昼前、太平洋方面に向かいます。出発時には青空でしたが、30分ほど経って、小雨の混じる曇天に変化します。並行して、気温は顕著に下がってきます。わずかの距離で天候が異なっています。

目的地に着いてから中年のご婦人とお会いします。「寒いですね。」とご挨拶します。すると、『ヤマセです。この気象は夏過ぎまで続きます。お米がよくできない所以(ゆえん)です。』と、やや自嘲ぎみにお話します。

ヤマセの表記に「山背」があります。しかし、当地ではやや一般的ではないようです。意味としては、東側から入り込む冷たい風のことです。単に「東風」、「北東風」と表現したほうが良さそうです。

しかし、ニュアンスとしては、それも十分では無さそうです。この「ヤマセ」は冷気とともに日照不足をもたらします。長期の「ヤマセ」は不作につながることから、単なる「東風」とは片づけられない内容を持っています。当地の方言では「ケガジ」と呼ばれているほどの、農家にとっては厄介者です。

同じ「ヤマセ」でも日本海側では受け止め方が異なります。日本海側では日照時間の増大と気温上昇をもたらすといわれているのです。菅原道真の歌に「東風吹かばにほひをこせよ梅の花主なしとて春な忘れそ」があります。この「東風(こち)」は、奥州最北端とは全く事情の異なる「東風」です。

この「ヤマセ」を、昔、奥州最北端のA高校の生徒が研究し、レポートにまとめたことがあります。50年以上も前のことです。太平洋から侵入した風がどこの渓谷を通過したとき、どのように気温が変化する、というものだったようです。


その「ヤマセ」の中、「ハマナス」が一輪咲いています。啄木の「一握の砂」にある『潮かおる北の浜辺の砂山のかの浜薔薇(はまなす)よ今年も咲けるや』の「ハマナス」です。本来は、7月頃の初夏に咲く花です。

話は飛びますが、この歌の舞台は2説あるようです。一方は海を越えた「函館(はこだて)」、そして他方は、同じ奥州最北端の「野辺地(のへじ)」町と言われています。隣町です。この歌碑は「愛宕公園」にあります。


太平洋に近いS町では「ルバーブ(Rhubarb)」が盛んです。原産はロシア南部です。和名は「ショクヨウダイオウ(食用大黄)」ですが一般的でないものです。実は、先日、この種をいただきました。1000鉢ほどの苗ができます。

次の課題は、その苗の普及です。先日、K社長にお話ししたところ『やりましょう。』ということになります。しかし、この「ルバーブ」の生態が不明であることを訴えます。「育て方」、「将来、どれほどの大きさになるのか」、「どの部分をジャムにするのか」、そして肝心の「ジャムの作り方」等です。

今日、それらの質問に答えるために年配のご婦人の講義を受けます。そして写真に収めてきます。これだけで自信を持って説明できます。しかし、若干の憂いもあります。『今年植えたものからは収穫できないかも知れない。来年には何とかなります。』というものです。

寒さに強く、年を越すのだそうです。奥州最北端に適している筈です。ま、気長に面倒をみていただくことになります。

お暇(いとま)の際、瓶(びん)入りのジャムをいただいてきます。舌足らずの説明は、このジャムで補うことになります。

寒い夕刻です。囲炉裏に炭をくべて暖をとっています。



2012/06/12(火) 18:12