曇天、時々雨です。気温は22℃~23℃ほどです。今日も涼しいです。この条件は、工房日和(びより)です。暑くても寒くても、作業は可能です。しかし、その能率は低下するのです。

尤も、強い意思がありさえすれば解決する筈の世界のようです。しかし、現実には、非常に厳しいものがあります。今日は、その理想とする日です。

午後の外出時間以外は工房に籠(こも)ります。設定したテーマは「額の様子見」です。先日、「矩だし」と「鉋がけ」を終えています。今日は、「サンプルづくり」です。

実は、12~13面(個)をつくるとき、どうしても、サンプルをつくり、全体の様子を確認したいところです。主題は、裏板とアクリルの収まる溝の幅と深さの加減です。これまで、この作業を昇降盤に任せています。今回も、それに頼ります。

ポイントは、材にあたる刃の位置と深さです。サンプル、とはいうものの、定規や刃の高さは、手直し可能なように、控えめに設定します。それも、端材で試します。そして、満足する位置と高さを模索します。

今回、サンプルとしてつくる材は、さまざまな「曰(いわく)」のあるものです。それでも、今後の基準となるものです。少し(大分)本気になります。溝掘りは無事終えます。


次は、対辺の寸法の同一化です。「スライド丸鋸(まるのこ)」で45°を設定します。しかし、その設定したものを、再度、測り直します。

数学でいう「検算」のようなものです。これは、「絶対に間違いは無い。」ものでも、再確認することが数学の基本的工程とされている原則です。

カットした部材を合わせてみます。まあまあです。しかし、何となく憂鬱(ゆううつ)です。長方形の框(かまち)の4頂点が、はたして正確な直角なのか、という不安がつきまとうのです。長辺が1000mm以上です。気を使うところです。

話は飛びますが、地球から冥王星(めいおうせい)や海王星に発信したつもりの1本の線に、0.00・・・01°の開きがあれば、永遠の隔たりを持つ、全く異なる方向に向かうことになりそうです。それを思うと、神経質にならざるを得なくなります。

この確認のため、コンパネを準備します。優秀な機械で作られることから、4頂点は正確な直角と信じているのです。そのコンパネをカットし、それを基準に、「框」を組みたてることにします。やがてそれが、裏板やアクリル、そしてマット紙の寸法に反映します。


決断が迫られている次は、フレームのデザインです。現在の段階は、断面が長方形の「垂木(たるき)」のようなものです。

さまざまな選択肢があります。このままの状態でも良さそうです。また、正面のコーナーを丸くする、或いは、それぞれの面に傾斜をつける、等です。

しかし、額に入るのは「版画」です。一般的には、素朴な加工が似合いそうです。手直しすべき部分は、溝の深さです。正面から見た絵が遠い面であれば、折角の「額」が「箱」に見える傾向があります。仮に深い溝であっても、裏板の調整で如何様にも対応できるのです。

次に迷うのは、「塗り」です。「青森ヒバ」を自己主張させるか、です。そうであれば、透明の「木固めエース」が適しています。しかし、落ち着いた雰囲気を表現するには、「拭漆(ふきうるし)」仕上げです。何れにするかは、そのうち考えることにします。

とはいうものの、この色合い等は、依頼主の感性にも関係がありそうです。タイムリーーに、K氏がお見えになります。依頼主です。あれやこれやのご意見を頂戴できます。また、、『緊急、ということではない。』と、納期についての柔軟性も伝えてくれます。

他方、当方は、アクセルをガンガンふかした状態です。やるときには、「ガーッ」と片づけたいところです。


夕刻になって、明るい空になります。工房の屋根板は透明ポリカです。19:00になっても明るい室内です。工房では、助手が、照明無しで、スピンドルサンダー、面取り鉋、ボール盤等を駆使しています。

2013/07/11(木) 18:51

今日も、予報に反して涼しいです。23℃ほどです。しかし、何となく、体調が変です。その理由は、運動不足もありますが、寒暖の差が大きい所為のようです。

午前中は、世事に関わります。携帯電話の故障の対応、そして、血圧の薬の受け取り等です。結局、携帯電話は2週間の入院を要します。その間、ドコモの電話を借りることになりました。車であれば代車のようなものです。

