依頼されていた「額(がく)」が何とか完成しそうです。しそうです、というのは、時間の経過だけが完成に導いてくれそうなのです。

実は、額本体、載置台、上部を固定する仕掛け等の多くを漆で仕上げています。その漆が悪さをしないためには、時間の経過だけが解決します。いわば、4次元を当てにした他力本願です。

話は飛びますが、この次元の定義を小学校時分に習った記憶があります。『位置を特定する点の動く軌跡が1次元、その線が移動した結果の面の世界が2次元、そして面の移動した結果生じる立体が3次元です。私たちの存在しているのは3次元の世界です。』、というものだったようです。

今回は、3次元に加えて時間の移動が伴います。「額」の完成は、この4次元の世界に委ねることになります。テーマは、一般の方がこの「額」に触ることによって被(カブ)れを生じることの無いための配慮です。

またまた話は飛びますが、この時間の経過の扱いは専門店やデパート等で慎重なようです。「ウルシ」という言葉を聞いただけでカブレる方も居るそうです。特にデパートでは漆器の取り扱いに気を使っているそうです。大きいデパートでは、塗った後、2年間の時間を確保するのだそうです。


しかし、工房KUROOBIでは、そのような時間の確保は無理です。このぐずついた天候です。2~3日もあれば悪さはしない筈?なのです。

時間の経過は兎も角、一通りの完成はみました。少しホッとします。しかし、細かい作業は残っています。まず、額に入れる原稿づくりです。先日、依頼主のK社長が『この額にマッチするのは、やはり筆で描く他は無いようですね。』、と念を押します。乗りかかった船です。久しぶりに筆を使ってみます。

最期の作業はコーキングです。実は、このイーゼルと額は外に置くものです。突然の雨の対応をしておくに越したことはなさそうです。先日、達人のI氏が、『額は斜めになっています。まともに雨水を受けます。そのためにフレームとダストカバーの接しているコーナーをコーキングしておくと良いでしょう。』、とコーチしてくださいました。

今の時代は、さまざまな性質のコーキング材があります。そして驚くほど安価です。作業はほぼ一瞬で終える筈です。単に、ガン(gun)に嵌めて絞り出し、それを指でギューッとなぞるだけです。


とはいうものの、下拵えはあります。マスキングテープの貼り付けです。フレームは兎も角、ダストカバーはアクリルです。

不必要な部分にコーキング材が付着すると大事件になるのです。最後の最後の作業は、慎重の上にも慎重にすべきです。

実は、これまで、最終段階での粗末な作業に、何度も煮え湯を飲まされています。本能的に知っているポイントの一つです。

しかし、ここでもまた憂いがあります。コーキング後、マスキングテープを剥(は)がすとき、マスキングの糊(のり)がアクリルに残らないか、です。結局、これも確認することになります。

結果的には問題無し、です。そして行動開始です。
2012/06/19(火) 08:01

昨晩の雨が上がり、曇天ながらも晴れです。終日の木工三昧です。今日は「額(がく)」の仕上げのつもりでした。

遅々とした進捗ではあるものの、本体はつくっています。勿論、反省すること頻(しき)りの出来です。しかし、跡を振り返ることなく前進を決意します。作品づくりには、この決心が最も優先する要素のようです。

この額はイーゼルに架けるものです。そのために必要な部品があります。まず、額本体を載せる台です。専門用語では「載置台」というようです。そして、額の上部を固定するストッパーです。この部品の名前はよく解らないのですが、上部保持部です。風で煽られないための仕掛けです。

朝はまず「載置台」づくりです。昨晩、簡単な下拵(したごしら)えをしています。それに瑕(きず)をつけることから始まります。グラインダーでギューン、ギューンと掘り込みを入れるだけです。しかし、これが結構厄介です。

期待するのは自然な瑕です。しかし、それを自分の手でつけるとなると難しい世界です。どうしてもセコい瑕になってしまうのです。いつものことですが、自然の腐りで生じた形の見事さに嫉妬しながら瑕をつけます。


妥協すること大なるものですが、即、塗りです。「漆(うるし)」を擦り込んで拭き紙で拭き取るだけです。しかし、いつものようにヤンチャになります。気を付けているつもりですが、手も前掛けも漆に洗礼されます。しかし、この作業は簡単で単純なものです。

