「園芸事情」・・・滑り込み

やはり降りました。時折の晴れ間はみせるものの、今日は殆(ほとん)ど終日(しゅうじつ)の吹雪(ふぶき)です。

吹雪は、激しい風に混じって降る雪です。また、一旦降り積もった雪が風によって巻き上げられる状態も指すようです。今日はその両方です。

ピュー、ゴーと音を立てる風です。それが雨戸の間隙から進入して障子をガタガタ揺(ゆ)すります。一冬(ひとふゆ)に数度あるかないかの厳寒の吹雪です。明日は更に冷え込むようです。

遅れ馳(ば)せながら、その合間を縫っての「雪囲い」作業です。昨日の続きです。明日の予報は、最高気温がマイナス3℃、そして最低はマイナス6℃だそうです。

しかも、向こうしばらくに降雪を表す雪だるまマークがついています。待つことで更に条件が悪化しそうなのです。


作業条件は必ずしも満足ではないものの、朝からの開始です。今日のテーマは萱(かや)がけです。丸木の骨組みに萱を貼り付けるだけです。

ツールは縄です。しかし、気温が低いことから縄を切る剪定鋏(せんていばさみ)が軍手にピタピタと吸い付きます。氷点よりも相当低いようです。

1時間半ほどで全て終了です。囲った順に雪が付着していきます。何とか滑り込みセーフだったようです。しかし、まだ憂いはあります。大きいイチイ(一位、オンコ)がまだです。単に、厚いヌキ(貫板)2~30枚で屋根をかけるだけです。

これは、天候の回復をみてからでも間に合いそうです。高所の作業になりますが、ま、たいしたことの無いものです。「雪囲い」を終えた頃は体がポカポカしています。その勢いで、今度は除雪です。数日振りのタイヤショベル出動です。結構な量です。


「工房事情」・・・CnHn

午後は「看板づくり」です。文字部分に1回目の漆(うるし)をのせてから3日経っています。概(おおむ)ね乾燥しています。例によって仕上がりがザラザラです。1回目の塗りの結果はこのようなものです。

2回目の塗りに入りました。まあまあのようです。しかし、満足するまでにはあと2回ほどの繰り返しが必要なようです。今回の乾燥には別室を用意しました。これからは僅(わず)かの埃(ほこり)も嫌いたいところです。

別室には石油ストーブを焚(た)いています。50年前の化学の授業では、石油はCnHnだった筈です。そのC(炭素)がO2(酸素)と結合し、CO2(二酸化炭素)となって燃えます。

他方、CnHnから分離されたHnはO(酸素)と化合してH2O(水)になります。だとすれば、この水分が漆の乾燥を促(うなが)してくれる筈なのです。・・・既に半世紀も昔のことです。少し曖昧(あいまい)にはなっているのですが・・・。

今回はやや厚く塗っています。乾燥までは数日を要します。その後、更に数回は塗ることになります。

手を掛けてから10日ほども経っています。漆の宿命です。反面、時間の経過だけが解決に導いてくれることに魅力を感じます。

2011/01/06(木) 17:26

正月も5日になりました。午前中にはチラチラとした雪はあったものの、午後は青空です。雪が少ないことにホッとしています。

数日前、1mの積雪予報がありました。結果的には殆(ほとん)ど皆無(かいむ)です。往々にして、この状況が困ることになります。

前にも書いた記憶がありますがイソップ物語の『狼(と)少年(羊飼い)』のような心境になってしまうのです。

『狼が来た』、といつも嘘をついていたところに本当に狼が来ます。いつもの嘘だろう、と誰も対応しなかった、というストーリーです。

勿論、天気予報はさまざまなデーターに基づいた、一般市民に配慮する老婆心的な姿勢です。それで正解のようです。

しかし、『降る』、といっても降らないことがこうも頻繁(ひんぱん)であれば、『降る』、という情報に「どうせ降らないのでしょ」、と反応する傾向になってしまいます。


顕著に少雪の今年です。しかし、時期的には何時(いつ)ドカーンときても可笑(おか)しくないところです。一旦降り出すと2m以上も積もる年もあります。そろそろリミットのようです。