午後、T旅館にお邪魔します。依頼されている「額」の寸法の確認のためです。結局、画の大きさ394mm×1030mmに対して、フレーム(額)は600mm×1240mmほどが良さそうです。その空間部分はマット紙が占める、という考え方です。

よく解りませんが、棟方志功の原画は、昔の和紙の寸法を基本にしているようです。しかも、実際の「釈迦十大弟子」の大きさはまちまちです。

このことが、アクリル板、マット紙、そして裏板の材料の使い方を効率の良くないものにしています。所謂、規格外のようなのです。僅か数cmのところで、ワンサイズ大きいものを使わざるを得なくなります。ま、何とか、対応することになります。


いまのところ、マット紙、アクリル板、そして裏板の、それぞれの厚さを2mmと考えています。合計6mmの厚さです。

この寸法が額の嵌めこみの深さにするつもりです。これまで凡そであった全体像が具体化します。しかし、次の作業は、もう少しの気力の充実を待つことになりそうです。

今日は、刃物を扱わないつもりでした。しかし、何となく落ち着かなく、夕刻になって工房に入ります。先般の「マサカリ(鉞)」が気になっていたのです。最初に作った、サンプル第一号をもとに、デザインの多少を変化させてみます。

刃の形、厚さ、そして柄の太さ等をほんの少しを変化させるだけで、雰囲気もまたガラリと変化します。不思議な世界です。これまでの3パターンを助手に見せます。すると、『刃の形は、最初のものが一番良いです。如何にも斬れそうです。』と答えます。

実は、今回、「金太郎飴バージョン」を試しました。それを使った結果です。結局、1丁ずつ作った方が、効率が良さそうです。一旦、デザインと方向性が決まれば、その後は簡単な短銃作業です。もう少し工夫することにします。

今回は柄(え)を変えてみます。第一作目は竹でした。それをヒバに変えます。そして、柄の先端に「くさび(楔)」も挿し込んでみます。これは、先般、I氏やW氏と話した際に出た、お遊びのようなものです。しかし、太さがわずか4mmほどの柄です。綺麗な仕上がりにはなりませんでした。



2013/07/11(木) 07:13

今朝の予報では28℃でした。それは、昨日よりも2℃以上低い気温です。やはり、昨日は30℃以上もあったようです。

しかし、実際には、せいぜい26℃ほどだったようです。しかし、工房内での作業では、ビショビショに汗をかきます。体内の毒素が削除されるのを感じます。この程度の気温であれば歓迎するところです。

今日は、「手押し鉋(かんな)」を含めて、プレナー(自動鉋)を使った「鉋掛け」に終始します。終始、というのは、早い朝食後から薄暗くなるまでです。時間的には11時間ですが、実際には休憩タイムも含んでいます。

実は、この、「手押し鉋」もプレナーも、立ち姿勢を余儀なくさせられます。暫(しば)らくの作業には、自動的に、若干のお休みが付随するのです。機械的で簡単な作業ですが、ある程度の集中力は伴います。

「手押し鉋(かんな)」は、材のコーナーの直角化を実現するためのものです。文字通り、回転する刃に、材を「手で押しながら」あてていきます。当然ながら、材と定規に摩擦が生じます。昨日は、結構な筋力トレーニングでした。

しかし、刃を使うとき、力を使うと怪我につながります。昔から、『怪我は、鋭利でない刃物を使うからだ。』と、言われています。今朝、その摩擦を和らげるスプレーがあることを思い出します。それを一かけすると、やはり、滑りが全く違います。呼吸を止める必要が無いのです。


「手押し鉋(かんな)」では、基準となる2面だけを整えます。この2面のなす角が直角になる仕掛けです。

他の3つの頂点の直角化は、プレナーに任せます。しかし、注意点があります。どの2面が基準面であったかを覚えておく必要があります。

そのため、鉛筆で印をつけておきます。I氏から伝授された技です。プレナーに通すときには、厚さも幅も不均等です。基準面には刃を触れさせないようにし、他の2面を均一にしてやります。基準面の調整は、最後の最後にします。