問題は、上部の保持部です。実は、このイーゼルをつくった当初は、この上部の保持部は想定外のものでした。既に完成しているものに取り付けようとするとき、難解なパズルを解く想像力が伴います。しかし、工夫することで何とかなることが多いです。

正確な寸法の伴う立体的な形です。そして、ある程度の丈夫さが必要です。まず、本番の前に練習です。簡単な部材での試作です。何とかなりそうです。それを確認して本番です。材料をミズナラにします。実は、適当なケヤキが無かったのです。

このミズナラは、30年以上も室内乾燥させたものです。先般、製材所のY社長さんから1寸の厚さに挽いてもらっています。非常に重く、硬い材です。水にあたると腐り易いものですが、漆でコーティングすることで何とかなりそうです。

加工に使ったツールは、自動カンナ、ジグソー、丸鋸(まるのこ)、ディスクグラインダー、板鑢(やすり)、彫刻刀、トリマー、インパクトドライバー等です。小さい部品づくりですが、工房内は天文学的に散らかります。

おそらく、他に2つとない設計の「上部の保持部」の筈です。笑われそうですが、理論的には間違ってはいないようです。またまた不思議な作品に仕上がることになります。


午前中、川に手をかけます。鯉(こい)の隠れ家です。実は、10年以上も前から、2尺大の緋鯉と真鯉が住み着いています。17~8匹もいます。しかし、水嵩(みずかさ)が低いことから、カラスに背中を突っつかれます。そのための避難所です。

3~4年前、K社長とO社長がつくったものが、ヤツレたことから、ご近所のM氏が作っています。それを取り付けるだけです。簡単な作業ですが、ビッショリと汗をかきます。ついでに、川底の修正です。これには、ご近所の、屈強な5~6人が活躍します。

腰がその存在を訴えています。そして上腕二頭筋がプルンプルンと笑っています。夕食時にはストーブを焚きます。結構な寒さです。

2012/06/17(日) 19:59

既に実感済みの春です。しかし、このところのヤマセで、数日前に暖かさのあったことが信じられなくなります。ここ数日の風はヒヤリと体を刺します。

この気象の変化が作物に影響しているようです。秋に出る筈のヒラタケが突然出現しています。それも数本のホダギ(榾木)からです。寒くなったことで、今を秋と勘違いしたのでしょう。

今日の土曜日はお休みをいただくことにします。課題が山積しているのです。朝食前の早朝から動き回ります。まず、苗の捌(さば)きです。「ルバーブ」です。先日、種から発芽させたものを小さいポットに移しています。その数1000鉢以上です。

先日、K社長が300鉢ほどを畑に植えます。今朝は、T氏、K氏をはじめW氏、そして達人のI氏に貰っていただきます。その数300鉢ほどです。それも半ば強引に引き取っていただきます。それでも残った数は400鉢以上もあります。



これらの行先を試案していたところ、K社長が、『残ったものをすべて植えましょう。』、と言ってくださいます。実は、このところ「ルバーブ」の啓蒙運動をしています。その甲斐があって、ご年配のご婦人の皆さんが、『面白そうです。やってみましょう。』と、その気になっているのだそうです。有難いことです。

この「ルバーブ」はシベリア南部が原産です。今はイギリス、アメリカで一般的になっています。日本国内でも育てている方がいるようですが、奥州最北端では、その名前を知る方は殆どいないようです。是非、北から発信したいところです。


久しぶりの木工活動です。一週間ぶりです。貪(むさぼ)るように、あれもこれも、と手をかけます。その一つが「台づくり」です。全てのカット作業をチェンソーで熟(こな)します。

材料は、クリ(栗)、青森ヒバ、そしてスギ(スギ)です。加工の多くは相欠(あいじゃくり)です。植木鉢を置くスタンドです。キチッとした加工は寧(むしろ)庭には似合わないようなのです。頑丈でありさえすれば、アバウトな加工でも十分です。ま、何とかなったようです。


午後は、納品する作品の下拵え(したごしらえ)です。実は、「大人の休日」がスタートしています。早急に、1000個から2000個をつくることになります。

そして「額(がく)」の仕上げです。これも依頼されたものです。『急ぐものではない。』とは言われていますが、既に1ヶ月以上も経過しています。追い込みをかけることになります。

