奥州北端も「梅雨明け」が宣言されました。しかし、昔の社会科の教科書には、「奥州北端には梅雨は存在しない。」と書かれていたことを記憶しています。よく解らない世の中になっています。

それは兎も角、暑い日が続いています。今朝の天気予報でも、『エアコンを使ってください。』と訴えていました。予(かね)てから、この「断定的物言い」が、やや不満でした。それは、国内最大手のN局の読み上げ原稿にしてはデリカシーが無さ過ぎるようだったからです。

実は、『使え』と言われても、拙宅には「エアコン」が無いのです。北の夏の過ごし方は、開闢(かいびゃく)以来、玄関や庭の戸を開け放ち、「簾(すだれ)」を吊るし、「蚊取り線香」を焚(た)くだけです。他はせいぜい「団扇(うちわ)」、「風鈴(ふうりん)」で凌(しの)んできました。尤も、近年になって扇風機が導入されましたが・・・。


第二工作室(物置)では、「貯金箱」の「塗装」の続きです。先日、「螺鈿(らでん)」にしようとしました。今日は「蒔絵」にしようとします。

「蒔絵(まきえ)」の「まき」は「巻」ではなく、「種蒔き」の「蒔(ま)き」です。これは、「漆(うるし)」の上に「金粉」等を「蒔(ま)」いて、「絵」や「模様」を描く方法のことです。手元に残っていた「金粉(本物ではない)」を蒔きました。

既に「貼り付けた」「螺鈿」の絵柄は「米俵」、「琴柱」、「打ち出の小槌(うちでのこづち)」、「丁子(ちょうじ)」、「鍵」、「扇」、「花びら」等です。「貯金箱」らしく、「絢爛(けんらん)さ」が増したようです。


他方、畑は、キュウリ、ナス、ピーマン等の収穫です。結実の不安があったメロンとスイカには15個ほどの実が生(な)っています。『こだまスイカで、孫はメロメロ』の「諺(ことわざ)」があるそうです。これは、「スイカはコヅルに生り、メロンは孫づるになる。」の意味だそうです。今日、勇気を奮い、それにしたがって剪定しました。

今後の時間の経過をドキドキしながら、正座しながら、且、厳粛に見守ることになります。


露草が咲いています。「露草」の季語は「秋」のようです。まさに、「必殺」の、『春と思えば夏がきて、夏とおもえば秋がきて、所詮最後は寒い冬』です。

露草(ツユクサ)の語源は、「朝咲いた花が昼にしぼむ様子が朝露を思わせる。」にあるようです。

『月草の借れる命にある人をいかに知りてか後も逢はむと言ふ・作者不明 (月草(つきくさ)のようにはかない命なのに、なぜ、「後で逢いましょう」、などと言うのですか?』

「ツユクサ」は多くの名を持っています。その多さの所以(ゆえん)は、多くの人々がこの草と係わりを持っているからのようです。

ツキクサ(月草)・オウセキソウ(鴨跖(カモの足)草)・ホタルグサ(蛍草)・ボウシグサ(帽子草)・アオバナ(青花)・ツケバナ(着花)・カマツカ(鎌柄)・ハマグリグサ(蛤草)・メグスリグサ(目薬草)・トンボグサ(蜻蛉草)・・・。

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2025/07/21(月) 04:51
このところの生活サイクルは、就寝時刻17:30、起床時刻3:00です。一般的ではない早い時刻のサイクルです。この起因は、いくつかありそうです。

まずは、歳の所為(せい)によるものです。他に、冬季間の「除雪」もありそうです。実は、筆者の「作業時刻」は「丑三つ時(うしみつどき)」の頃です。この頃の往来が殆(ほとん)どないからです。

「除雪作業」必要の有無は「降雪量」によって決まります。「積もって」いれば、即、作業開始です。降らなければ「除雪」の必要はなく、惰眠(だみん)を貪(むさぼ)ります。

しかし、雪は「音無し」に降ります。「降雪量」の如何(いかん)は、実際に外に出て、目で確認しなければ解らないのです。そのことを確認するのは「3:00頃」です。

その未明の舞台裏は冬中(ふゆじゅう)続きます。やがてそのパターンが体に染みつき、「目覚まし時計」無し、で行動できるようになります。所謂(いわゆる)、「規則正しい生活」が身についてしまうのです。

夏でも「起床・就寝時刻」が早いのは、その冬の生活パターンに起因していることも考えられるのです。夏の今も、冬のパターン通りの3:00の「wake up」です。


今日は起床後、まず、「漆工作業」を楽しみます。作業場は、駐車場一角の「物置」です。このところの日中は異常な暑さです。ヒヤリとした中での作業は快適の極みです。

課題は「貯金箱」への「塗」です。この「貯金箱」を10年ほど前につくりました。しかし、「脚」や「塗(ぬり)」の具合に不満足があったのです。手をかけ直すことにしました。