しかし、作業が長時間続くと、刃をあてる面を誤っていることに気づきます。この段階で、落胆しないようにしています。「あっ、そうだったか。」と笑うことにしています。本来、この作業は、楽しみのためにしているのです。落胆することは本末転倒なのです。

準備した材は40本です。実際に使うのは、35~36本のようです。この余裕は、不慮の不都合への対応のためです。実際、鉋(かんな)がけが進んでいくと、様々な事情が目に付いてきます。木口(こぐち)から「割れ」が侵入している場合もあります。

これは、木口切りのときに見落としていたものです。また、手押しかんなで、一端だけが細くなり過ぎているものもあります。その他、作業が進むにつれて、思わぬトラブル等が生じることもあります。それらに対応するスペアーです。

夕刻に至って、一応の鉋がけを終えます。この間、生じた「鉋屑(かんなくず)」は、ゴミ?袋に4~5もあります。膨大な量です。しかも、すこぶる優秀な「鉋屑」です。


話は飛びますが、製材所では、これを、牛舎や豚舎にお分けしているそうです。

「青森ヒバ」の殺菌力のため、「敷き藁」として使うには最高なのだそうです。我が工房では、「ダシ袋」に入れて「匂い袋」としてお上げしています。バックや長靴、下駄箱、タンス(箪笥)等に入れて楽しむのです。

しかし、実際には、次から次に溜まっていく「鉋屑」で、狭い工房は、益々狭く変化していきます。定期的に、Y製材所に処分してもらっています。


鉋がけがまだ不十分の箇所もありますが、部材づくりに必要の無い面であれば、無視するつもりです。念のため、コーナーの角度を確認します。それらしくなっているようです。充実を感じる瞬間です。ホッとします。

勿論、明日のフレッシュな頭脳で不満足と感じれば、即、手直しすることになります。今後の作業手順は、溝掘りです。それには、アクリル板、マット紙、裏板の厚さを特定する必要があります。そして、フレーム全体の雰囲気づくりです。何とかなりそうです。


暮れる前の夕刻、また、ザーザーと降ってきます。明日は、出かけることになりそうです。実は、浮世の柵(しがらみ)がまとわりついています。使えなくなった携帯電話の買い替え、降圧剤の受け取り等です。また、ホームセンターで探したいものもあります。

つい先般、公的お勤めから退いたものの、よくもまあ、これほどまでに忙しい日が続くものです。


2013/07/09(火) 19:38

昨日は暑い日でした。今日は、昨日を凌いでいます。しかし、今日から新しい課題に挑戦です。気合いの入るところです。

実は、昨日お出でになったI氏が、『額は間に合いそうですか。』と心配してくれていたのです。

先般、K社長から依頼された「額」です。「釈迦10大弟子」に、「文殊菩薩と普賢菩薩」を加えて、全部で12面です。そろそろ作業開始をすべきのようです。

フレームの「青森ヒバ」は、先日、Y製材所から取り寄せています。アクリル板、マット、裏板も何とかなりそうです。遅ればせながら、今日、フレームの加工をスタートします。材の寸法は、1寸×1寸3分×4尺5寸です。

まず、「木口切り」です。この作業は、「手押し鉋(かんな)」や「プレナー(自動鉋)」に通す前に行う作業です。その理由は、刃物と石等が出会わないための配慮です。

製材後は、縦にして立てかけて置くのが一般的です。その際、木口面が、地表の石を咥(くわ)えていることが考えられるのです。

そして、一旦、木口面をカットした後は、今度は、木口面を地表に着けないために、材を寝せておくようです。狭い工房です。木口面の処理にスライド丸鋸(まるのこ)を使った後は、工房内の模様替えです。丸鋸を壁際に押しやり、今度は「手押し鉋」を作業空間に引き出します。


そして、機械のチェックです。まず、集塵機とのコネクトです。ところが、アダプターが見当たりません。

実は、「手押し鉋」は普段使っていないことから、その置き場所を失念しているのです。助手を動員し、何とか発見します。

次は愈々(いよいよ)定規(じょうぎ)の調整です。「手押し鉋」は、主に、正確な直角を出すために使われます。しかし、我が工房の定規は、当初から狂っています。一方を直角に設定すると、他方は直角にならなかったのです。

