次に、塗りです。これにも悩みます。当初、「木固エース」のつもりでした。しかし、途中から「漆(うるし)」に変えます。

実は、昼前、F県のH氏がお見えになります。漆の専門家です。その彼から『漆に如くものは無いです。』、と言われます。それで決定です。

そうなると、木地(きじ)の調整が必要になります。これには、最近使い始めている専用の剤を用います。乾き易いものです。青森ヒバの折角の淡黄色が、一旦、黒くなるのが切ないです。乾燥後、全体にサンダーをかけて不要部分を削除します。

次は、いよいよ漆です。1回目の漆は木地にタップリと吸わせてやります。その後、徹底的に拭き取ります。この漆は明朝には乾きます。しかし、その前にすべきことがあります。「箍(タガ)まわし」です。


いつものように、タガ材を「トヨシ(籐葦)」にします。タケ(竹)は硬く、小さい弧に対応し難いのです。バタバタとした作業になります。

本来、正確に編まれたものは綺麗に仕上がるのですが、今回は、多少の醜さがあります。ま、それもまた、楽しからずや、です。

編んだタガを生乾きの桶に差し込み、グッ、グッと締め付けてやります。その過程で、板と板の間に浸み込んでいた漆が滲み出てきます。今回のタガを、「口輪タガ」と「底持ちタガ」の2本だけにします。

次は、編んだタガの隙間を埋めることにします。洗う際に水分を含まないようにするためです。トヨシの隙間に漆を流し込み、その後、木地調整用の剤を埋め込みます。それが乾く前に余分を拭き取ります。


この段階はテンヤワンヤの作業です。手袋をしていても手は真っ黒になります。ある程度で妥協します。

この妥協によって、明日は只管(ひたすら)サンダーをかけることになります。

作ろうとしているのはマグカップです。この定義に「手つき」があります。今晩、その構造と取り付け方法を考えることにします。「青森ヒバ製」の「タガつき」、そして漆塗りです。不思議なものが出来そうです。


2012/08/13(月) 17:08

このところの友人との会話のテーマは食害についてです。熊と烏(カラス)に丹精の作物が食べられているのです。

熊がトウモロコシを狙うのは数年前から習慣化しています。それを知っていることから『トウモロコシは植えないようにしましょう。』と言われています。それでも植える方がいます。結果的には、確実に熊に食べられます。

それも人家のすぐ前です。熟れる頃にやってきます。嗅覚なのか学習によるものか解かりませんが、素晴らしい本能です。他方、カラスにもまたトウモロコシは狙われます。トウモロコシの他に、トマト、ズッキーニ、キュウリ等、です。関係者は相当にがっかりしています。

今朝、友人のT氏の畑に伺います。昨晩、『スイカの生りを見に来てください。』の誘いをいただのです。数日ぶりにお邪魔します。畑は一変しています。スイカは20個ほども見事に生っています。収穫にはまだ10日ほどです。その待つ時間もまた大きい楽しみとするところです。

夕刻、そのT氏がお出でになります。開口一番は『やられた。』です。一瞬、トマトと思いました。実は、我が家もそうだったのです。対象はトマトです。朝見るとまだ緑色の蔕(へた)が数個落ちています。赤みがかっている部分だけを食べて緑を捨てていくのです。

しかし、T氏が訴えたのは、今朝見たばかりのスイカです。『ハロウィンのカボチャのように、中身だけを綺麗に食べられました。』とガックリきています。恐れ入ること頻(しき)りのカラスです。


結構に手ごわい残暑です。工房に籠ると10分ほどでポタリポタリと汗が落ちます。しかし、この発汗が体内の毒素を排出してくれそうです。望むところです。

実は、昨日お見えになった方が木製の杯を持参します。間伐材の杉でつくったものです。それを見て、いたたまれなくなり、同じような木杯づくりに挑むことにしたのです。この暑い中、です。

話は飛びますが、ロスにハリウッドがあります。以前、このハリウッドを「HOLYWOOD」と思っていました。これを無理やり「聖なる木杯」と訳していました。ロス(Los Angeles)は「天使たちの住む街」とされています。その先入観のようです。

しかし、実際には、ハリウッドは「HOLLYWOOD」のようです。「HOLLY」は「ヒイラギ」です。ハリウッドは「ヒイラギの森」と訳せそうです。因みに、英語で「聖杯」は「holy grail」のようです。「命のもと・大切なもの」ということになりそうです。