仕上げ、とはいっても、細部の設計は思案中です。いつものように、作業しながら決定することになります。ま、何とかなる筈です。

2012/06/16(土) 15:04
昼前、太平洋方面に向かいます。出発時には青空でしたが、30分ほど経って、小雨の混じる曇天に変化します。並行して、気温は顕著に下がってきます。わずかの距離で天候が異なっています。

目的地に着いてから中年のご婦人とお会いします。「寒いですね。」とご挨拶します。すると、『ヤマセです。この気象は夏過ぎまで続きます。お米がよくできない所以(ゆえん)です。』と、やや自嘲ぎみにお話します。

ヤマセの表記に「山背」があります。しかし、当地ではやや一般的ではないようです。意味としては、東側から入り込む冷たい風のことです。単に「東風」、「北東風」と表現したほうが良さそうです。

しかし、ニュアンスとしては、それも十分では無さそうです。この「ヤマセ」は冷気とともに日照不足をもたらします。長期の「ヤマセ」は不作につながることから、単なる「東風」とは片づけられない内容を持っています。当地の方言では「ケガジ」と呼ばれているほどの、農家にとっては厄介者です。

同じ「ヤマセ」でも日本海側では受け止め方が異なります。日本海側では日照時間の増大と気温上昇をもたらすといわれているのです。菅原道真の歌に「東風吹かばにほひをこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」があります。この「東風(こち)」は、奥州最北端とは全く事情の異なる「東風」です。

この「ヤマセ」を、昔、奥州最北端のA高校の生徒が研究し、レポートにまとめたことがあります。50年以上も前のことです。太平洋から侵入した風がどこの渓谷を通過したとき、どのように気温が変化する、というものだったようです。


その「ヤマセ」の中、「ハマナス」が一輪咲いています。啄木の「一握の砂」にある『潮かおる北の浜辺の砂山のかの浜薔薇(はまなす)よ今年も咲けるや』の「ハマナス」です。本来は、7月頃の初夏に咲く花です。

話は飛びますが、この歌の舞台は2説あるようです。一方は海を越えた「函館(はこだて)」、そして他方は、同じ奥州最北端の「野辺地(のへじ)」町と言われています。隣町です。この歌碑は「愛宕公園」にあります。


太平洋に近いS町では「ルバーブ(Rhubarb)」が盛んです。原産はロシア南部です。和名は「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」ですが一般的でないものです。実は、先日、この種をいただきました。1000鉢ほどの苗ができます。

次の課題は、その苗の普及です。先日、K社長にお話ししたところ『やりましょう。』ということになります。しかし、この「ルバーブ」の生態が不明であることを訴えます。「育て方」、「将来、どれほどの大きさになるのか」、「どの部分をジャムにするのか」、そして肝心の「ジャムの作り方」等です。

今日、それらの質問に答えるために年配のご婦人の講義を受けます。そして写真に収めてきます。これだけで自信を持って説明できます。しかし、若干の憂いもあります。『今年植えたものからは収穫できないかも知れない。来年には何とかなります。』というものです。

寒さに強く、年を越すのだそうです。奥州最北端に適している筈です。ま、気長に面倒をみていただくことになります。

お暇(いとま)の際、瓶(びん)入りのジャムをいただいてきます。舌足らずの説明は、このジャムで補うことになります。

寒い夕刻です。囲炉裏に炭をくべて暖をとっています。



2012/06/12(火) 18:12

うす曇りです。湿度がやや高いです。このような気象が「漆(うるし)」が乾燥する条件です。昨日の昼、額のフレームに塗った漆はサラリと乾いています。やはり、です。これで本体の殆どは終えたことになります。

今日も少し手をかけることにします。まず、「トンボ(蜻蛉)づくり」です。これは裏板とフレームとを固定する部材です。実は、購入すると1個1~2円です。しかし、手作りすることにします。

材料を、薄いケヤキ(欅)にします。まず鋸(のこぎり)で大雑把にカットします。その後、ディスクグラインダーで形を整えます。当然のように、仕上がる10個それぞれの形は、それぞれ異なっています。それでも、何となくトンボに見えなくもないです。その程度で十分なのです。

これが「トンボ」といわれる所以のようです。それよりも不思議なことがあります。「トンボ」を「蜻蛉」と表現することは納得できそうですが、「蜻蛉」を「トンボ」と読むことです。