ネジ(螺子)を絞めたり緩めたり、そして、叩いたり宥(なだ)めたりで、何とか調整します。作業中、鉋のテーブルに汗がボタボタと落ちます。それを拭き取ると、まだボタボタです。それだけで数時間を要します。

その後、いよいよ刃を回転させます。「矩だし(かねだし)」です。実は、この作業を真剣にやるのは、今回が初めてのようです。実際にやってみると、基本的な原則があることに気づきます。

まず、1面を平面化するとき、同一の方向だけで侵入させると、その侵入口部分だけが顕著に減る傾向があります。時折、材の進行方向を逆にする必要がありそうです。

その際、仮に「逆目(さかめ)」になったとしても、やがて「プレナー」を通すことで解決する筈なのです。また、作業の前に、材の状況を確認する必要があります。

仮に「弓形(ゆみなり)」になっている場合は、最初に、その円弧の中心に近い面を刃にあてるべき、のようです。結果的には、材の両端から削られることになります。

逆に、出っ張っているお腹を当てると、いつまでも反った状態で、平面化されないこともありそうなのです。

結局、今日は、ほんの10本ほどの「矩だし(かねだし)・直角化」に止まります。明朝の再開になります。


ここ数日、「試作品づくり」を楽しんでいました。その際、欲しかったツールを、昨日、手に入れます。

「角鑿(かくのみ)」です。しかし、機種が違っています。届いたのは、建築用でした。

それを見たI氏が、『家を建てるつもりですか。』と冗談を飛ばします。実際、どうみても、細工には使えないゴツいものです。既に梱包(こんぽう)は解いていますが、Z氏の計らいで、別のバージョンと変えることになります。まずは、めでたし、めでたし、です。

この「角鑿」は「ホゾ孔掘り」に使うものです。実は、先般、「椅子(いす)」をつくった際、肩に炎症をおこしたのです。単に、左手に「鑿(のみ)」を、そして、右手に「金槌(かなづち)」を持ち、金槌を振り下ろすだけの作業です。

しかし、翌日、右手が上がらなくなります。痛いのです。1週間は「寝返り」もうてない状態でした。何とか普通の生活に戻ったのは10日後だったようです。想像以上に体が弱っているのでしょう。その弱った分、利器に頼りたくなるのです。


携帯電話が故障しています。着信音は発し、発信者の名前は表示されますが、画面の切り替えができず、応答することができないのです。皆様に恐縮すること頻り(しきり)です。

よく解りませんが、「青森ヒバ」の微粉末を吸い過ぎたのかも知れません。

旅館やホテルに納めている「お土産」の材料を使い果たしています。夕刻、Y製材所にお邪魔します。イチイ(一位)の板をいただいてきます。またまた、創作意欲をくすぐられます。

2013/07/08(月) 19:07

夕刻には上がりましたが、日中はダラダラと降り続いています。

つい先般、真剣に「雨乞い」を考えていました。しかし、こうも雨が続くと、しばらくは、もう結構です。と言いたくなります。現金なものです。『過ぎたるは 猶(なお)及ばざるが如し。』なのです。

今日は、あちらこちらへの納品日です。早い朝食後から作業です。それも、不乱に、です。その甲斐あってか、何とか、予定した課題を片づけることができます。いつも思うことですが、単純な課題は、ひとつひとつ解決していくことで、確実にゴールに達するようです。

実に不思議な世界です。大分昔になりますが、数学の問題を解く時、センスや閃き(ひらめき)を必要とすることもあったようですが、むしろ、コツコツと手順を踏むことで、自動的に結論に導かれたことが多かったようです。それと似ています。

納品を終えてホッとしているところにT氏とK社長がお見えになります。いずれも、作品の受け取りにお出でになります。T氏には「一本歯」です。大分前に完成いていたのですが、連絡するのが遅くなっていたのです。

T氏は、居酒屋を経営しています。市内の中心街のM店です。M店の名前の由来は、「東方見聞録」の「Marco Polo」です。ヨーロッパ、アジアの世界を旅したことに因み、和食、洋食を問わず、美味しいものを提供する、という店です。