その汚名を挽回するためにも「木杯」づくりに挑戦します。これまで「桶(おけ)」づくりで経験済です。作り方は簡単です。配慮すべきは全体のバランスだけのようです。取り敢えず、今日は、組み合わせる板幅の確認のための試作です。

まず、概ねの幅に部材を揃えます。その後、プレナー(自動カンナ)でキッチリと揃えます。そして板面にプレナーをかけて杯の高さにカットします。その段階の部材は、正確な長方形です。この段階で、底板を嵌(は)める溝を穿(うが)ちます。この加工もまた卓上丸鋸で行います。


しかし、このままでは箍(タガ)が利かないことからテーパをつけます。これもややデリケートな世界です。この加工には、手作りの卓上丸鋸(まるのこ)をツールとします。今回は正16角形錐にするつもりです。部材数は16片です。

次に、正16角形となる角度への加工です。これにはルーターに登場してもらいます。これも、一旦定規を設定することで単純な作業です。部材が整ったところで仮組してみます。ま、それなりの結果です。

しかし、やや不満足があります。寸法の設定です。実は、作ろうとしているのはビール用のジョキ(Beer mug)です。高さはもっと低くすべきのようです。そして円の大きさはやや大きくした方が良さそうです。そして、厚さもまた薄手にした方が魅力的のようです。

この段階で、概ねの方向が明確になります。明日、再挑戦するつもりでいます。

2012/08/12(日) 18:48

『薪(まき)は盆前に割る』の言い伝えがあります。それ以降であれば十分に乾燥しないからのようです。

朝夕通る道路沿いの数か所でも薪を支度しているのを見かけます。春から毎朝見ていると、積まれた薪の山が少しずつ高くなっていることに気づきます。冬を迎えるための支度を春からしていることになります。

工房に薪ストーブを使っている我が家でもそうです。薪小屋の残量を見て、どれほどを準備するかの見当をつけ、この春からあちらこちらから薪材を頂戴してきます。また、届けてくれる方もいます。

その殆どは立木を3尺ほどに伐ったものです。そのままではストーブに入らず、1尺ほどにカットします。そして、太いものは縦割りをします。この作業は簡単なものです。ツールはチェンソーです。


しかし、鋭利な刃だけが作業を簡単にさせます。カンナや丸鋸(まるのこ)、彫刻刀等の木工用刃物と同じ理屈です。刃が鋭利でなければ余分な力と時間そしてそれなりの根性が伴うのです。

しかし、草刈り機同様、チェンソーを扱うには若干の背筋を使います。即、骨折している腰がその存在を訴えます。今日は、時間が無く、また、気力も衰えていることから新しい刃に取り替えます。夏のバターをナイフで切るように、わずか10分ほどで作業を終えます。

先ごろから、桔梗(ききょう)が咲き始めています。その頃は紫の花だけでしたが、今朝、白い花に気づきます。

春、芽だしの頃には無かった斑点が薄(すすき)の葉に表れています。鷹羽薄(タカノハススキ)です。中秋の名月に似合うとされる秋の草です。

話は飛びますが、冬に近い秋、カリフォルニアに行ったことがあります。日本では草木の枯れる頃です。しかし、ロスではその頃から「緑」の季節になります。同じ北半球で緯度も同じです。驚きます。


訊くと、『一年を通して殆ど雨の降らない地域です。しかし、冬には少し降ります』『その湿り気で、山が緑に変化します。』のだそうです。

山口素堂の、『目には青葉 山郭公(ほととぎす) 初松魚(はつがつお)』は、日本だけの風流なのかも知れません。

季節は少しずつ変化し、その変化に応じて咲く花も変化しています。不思議で見事な日本の自然が嬉しいです。

2012/08/10(金) 16:56

数日間続いた暑さも「ねぶた祭り」の7日日(なぬかび)とともに過ぎていきます。突然寒くなります。立秋、とはよく言ったものです。これで今年の夏は終わります。

昨日、家の前の小川に出ます。普段は水深10~20cmの浅い川です。しかし、水の透明さが冷たさを連想させます。

話は飛びますが、ロンドン五輪のトライアスロン競技の水泳はハイドパーク公園の中の池で行われたようです。テレビ画面では、その池の水は濁った緑色をしています。

水泳の不得意なものにとっては心配になります。間違ってガブッと飲むと大変なことになりそうなのです。家の前の小川は、その王立公園の池とは全く異なるピュアーな水(のように見えます)です。つい、対比してしまいます。