延び延びになっていた「雪囲い(ゆきがこい)」の断行に、ついに踏み切りました。

小さい木はだいぶ前に済んでいますが大きい木が十数本残っていたのです。丸木で骨組みをして、その外側を萱(かや)で覆(おお)うだけです。しかし、この骨組みが厄介(やっかい)です。

長く太い丸木をコントロールするには、バランスのとりかたの巧拙(こうせつ)もありますが結構な腕力も伴います。まず、3本の木をまとめて上端を縄で縛ります。

それを立て、回転させ、3角推(さんかくすい)をつくります。これだけでピタリと安定するものです。それに補助の丸木を数本凭(もた)れかけさせます。


今日はこの段階で終了です。明日以降の楽しみが無くなることもありますが、少し腰に来てもいます。作業スタート時点では寒かったものの、少し動くだけで汗ばんできます。結構な運動量です。

昔は3時間もあれば綺麗にやりおおせた内容を今は2日がかりです。少し恥ずかしいところです。しかし、あとは萱(かや)がけです。大したことの無い作業です。

正月の今時の「雪囲い」は一般的ではないようです。しかし、基本的には、できるだけ遅く囲い、できるだけ早く外すのが木の健康を考えた本来の「雪囲い」のあり方です。

勿論、そのことを力説するつもりはありません。ご近所の皆さんも、今日の作業を不思議な面持ち(おももち)で見ています。来年はもう少し早いタイミングを考えたいところです。



2011/01/05(水) 18:15

早朝は、屋根に積もっている雪からダラダラと雫(しずく)が落ちています。暖気だったようです。

しかし、明るくなるにつれて、いつの間にかその雫は止んで静かになります。明るい日中ではあったものの、次第に冷えてきました。


久しぶりに庭に出ました。全体的には白一色です。しかし、大きい木の下になっている場所には殆ど雪はありません。「飛び石」の見えているところもあります。ホッとします。

雪のある無しが精神的フットワークに大きく作用していることに齢を思います。

庭のあちらこちらに「ホダギ」を置いています。ナメコとヒラタケを植菌したものです。それらの木口を中心に「エノキダケ」が見えます。

小さい傘でグジャグチャと生(な)っています。この別名は「ユキノシタ」です。


名にしおう「雪の下」です。念のため、覆(おお)っている雪を掻き分けてみます。やはりあちらこちらに群生しています。感動するものの、現実的にもなります。

今収穫しなければ春の雪融けまで待つことになります。ボリュームは無いものの、シャキシャキ感が捨て難いところです。即、収穫です。鋏(はさみ)が活躍しました。

鳥取、島根の雪に驚いています。雪の重みで船が沈む、ということは聞いたことの無いものです。奥州最北端でも、今の少雪は長くは続かない筈です。そろそろ、本格的な雪を迎え入れる心準備はすべきのようです。


工房では今日も漆塗りです。まず、10日ほど前に手を掛け始めた「ケヤキのコップ」です。「拭き漆」仕上げです。何回繰り返したかは忘れてしまいました。だいぶ艶(つや)が出てきたようです。

実は、この「拭き漆」は繰り返す毎に魅力を増します。これで良し、の段階が無いのです。しかし、依頼者もシビレをきらしている頃です。そろそろ完成としても良さそうです。


ついでに、小さいヒバの器等にも塗りました。拙(つたな)い生地(きじ)からスタートした、あちらこちらに斑(ムラ)のあるものです。しかし、その拙さが魅力的でもあります。和(なご)みがあるのです。

例によって、手が漆で真っ黒になっています。見た人はドキッとする筈です。漆の扱いが下手なのです。今のところは受け入れなくてはならない世界です。

「看板」がこのところのメインテーマです。昨日、文字に、1回目の漆をのせました。流石(さすが)に乾燥はまだです。むしろ、乾きに十分な時間をかけることで、「ヒビ割れ」ができ難(にく)い利点があるようです。