「漆塗(うるしぬり)」には結構な時間を要します。しかし、その瞬時ではできないところに、その面白味が潜(ひそ)んでもいそうなのです。今回は「螺鈿(らでん)」を取り入れることにしました。木地に貝を埋めて磨き上げる手法です。


「もぢずり」が咲きました。
『陸奥の しのぶもぢずり 誰ゆゑに 乱れそめにし 我ならなくに(河原左大臣・かわらのさだいじん)・藤原定家選百人一首より』の「もぢずり」です。

・・・『陸奥(みちのく)の花、しのぶもぢずりの乱れ模様のように、乱れ始めてしまいました。それは、私のせいではありませんよ。(あなたのせいなのです。)』

「もぢ(じ)ずり」は、「忍摺・信夫摺(しのぶずり)」、「捩摺(もじずり)」、「ネジレバナ」、「ネジリバナ」、「ネジバナ」、「ねじり草」等とも言われます。夏と秋に咲くようです。既に、秋のイントロ(introduction・序奏)です。

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2025/07/15(火) 05:58
今日は肌寒い日です。気温は低くはないものの、これまでがあまりにも暑かったので涼しく感じるのでしょう。

今日の園芸作業は、きゅうり、トマト、ササギ等の収穫、施肥と水遣り、そして「イチゴ」の「ランナー」を「U字ピン」で誘引します。「イチゴ」は「ランナー」で増殖します。その「苗づくり」です。謂わば、来春のイントロ(introduction)です。


その後、工作室に入ります。早朝の工作室は居心地が良いです。籠(こも)って「漆工」の続きです。作業は、これまでの手直し、塗り直しの下拵(したごしら)え、そして塗り直し、乾燥へと続きます。

塗りに要する時間は1時間ほどですが、その「漆」が乾くまでは1日ほどを要します。「塗っては乾かし、塗っては乾かし」の作業です。

壊れた箇所の手直しから「木地調整」まで、ある程度の結果を得るまでは、10日ほどを要します。

最初に「弁当箱」、「重箱」等の「漆器」の仕上げ塗りです。これらは、「内側」が「朱」、外側は「津軽塗」や「輪島塗」、そして「生漆(きうるし)」の「拭き漆(ふきうるし)」等です。

これら全体に「生漆」を塗り、「拭き紙」で拭き取ります。所謂(いわゆる)「拭き漆」です。

「金継ぎ」には膨大な時間を要しました。今日は、その最終段階です。「刺身皿(さしみざら)」、「抹茶椀(まっちゃわん)」、「取り皿」等です。

ほぼ完成はしていたのですが、うっかり付けた「漆の跡」があちらこちらに残っていたのです。それらの削除です。1000番ほどのサンダーで優しく取り除きます。

「金継ぎ」は「壊れ物」です。それを来客用にするには抵抗があります。しかし、個人的に、「酒のつまみ入れ」等に使うには最適です。「欠け落ちた部分」や「割れの接着」等を眺めているだけで、食事が美味しくなり楽しいのです。


いつの間にか「合歓(ねむ)」が咲いていました。


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2025/07/12(土) 05:13
奥州北端の今日(7月7日)は、気温も湿度も、顕著に高いです。過ごし難いものの、この条件は「漆工」には適しています。即、作業開始です。

実は、手がけていた対象が以前から、工作室で出番を待っていたのです。「重箱(じゅうばこ)」、「菓子重」、「弁当箱」、「お椀」等です。

「重箱」は200年ほど前から我が家に君臨していたものです。極めて優秀な「塗り」です。しかし、如何(いかん)せん、時間が経過し過ぎています。「割れ」が入っていました。

「弁当箱」は50年ほど勤務先での昼食時に愛用していたものです。これも、合わせ目に隙間(すきま)が生じています。また、「朱漆」の劣化も進んでいました。

それらの「手直し作業」は、「表面の削り取り」等、ある程度の「下拵(したごしら)え」は済ませています。残る作業は、「朱漆と生漆」の「塗り」です。

最初は、「朱漆の塗り直し」です。「漆工作業」は経験済みです。しかし、いざ、となると様々な迷いが生じてきます。

当初、「拭き漆(ふきうるし)」のつもりでした。これは、漆を「塗って拭き取る」、の繰り返しで仕上げる方法です。いわば、贅沢な「漆」の使い方です。そのため、多くの漆を要します。しかし、「手持ちの漆」の量が少なく、これを断念します。