昨年から気づいていましたが、家の前のこの小川にはこのところ顕著な変化があります。「羽黒蜻蛉(ハグロトンボ)」の多さです。お盆の頃に見られることから「死者の魂を運んでくる」といわれているトンボです。


尤も、これはこじ付けの類(たぐい)です。フクロウ(梟)には苦労(クロウ)がつくから嫌われる存在だ、という人、逆に、苦労を転ずる「不苦労」だから縁起物(えんぎもの)だと玄関に置いている人もいます。

よしんば、ハグロトンボが魂(タマシッコ)の使いであったとしても歓迎すること頻(しき)りです。既に故人となった方々で是非お会いしたい方々がたくさんいるのです。そしてお訊ねしたいこともたくさんあるのです。


ここ数日間、睡眠時間3時間の生活を余儀なくさせられています。現象としては、まぶた(瞼)がシブく(渋く)なり、思考力とともに集中力が落ちてきています。その最中の間隙を縫いながらも、工房活動は執拗(しつよう)に続けています。

お尻に火のついている当面する課題は子供用の玩具(おもちゃ)づくりです。前回のこの日記では「car(車)」づくりの紹介をしましたが、その他、これまで手掛けた数種類にも手をかけます。

結局、準備できたものは、ハノイの塔、コロコロ、ウグイス笛、ポケットティッシュケース、名刺入れ、車、正四面体のパズル等です。以前作り置きしていたものをあらためて見ると拙(つたな)い作品ばかりです。つくった頃は、自慢の作と思っていたものばかりです。わずか数か月は価値観を変化させるに十分な時間なのでしょう。


夕刻、F県のH氏がお見えになります。いつも新しい情報を持ってきて下さいます。有難いことです。

その中に「応欅(おうきょ)」があります。一般的には応量器、応器と呼ばれているようです。僧侶の使う鉢のことです。鉢、皿がコンパクトに収納できる仕組みになっている器です。

丁度、ロシアのマトリョーシカに似ています。胴体の部分で上下に分割でき、人形の中からまた人形が出てくる入れ子構造になっている玩具の一種です。またまた新しい課題が出現したことになります。

2012/08/07(火) 14:43

「ねぶた」と「五輪」が並行して進んでいます。「ねぶた」は19:10の号砲でスタートし、21:00で運行終了になります。しかし、その後、後始末の舞台裏があります。「ねぶたの小屋入れ」、「跳人(はねと)」の解散、会場の後始末等です。

他方、「五輪」の放映もまた夜になります。昨晩はシンデレラの帰宅時刻を過ぎてからの応援になります。イギリスと日本の時差は、イギリス=(日本時刻-約9)のようです。日本での夜中0:00はロンドンでは午後の3:00です。

話は飛びますが、ロスと日本では、日本が17時間ほど進んだ時刻です。日本の8月5日8:00は、ロスでは8月4日15:00ということになりそうです。以前、この計算がよく解からなく、ロスの時刻に5を足して午前と午後をひっくり返していたことがあります。

今の時代では常識のようになっていますが、60年ほど前の小学校の頃には理解できなかった世界です。日本で6:00は朝ですが、ロスでは午後のことを朝と表現する、と考えていたのです。

尤も、今であったとしても、この時差を明快に説明するには困難なことです。特に、日付変更線なるものは今でも正確に理解し得ていない茫洋とした世界です。相当に頭の良い人が考えたもののようです。

くどい話は兎も角、ハードスケジュールの毎日です。睡眠不足が頭の回転を鈍らせることから、できるだけ寝ることに努めています。その結果、憧れの工房活動が停滞しています。この夏に出荷するつもりであった作品は、簡単な部材づくりに止まってしまいました。来年の夏祭りにむけて、この冬作り置きをすることになります。


しかし、幼児向けの玩具(おもちゃ)は早急につくる必要があります。自分の孫もそうですが、兄弟や友人の孫の出産祝いです。

話は飛びますが、兄弟の孫のことを姪孫(てっそん)というようです。今まで気にしていなかった言葉ですが、そろそろ、使う機会が増えてきたようです。

今朝はその微調整です。つくるのは「car(車)」です。本体の部材づくりの概ねは、以前、作り貯めをしています。主題は車(タイヤ)づくりです。その素材選びからのスタートです。