「一本歯」を見た瞬間、『早速(さっそく)店に飾ることにします。』と、気に入っていただきます。

実は、彼の店には、筆者の作品が置かれています。「桶(おけ)」です。それをワインクーラーに使っているのです。有難いことです。

お出でになったついでに、最近の作品の数点を見ていただきます。『これは俺の店で使う。』と言ったのは、「糸巻(いとまき)」です。そして、帰り際、意味深な目配せをします。少し困ります。実は、この花台は、K社長の奥さんにお届けするつもりであったのです。

そして、つい昨日カットした「拭漆檜葉箸置」も持っていきます。『箸置は和風ですが、M店では、洋の東西を問うてはいないのです。』という理屈です。ま、どうせサンプルとしてつくったものです。KUROOBIの普及活動に協力していただくことになります。

夕刻は、仕事とは異なる世界で遊ぶことにします。実は、昨日、恥ずかしくも、幼稚な「鉞(まさかり)」をつくっています。スタート地点です。当然、といえば当然のことです。いくつかの手直しすべき点が浮かび上がります。

その一つに、如何に簡単な作業で出かすか、です。試みとして「金太郎飴」をつくることにします。今の時代に存在するかどうかは解かりませんが、かじっても、かじっても、金太郎の顔が出る棒状の、あの飴(あめ)です。


この方法は、北欧のスカンジナビア半島で使われていました。クリスマスツリーの飾りをつくるための技です。

冬期間、現金収入の無かった彼らは、イギリスやヨーロッパ向けに、自国の豊富な木でこれをつくっていました。しかし、大量につくるには、そこには効率が要求されます。

そのために考えられたのが「金太郎飴」方式だったそうです。長い木をルーターで削り、それをスライスする方法です。ルーターは、今は、オーストラリアが盛んなようです。しかし、北欧のクリスマスツリーがその起源であり、発祥地であったことになります。

確かに、ルーターは、日本人的発想には基づいてはいないようです。そこには、エッと思う発想があります。丁度、データーベースのアクセス(access)に似てもいそうです。

結局、今日、試したかったことは、マサカリをつくる際に、1枚(丁)ずつと、この「金太郎飴」方式との何れが効率的であるかの確認です。結果的には、どちらもどちら、のようです。その理由のひとつは、長い適材が無いことです。

結果を出すことは簡単?です。問題は、それをつくるに至る時間的効率性です。何れを採用とすべきかの判断材料は、試行錯誤による現実の見極めです。少し頭を休めて、そして、時間をかけて考えるのが良さそうです。

因みに、北欧でつくるクリスマスの飾りは、特に、精度に拘(こだわ)ってはいないようです。つくりはアバウトであっても、殆ど問題は無さそうです。目、鼻、口、髭(ひげ)等を描くことで、それらしく見えてしまうのです。不思議な世界です。

丁度、黒板に描いた1本の線が、刀にも人にも、そして或いは、花やギター、更にはサンマや自動車等にも見えるのと似ています。勿論、そこには、既成概念を植える仕掛けの存在は必要です。

とはいうものの、今回は、可能な限りの精度を高めたいところです。ステータスのひとつは、本物と同様につくりたいところにあります。


1週間ほど前からホタル(蛍)が出ています。その場所も「ホタル湖」です。『この雨で地面が柔らかくなり、更に、地中から成虫が出やすくなった。』と、k社長が 喜んでいます。

雨天以外は、「ホタル観賞ツアー」が開催されています。K社長がそのナビゲーターです。


2013/07/06(土) 20:25

朝食後、「日展」に出かけます。会場は、奥州最北端津軽のH市です。高速道路を使って、片道1時間ほどです。

会場に着いたときは、ポツリポツリとした雨でしたが、帰りには豪雨になっています。久しぶりに小気味の良い雨に会います。しかし、帰宅すると、降ってはいますが弱雨です。

日展会場は順路が指定されています。はじめに日本画、そして、洋画、彫刻、工芸美術、書のジャンルの順になっています。目当ての工芸美術のコーナーは出口近くです。じっくり観賞します。他は、時間をかけて拝見できませんでした。