「割れ」は、乾燥条件の整った環境でおこるようです。表面と内部の乾きに要する時間差が原因と言われています。しばらくは待つことが仕事です。

白楽天や清少納言ではありませんが、「香炉峰の雪」のように、覆(おお)っている新聞紙を何回も撥(かか)げて乾燥状態を観察しているところです。

2011/01/04(火) 16:02

穏やかな三が日(さんがにち)です。早朝(6:00頃)外出した折、ご近所の数方にお会いしました。交わす挨拶は『いいですね。』です。これは、「雪が降らないで助かりますね。」、という意味です。

特に、ご年配の方には、降ると降らないには大きい違いがあります。このままでは済まない筈の雪です。しばらくは体力温存期間を楽しめそうです。

さて、「看板づくり」が佳境を迎えています。昨日、「仕上げ用」の「木固めエース」を表面に塗っています。今朝みると完全な乾きではないものの、何とか妥協の範囲のようです。

この段階での妥協が、即、醜い結果に繋がることは往々です。しかし、堪え性(こらえしょう)の無いことが切ないです。次の段階にすすむことにしました。


まず、「マスキング」の除去です。この「マスキング」は初めて使う「液体」です。期待と不安感があります。おそるおそる縁(ふち)から剥(は)ぐと驚くほど綺麗に剥がれます。腰が強く密度の濃いゴムのようです。意外に短時間で作業完了です。

次の工程に迷うところです。文字の輪郭に溝を入れるか否か、です。結局、トリマーを登場させました。「V字ビット」を使います。曲線であることから、定規(じょうぎ)を用いない、完全フリーハンドに委ねる作業です。

「勇み足」のできないことから、結構な集中力が要求されます。しかし、何回か経験している内容です。終わってみれば大したことの無いものとして記憶されます。

そして愈々(いよいよ)文字です。塗料に使う漆は乾きの遅い種類です。実は、今回はやや厚く塗る部分があります。普通の漆ではシワシワが発生しそうなのです。乾きにジワリジワリと時間をかけることで、ある程度は割れを防げそうなのです。

看板づくりは、この工程が最も肝心です。「勇み足」はしたくないところです。そして時間を要するのもこの文字書きです。溝に漆を馴染ませるにはデリケートな筆づかいと途方もない回数を要します。


結局、4文字に3時間以上を費やしました。あとは乾きを只管(ひたすら)待つだけです。その間は埃(ほこり)厳禁です。しかし、これは1回目です。乾きを待って、数回は繰り返すことになります。尤も、溝部分は多少の微調整だけで良さそうです。

しかし、困った舞台裏もあります。看板が大きいことで「漆風呂」に入らないのです。今は単に、工房の一角に新聞紙を被(かぶ)せ、休ませているだけです。しばらくはプレナー(自動カンナ)、ベルトサンダー、丸ノコ等は遠慮すべきのようです。

実は、この文字の描き方は、これまで経験した試行錯誤だけを教科書にしています。謂(い)わば完全自己流です。是非機会をみつけてプロの技に会いたいところです。一瞬垣間見るだけで全ての疑問を拭(ぬぐ)い去ることが可能な筈なのですが・・・。

反面、既成概念には縛られたくない思いもあります。外の情報に出会うことで独自性を失うことに不安があるのです。勿論、傲慢(ごうまん)さは認識してはいます。素人(しろうと)の当面している悩みです。


年末年始とはいうものの、晦日(みそか)、大晦日(みそか)、そして正月三ケ日と真剣勝負の毎日です。しかし、充実した楽しい毎日です。今年も一歩前進するつもりです。

2011/01/03(月) 18:18

昨晩、遠方のお宅にお邪魔しました。西も東も地平線の見える津軽平野のど真ん中です。今朝、東の空が焼けていました。

この朝焼けには諸説あるようです。やがて荒れる兆候、というのが一般的のようですが、反面、好天の兆しの説もあります。よく解りませんが幻想的です。

今の時期には、家の周囲に「カッチョ」を回しています。これは、平野を走る風が運ぶ地表の雪の防雪柵です。しかし、今はまだ、その「カッチョ」近くには殆ど雪は見られません。ここ暫らくは、大量には降っていないのです。