実は、これまで試したのは数種類です。青森ヒバのタルキ(垂木)を丸棒に削り、それをカットしたもの、出来あいの丸棒(アメリカヒバ)を使ったもの等です。何れも一長一短です。

青森ヒバの垂木を加工することには、やや遠慮が働きます。秀木に過ぎるからです。アメリカヒバは青森ヒバと香が異なります。青森ヒバがそこはかとない香りに対して、米ヒバはツーンとした香です。迷うところです。

その他に青森ヒバの枝も試しました。青森ヒバとはいえども、枝は然程(殆ど)の香りは持っていないのです。そして、手元にある枝は細過ぎます。結局、今朝加工したのは「トリコシバ(クロモジ)」の、やや太い枝です。

木工旋盤で丸棒に削ると、クロモジ特有の香りを発します。しかし、これにも問題はあります。それは芯(しん)です。空木(うつぎ)や桐の芯は空洞のようです。クロモジはそこまでいきませんが、柔らかいスポンジ状態です。


実は、輪切りにした枝の中心に「竹籤(タケヒゴ)」を刺してシャフトにします。ビシーッと刺さらないことが考えられます。しかし、芯は丸棒になった中心から逸(そ)れていることが多いです。ま、妥協の範囲なのかも知れません。

次の課題は、中心の位置どりです。この位置がずれていれば、車はガタンゴトンと上下にも動くことになります。この位置決めにはゲージがあります。

原理は簡単です。2つの弦の垂直二等分線の交点が中心です。それを応用した単純なものです。ところが、あると無いとでは作業能率は全く異なるものです。

しかし、その垂直二等分線を描くのは、先の丸くなった鉛筆では困ります。片刃の「白引き」が最適のようです。以前、達人のI氏からいただいた優秀な「白引き」を使います。その後、ドリルの先を安定させるために交点に錐(きり)を刺します。

第一次の作業はこれで終了です。続きは、今晩になりそうです。それも深夜です。実は、明日、お見えになる方に届けるつもりでいます。間に合えば良いのですが・・・。

2012/08/05(日) 17:28

元禄時代の加賀千代女は「桔梗の花咲く時ぽんと言ひそうな」と、そして、江戸から明治にかけての正岡子規が、『紫のふつとふくらむ桔梗かな』と詠んだ桔梗が咲いています。

英名は「balloon flower」です。数日前、暑くなった頃に咲き始めましたが、菊と同じく秋の七草のひとつです。季語としては初秋のようです。

桔梗(ききょう)同様、この暑さで元気の良い草花?にゴーヤとトマトがあります。ゴーヤについては、当初、心配していたものです。実は、早く植え過ぎたのです。毎年であれば、春が遅くなってから出回る苗ですが、今春に限って、早く出回ったのです。即、買い求めます。

その結果、一旦植えた苗の殆どは枯れてしまいます。一度は諦めたものの、暖かくなるにつれていつの間にか出た芽です。そのハラハラの中、今朝見ると黄色い花を咲かせています。健気(けなげ)です。


トマトの事情も今年は違っています。実は、管理(世話)の都合上、今年植えた苗は3本だけに制約されます。しかし、それぞれが種類の異なるものを選択します。例年通りのミニトマト、ミニトマトの4倍ほどの大きさの生る種類、そして普通のトマトの3種です。

この、「普通のトマト」とは初めての出会いです。しかし、それらの3種類は、何れも同じ頃に花をつけ、同じ頃に実をつけます。そして赤く熟れる頃も同じです。異なる点は、ミニトマトはぶどう(葡萄)の房のように生り、「普通のトマト」は一か所に3~4個の実をつけています。

今朝、おそるおそる窺います。すると、つい先日まで緑だったものが突然赤く変身しています。ドキッとします。結局、今朝は、小さいトマト数個に加えて大きい「普通のトマト」を2個収穫します。


当然、朝の食卓に上ります。味も食感も正真正銘のトマトです。しかも採りたてです。

これ以上の鮮度は望むことのできない見事なトマトです。明治から昭和にかけての杉田久女(ひさじょ)が詠った、『千万の宝にたぐひ初トマト』の通りです。「宜(むべ)なるかな」です。

今日から8月です。夕刻は地元の花火大会です。「ねぶた祭り」の前夜祭として開催されます。今夏もまた、工房の中に居て、ドーンの音だけを楽しむことにします。

2012/08/01(水) 18:44