おそらく、この「トンボ」は外国の言葉のような気がしています。丁度、「ガラス」を「硝子」と表すのに似ています。勿論、ガラスは英語のglassのようです。


またまた話は飛びますが、昔、「ジグザグに走る」の「ジグザグ」は、当地特有の方言だと信じていました。

しかし、あるとき、英和辞典の最後から2~3ページあたりに「zig zag」を見つけます。子供の頃の大発見です。フランス語では「鋸の刃(歯)」を意味するのだそうです。

さて、この程度の「トンボ」づくりは簡単な作業です。しかし、細かい舞台裏もあります。皿ビスの下穴あけと皿の収まりを良くする配慮等です。しかし、その作業時間もまた一瞬です。早速(さっそく)、ダストカバーと裏板を嵌めて「トンボ」で留めてみます。ま、63点はいただけそうです。

得点の低さは、全体の雰囲気にあります。実は、ワイルドな作品にするつもりが、やや、立派になり過ぎたのです。フレームは「槐(エンジュ)」です。それに漆を塗ったことから豪華絢爛になり過ぎた所為です。

一段落後、依頼主がお見えになります。K社長です。驚くとともに少し混乱しているようです。それは、作業に取り掛かる前の状態を知っているからです。その変化に驚いているようです。

やや不満足はあるものの、これはこれで完成させることにします。残っている作業はマット紙の調達です。期待するのは、エンジ(臙脂)がグンジョウ(群青)の「ラシャ紙」です。


即、K社長に依頼します。『間もなく大人の休日が始まる。間に合わせたい。』と訴えています。ま、何とかなりそうです。


K社長に「ルバーム」の苗を持って行っていただきます。150鉢ほどです。しかし、残り800鉢以上はありそうです。これから皆さんにいただいてもらう運動を開始することになります。まずは「ルバームとは何か。」の啓蒙運動からです。


「茜(あかね)色」のサツキがポツリポツリと咲き始めています。


2012/06/10(日) 14:55

久しぶりの風邪です。子供の頃から風邪のひき易い体質です。しかし、老いてからは数年ぶりです。

昔、運動会や遠足の翌日に、今のような症状になっていたことを思い出します。あらためて、今と昔の風邪の共通因数考えてみます。どうやら「埃(ほこり)」のようです。子供のころは、グランドの土埃(つちぼこり)で、今は木工作業のようです。

いつもは「青森ヒバ」ですが、今回は「槐(えんじゅ)」です。「青森ヒバ」には強力な抗菌力がありますが、やはり、「槐」には無かったようです。先日、「槐」の微粉末が鼻腔や気管に悪さをしたようなのです。

今朝は、その「槐」の「額縁(がくぶち)」に手をかけることにします。「額づくり」は簡単な作業ですが、それなりの過程を踏むことになります。まず、「留め」の補強からです。実際の補強はL字金具で終えています。しかし、この仕掛けは表面に見えないものです。そのことが少し不安です。


隠れた実利のよりも、無粋とも映る、あからさまに目に見える補強は捨てがたいものです。安堵感を演出してくれるのです。いわば演技です。しかし、必要な要素に思えます。既に強度は確保しているものの、躊躇(ちょうちょ)なく、敢えて補強することにします。

木工の世界の専門用語は解かりませんが、「埋木(うめき)」です。トリマーでつくった溝に「ケヤキ」を埋めることにします。簡単な作業です。次は彫刻です。最もセンスの問われる作業です。

テーマは、如何に自然を演出できるか、です。実際には簡単な作業です。しかし、自然に腐った痕跡のように加工することは至難の技です。どうしても、手加減する傾向にあるのです。その結果、ミミッチイ結果になりがちです。

満足、不満足にかかわらず、作業はバタバタと進みます。そして「塗装」に入ります。塗料に悩んだ結果、「漆(うるし)」に落ち着きます。宇宙の果てに船を移動する科学力はあっても、「漆」以上に優秀な塗料は今もって開発されていない次元の逸材です。


狭庭は日毎に変化しています。今朝、薄紫の花が咲いています。「キヌサヤ」です。先日、T氏からいただいたものです。いつものことですが、所謂、花の花よりも野菜の花の方が優秀であることを思い知らされます。


夕刻、H氏がお見えになります。漆の専門家です。これまでの作品をチェックしていただきます。曖昧な世界がクリアーになります。新たな創作意欲が湧いてきます。


2012/06/09(土) 19:37