絵画は皆、相当な時間をかけた力作です。数点に見入ります。メインの工芸美術にも、惹きつけものがあります。特に、H県のO女史がつくった、題名「昴(こう)」です。所謂(いわゆる)オブジェ(objet・仏)のようです。造形が素晴らしいです。

見た瞬間、「朱漆」で仕上げたものと感じます。実は、工房KUROOBIも、この「朱漆」で仕上げる「糸車」を手掛けています。筆者の場合は、その「縮(ちぢみ)」に悩まされています。(名にし負う)「日展」出品の作品は、どの次元で妥協しているかを確認したかったのです。

話は飛びますが、この「名にし負う」は、在原業平(なりひら)が「伊勢物語」に残した『名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人は ありやなしやと』からの引用のつもりです。日展に出品する、というのは、一般人にはそれだけの敷居の高さがあるものです。


さて、「朱漆仕上げ」であれば、必ず?「縮」の痕跡が残っている筈だ、という目で、顔を近づけて見ます。すると、やはり、あちらこちらにあることに気づきます。ところが、1mも離れて見ると、殆ど気づかないのです。

ここで、いくつかの考え方に迫られます。例えば、「どうして完璧をめざさなかったのか。」という疑問です。「日展への出品作品を、この程度で妥協しても許されるのか。」という、意外性です。

しかし、「完璧を期すことが、逆に、作品の重みを失わせることになるのではないか。そのため、敢えて、雑な部分を残したのかも知れない。」とも考えられます。あるいは、素人には考えの及ばない世界であるのかも知れません。

ただ、、あれやこれやの疑問の中で、あらためて気づくのは、如何に「塗師(ぬし)」の技が優れたものであるか、です。何気なく普段の生活で目にする漆器ですが、実際に素人がそれをつくってみると、如何にハイレベルな作品であったかに気づくのです。

展示されている作品数は300弱のようです。その中の特選は40数点です。惹かれた「昴」は、やはり、特選でした。

結局、ホッとします。実は、我が「糸車」も完璧ではない段階なのです。そして、1mも離れて見ると、それなりに映り、ワイルドさを表現しているようにも思えてくるのです。絵画もそうです。近づいてみると、まさか、という部分に、雑とも思える色を使っています。それが、離れて見ることで、極めて自然に映るのです。という考え方です。

作品を絵葉書にした数枚を求めます。尤も、先ほどの「昴」の他に「宇樹奏」と「逍遥・十六夜」の3枚だけです。帰宅後、即、額に入れてみます。何れも満足します。しかし、「宇樹奏」は、全体が暗すぎるものです。

実は、この作品は、本体を収めている漆黒の額(屏風)のために求めたものです。見事でした。


夕刻の一時、工房に入ります。まず、「拭漆の箸置」をカットします。30個ほどのつもりでしたが、外に出せるのはほんの20個程度です。よくよく見ると、斑(むら)や拭き紙の名残(なごり)が付着しているのです。

その後、「鉞(まさかり)」づくりに挑戦してみます。数日前から、というよりも、ここ数年来の課題であったものですす。

今日が第一作目です。そのこと故、今日は、単に、様子を確認するためだけがテーマです。まず、凡その形を描き、ジグソーで切り取ります。それをベルトサンダーで修正するだけです。

実際の作業時間は5分程度です。簡単に出来たことで、逆に、作品の発する説得力もまた弱いようです。つくっている途中、「自分は、一体、何をしているのか。」と自問させられます。

「木のマサカリ」をつくっているのです。しかも、簡単な作業に、本気になっていることが可笑しいのです。しかし、長い間、あたためてきた課題です。続行します。柄(え)を、取り敢えず、竹にします。先日、「菜箸(さいばし)」として、安価で売られていたものです。

しかし、少しでも、本物に近づけるのが基本です。竹ではなく、木、が良さそうです。それも、ゴツゴツ感を表現できるものです。また、大きさや、刃の厚さ等の、あれやこれやの、反省点が浮かんできます。

これからは、センスの要求される世界のようです。しかし、試行錯誤により、何とかなりそうでもあります。失敗すれば、また、試みれば良いことです。

雨は、暗くなるまで、ダラダラと降り続いています。


2013/07/05(金) 19:18