余っています。
今朝、ご近所の皆さんにお分けしますが、それでも余っています。夕刻お見えになったK社長の畑に植えることになりました。
「玉葱(たまねぎ)」の収穫後に植えるそうです。「オクラ」は野菜に分類されるようですが、その花は、所謂(いわゆる)花よりも艶やかです。楽しみです。
午後は工房活動です。気になっているあれやこれや、に手を掛けます。まず、「一本歯」の「鼻緒挿げ」です。これまで、10足ほどの鼻緒を挿げています。しかし、毎回、その方法は変化しています。
「下駄(げた)」は、日本固有のフォルクローレ(伝統文化)と思っていましたが、今はアメリカ大陸でもひそかなブームになっているようです。
当然、「鼻緒挿げ」もまた、様々な方法で行われているようです。尤も、日本国内でも、その地域々々で、異なってもいるようです。
今回は、これまでの中で最も満足する出来です。祭りの行列の闊歩であっても、絶対に緩むことのない結びにしています。依頼主に満足していただければ有難いところです。
話は飛びますが、鼻緒の袋の中には、麻縄、綿、紙、厚紙等が入っています。完成品は結構な価格です。時間のあるときに作ってみたいと考えてもいます。しかし、本来の麻は大麻(たいま)です。なかなか手に入り難くなっている、と聞いたことがあります。
下駄の次は、「車輪づくり」です。筆者にとっては極めて憧(あこが)れる世界です。何十年も前からの課題であったのです。古い時代の映画や物語に登場する「車輪」です。ジョンウェインを初めとする西部劇、チャールトン・ヘストンのベンハー、中国や韓国の時代劇、ユーゴの「ああ、無情」、そして、平安時代の牛車(ぎっしゃ)等が記憶に鮮明です。
その所為(せい)であるかどうかは解かりませんが、どういう訳か、庭には「花車」と称して「大八車」が置かれています。また、車輪だけ置いている場合もあります。おそらく、昔の文明の利器を、風流の次元で「見立て」としているのかも知れません。
しかし、実際には、その作り方が解からなく、何時か挑戦するつもりでいました。特に、車軸と車輪の関係が理解できなかったのです。今日、時間が生まれたことから作業開始です。
基本的ステータスは、ただ試行錯誤あるだけです。やってみて不都合があれば、やり直すだけなのです。そして、概ねの仕組みを理解した後に精度を高める方法です。
まず、車輪を6角形にします。それを円形に見立てるのです。そして、作業し易い大きさでつくることにします。
加工に使うツールはスライド丸鋸です。扱い易いのです。しかし、全てをこれで加工できませんでした。「昇降盤」にも頼ります。角度切りをよく理解していなかったようです。ま、これでも問題は無いのです。スポークに、取り敢えず8mmの丸棒を使うつもりです。そして、車軸も6角形にします。当初は木工旋盤を使うつもりでしたが、妥協したのです。この加工を、断面が正方形の角材をベルトサンダーでします。何とかなりそうです。
本来の目的はミニチュア版です。全体のイメージを保ちながら、可能な限りの単純性を求めてみるつもりです。そして、加工と組み立てに時間を要することなく、それでいて、緻密で、本物の車輪に近づけることが狙いです。
結果は未知数です。ゴールの有無も不明です。いわば、おそらく、答えの無い方程式を解いているのかも知れません。しかし、やってみる価値はありそうです。
2013/06/29(土)
18:42