話は飛びますが、昨年、小島一郎写真展を見ました。「安全への逃避」の沢田教一がお勤めしていたのが小島写真館です。その作品の中に、冬の津軽の厳しさを描いたものがあり、「カッチョ」が登場します。

津軽平野の地吹雪は想像を超える世界です。どれだけ荒れるか解りませんが、春の序奏と思えば耐えることは出来そうです。


さて、「看板づくり」です。昨日の元旦、下地塗りの2回目でした。今日、帰宅後見るとまあまあです。多少の迷いはあるものの、仕上げ塗りを決心しました。これまで使ったのは、いわゆる「木固めエース」だけです。しかし、その中には「仕上げ用」もあります。

この「仕上げ用」は、乾いた後の硬度が高いようです。また、滑(なめ)らかに仕上がるようです。文字部分の「マスキング」はそのままにして、「仕上げ用」を使います。塗った後の結果は塗った後でなければ解らないことが不安です。


しかし、結果は歴然です。飴色(あめいろ)が濃さを増しています。そして光沢もです。実は、この看板は大きいホテルの浴場用です。広い入り口にはこれくらいのインパクトがあっても良さそうです。地を納得した時点で、文字に黒漆を盛ります。

ホテルの雰囲気に合ったオリジナルの看板になりそうです。喜んでいただけることを期待しながら、もう暫らくは喜びを感じながらつくることになります。


夕刻は新年会です。例によって突如です。肴(さかな)は残っている正月料理とブリ大根です。おそらく、またまた天下国家と地元活性化の意見交換になります。尤も、翌日にはその内容のほとんどが忘れ去られている交歓会です。

2011/01/02(日) 17:46

新年あけましておめでとうございます。

青空の見える、明るい新年初日の朝です。2日ほど前には100cmの積雪予報です。1mの量というのは希有のことです。心準備をしていたところ、湿った雪がほんの少し降っただけです。拍子抜けはするものの、大いに歓迎するところです。


工房では今日が仕事始めです。とはいうものの、これまでお休みしていたのではなく、昨晩の続きです。仕事始め、というのは、年が改まっての最初の仕事日のようです。


昨年暮れから「看板」をつくっています。殆どの下拵(したごしら)えを終え、昨晩から塗りに入りました。今回初めての試みがあります。地塗り(じぬり)の前の、文字部分のマスキングです。

初めて使う「液体マスキング」です。 期待と多少の不安もあるところです。この部分には将来、漆(うるし)が施されます。地(じ)のウレタンが文字部分に侵略しないための工夫です。

昨日、地(じ)の塗りを開始しました。裏面から手をかけました。白木(しらき)に塗装すると、木肌が立ち上がる傾向があります。1回目は特にそうです。その手当をしながら、昨晩のうちに、裏面に2回塗り終えました。

今日の朝、表面の1回目、そして昼に2回目です。回を重ねる毎に雰囲気が変わります。白っぽい淡黄色から、次第に飴色(あめいろ)に変わります。感激します。そして透明感のある光沢です。


特に、節(ふし)や素直な目でない部分に惹(ひ)かれます。また、明確化する木の目も圧巻です。

木の鑑賞は、この世界にある、と言われています。と同時に、これからの仕上げ塗りに緊張することになります。

これから一昼夜、乾燥を待ちます。3回目の塗りについては明日の判断に委(ゆだ)ねます。実は、「仕上げ塗り」用の「木固エース」も準備しています。これもまだ使ったことの無いものです。

今日は家を離れて遠方に来ています。明日の再会が楽しみです。今年もまた新しい世界に足を踏み入れるつもりです。・・・結果の如何は問わず、です。
2011/01/01(土) 13:38