結局、「刷毛塗(はけぬ)り」に落ち着きます。尤も、途中途中で、「拭紙で撫でる」程度の調整過程は取り入れます。

この高温多湿の条件下です。薄い刷毛塗後数分で朱漆は乾いていきます。数度の塗り重ねで要した時間は、ほんの1時間半ほどでした。今後の作業予定は、このまま数日置いた後、仕上げ工程の、「生漆」の「拭き漆」です。

7月7日は、亡父の誕生日です。また、昔、古典の教科書で読んだ記憶もあります。玄宗皇帝と楊貴妃を詠った、白楽天の「長恨歌」の後半に載っていた筈です。

55年も昔のことです。昨日今日のことの記憶は残っていなくても、昔の記憶は残っているのが不思議です。

『・・・七月七日長生殿 夜半無人私語時 在天願作比翼鳥 在地願為連理枝 天長地久有時尽 此恨綿綿無絶期・・・』


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2025/07/07(月) 12:37
先日、「スケルトン(葉の骸骨)」をつくろうとしました。30年ほど前、一度挑戦したことがあるものの、その折は見事に失敗しています。その瑕心(きずごごろ)払拭のため、今回、「仕切り直し」を決意しました。

しかし、結果的には、今回も見事に失敗です。理由のひとつは「葉の選択」でした。当初使ったのは「軟らかい葉」です。しかし、それでは「葉」が溶けてしまうのです。結局、硬い「青木葉」に落ち着きました。

次は、「葉脈」が見えてこないことでした。「葉脈」は、「パイプクリーナー」に浸け軟らかくした後、「歯ブラシ」で叩(たた)いたり、擦(こす)ったりなどして「取り除く」きます。その工程が上手(うま)くいかなかったのです。

今回も断念しようか、とも考えました。しかし、これまで要した時間は10日ほども、です。何となく「愛着」が湧いてきています。ここまで来た以上、投げ出すことなく、拙(つたな)いながらも最後まで見届けるべき、と思うようになります。

「パイプクリーナー」に浸け、その後、「漂白剤」に浸け、そして「ねぶた絵具」で着色します。

その時点では、「葉」は「ヘタヘタ」になっています。それをキッチンペーパーで塗料を吸い取り、紙に挟(はさ)んでアイロンがけし、更に紙に挟んで数日置き、室内の空気に2~3日晒(さら)して乾燥させます。

その結果、何となくそれらしくなりました。しかし、そのままではデリケート過ぎて、「栞(しおり)」としては使えません。

結局、「ラミネート加工」を思い立ちます。この工程は、いつもお世話になっている「Kさん」が担当してくださいました。電話連絡すると、フットワークよく即対応してくださったのです。感謝すること頻(しき)りです。

拙い出来でした。しかし、「Kさん」は、『この斑(むら) が良いですね。』、『手作りの暖かさが伝わってきます。』等と言って下さいます。その一言で、拙い作品が突然、期待以上の作品に変身します。

今後、「パンチ(punch)」で穴をあけた後、「紐(ひも)」を通して完成です。そして、友人の皆さん(東京のT君、地元旅館の女将さん等)にお届けし、無理やりでも使っていただくつもりでいます。

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2025/07/06(日) 07:42
野菜の育ちが極めて旺盛(おうせい)です。この暑さと時折の雨の作用によるゆうです。

早朝、「キュウリ(胡瓜)」を収穫しました。「初生(はつな)り」30本ほどです。それを、お世話になっているS旅館にお届けしました。「しんこ(新香)」用です。

「ササギ(大角豆)」も生(な)り始めています。前日「丸箸(まるばし)」程度だったものが、今朝は2cmほどの幅にもなっています。

「ササギ」は「種」からのスタートでした。種を100個ほど植えたところ、それらの殆(ほとん)が「芽出し」し、苗に変身しました。生命力の強い「ササギ」でした。

それらを植える場所が無く、多くは、ご近所にお分けしました。自宅畑に植えたのは30苗ほどでした。今、それらが、只管(ひたすら)、上、上に伸びています。その途中々々に細い「鞘(さや)」が目撃できています。

丁度、「ジャックとマメの木」の「マメの木」に似ています。尤も、「ジャックとマメの木」を読んだ頃は、どうして「マメの木」が「上へ、上へ」と「雲の上」にまで伸びるかを理解していませんでした。それが、今になって、漸(ようや)く解った気がします。

そのため、実際の剪定(せんてい)は、先端の生長点をカットし、「脇芽」の成長を促してやます。やがて、天文学的な量の「ササギ」が生(な)る筈(はず)です。また、一つ、二つながら、「ナス(茄子)」もも大きくなっています。

収穫の暁(あかつき)には、この「ササギ」と「ナス」、「紫蘇(しそ)の葉」、「ピーマン」等での「味噌炒(いた)め」です。「津軽の夏」を謳歌(おうか)するレシピです。

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2025/07/06(日) 03:55