これまで、「桶のようなもの」と表現していた「木杯」がようやく完成に近づいています。「桶(おけ)」と「樽(たる)」にはそれぞれの定義があるようです。しかし、一般的な「桶(おけ)」と「樽(たる)」見分けは、単に蓋(ふた)の有無のようです。

完成に近づくにつれて、いよいよ「桶」の風貌を呈してきます。そして、昔のノスタルジアの境地に誘(いざな)ってきます。本来は、日本酒をいただくための器です。そのノスタルジアノの演出は、我が意を得たり、というところでしょうか。

よく思い出せませんが、昨日は4回目の「拭漆(ふきうるし)」だったようです。今朝は5回目です。一般的に、この「拭漆」は、最低5~6回は繰り返すようです。「拭漆」は、塗った漆を拭き取る方法です。


拭き取ったとしても、薄い膜は残ります。その膜を重ねる技法です。殆(ほとん)どの漆は拭き取られます。贅沢な漆の使い方です。この5~6回、というのは、それらしい「艶(つや)」の出る回数です。

今回は、4回目でその気配を見せ、今日の5回目でビガビガになります。もう少し繰り返したいところです。話は飛びますが、この光沢を嫌う価値観もあります。

専門家のF県のH氏に訊いたところ、『今は、艶を抑える漆もあります。』ということです。多様でデリケートな感性に対して、様々な対応について考えているということのようです。

「樽」同様、「桶」づくりのポイントは「榑立て(ふだて)」のようです。「榑(ふ)」は、側面の板のことです。今回は正十六角形にしました。その加工自体は、ルーターでは一瞬の作業です。


それを組み立てる、所謂(いわゆる) 「榑立」には数本の手が欲しくなります。一旦、「榑立」しさえすれば、あとは時間の経過だけが完成に導いてくれるのです。

この「桶」に手をかけてから今日で5日目になります。単に、惰眠を貪(むさぼ)っていたような盆休みでした。

現場の憂いもあります。「把手(とって)」です。イチイ(一位)の枝の加工は終えたのですが、その取り付けに躊躇(ちゅうちょ)しているところです。もう少し悩むことにします。

2012/08/16(木) 18:30

「工房事情」・・・把手の意味

「桶」(のようなもの)をつくっているところです。昨日、それに取り付ける「把手(とって)」をつくってみます。しかし、桶に対して重量があり過ぎるのです。おそらく、取り付けると「桶」とともに転びそうです。

スリム化の必要があります。更に、取り付け面の角度が大き過ぎるようです。角度が大きくなると、横に幅広の「マグカップ」になります。手ごろな枝を選び、つくり直してみます。材はイチイ(一位)です。思いっきりスリム化し軽量化を図ります。

しかし、この「把手(とって)」を桶本体に取り付けるかどうかは迷っているところです。木は熱を通し難く、超熱燗を入れたとしてもそのまま手に持つことができるのです。

おそらく、マグカップは、本体が金属製であったことから把手をつけたことが考えられるのです。

何百年も何千年もの歴史を持つ木製の桶の文化です。桶に把手をつけるべきか否かは少し悩む必要がありそうです。この悩みが木工活動の醍醐味です。もう少し悩むことにします。


「園芸事情」・・・秋への助走

昨日、車で小一時間ほどのホームセンターに行きます。本来の目的は、マジックテープ、ビス、ビット等の工房用のツール探しのためです。しかし、それとともに、苗探しもあります。

実は、この春に植えたものの殆どは収穫を終えています。十分に楽しんだ後です。突然寂しくなります。これから秋に向かって楽しむものを仕掛けすることにします。秋のために夏に植えるのは生まれて初めてのことです。

当初、秋用の苗はあるかどうかも不安でした。しかし、結構な種類が店頭に並べられています。ハクサイ、ブロッコリー、カリフラワー、パセリ等です。その中に、この春大成功したセロリもあります。即、8鉢ほどを求めます。今朝、その4鉢はT氏の畑に持参しています。


午後は、残った4鉢の苗を植えます。春のように、窒素を多めにして小さい鉢に植え替えます。そして、ミニダイコン、ラデッシュの種も植えます。

これ等は春、T氏が既に丹精したプランターをいただいています。種から自力で育てるのは初めての経験です。

庭の隅の茗荷(みょうが)が出始めました。3芽を発見します。例年であればもっと早く出ていたようです。

世の中には、新しいものとの出会いが無尽蔵に潜んでいるものらしいです。

2012/08/15(水) 15:07

今日も朝から木工活動です。ここ数日手を付けている「桶」づくりは塗りの段階を迎えています。昨日の朝は2回目の「拭漆(ふきうるし)」を済ませます。

いつもは、次の塗りまで丸1日置くのですが、それを待たないで、昨晩、3回目の塗りを済ませます。今朝は4回目の「拭漆(ふきうるし)」に挑戦です。

その前に、底に、「空気抜き」の窓をつけることにします。茶碗では「高台(こうだい)」にあたる部分です。実は、現在作っている「桶?」の材料は、薄い「青森ヒバ」です。漆を含んだとしても、驚くほどの軽量です。

当初は試作のつもりでスタートしたのですが、何となく、懐かしい桶の風貌を現してきています。そして、ゴールが近づくにつれて愛着が増してきます。何でもか(ん)でも手をかけたくなります。

実は、熱い味噌汁の入った椀をテーブルに置くと、高台内の空気が膨張してスーッと移動することがあります。この桶も、熱燗(あつかん)でいただくことを想像してしまいます。窓をつけることにします。


椀の高台の空気抜きは見たことの無いものです。或いは、「蛇足」であるのかも知れません。しかし、稚拙は稚拙としても、また、頓珍漢は頓珍漢としても、試したいことは徹底的に試したくなります。

そして4回目の塗りです。小さい器です。使う漆はほんの少量です。そして作業時間も5分ほどと短時間です。配慮することは、コーナーの漆を綺麗に拭き取ることです。

これまで艶(つや)がなく、斑(むら)も目立っていましたが、ようやく、漆らしい艶が出かかってきています。あとは只管(ひたすら)乾燥を待つことだけが作業になります。

いつもは、乾燥を待つ間は「漆風呂」に入れておきます。しかし、今日は、庭で乾燥させることにします。実は、漆が乾燥する条件は温度と湿度です。温度と湿度とでは湿度の方が優先されるようです。空気が乾燥していれば漆は乾かないのです。

話は飛びますが、厚く塗った漆を急激に乾燥させる際、表面にチヂミ(縮)ができることが多いです。この解決方法としては全てを剥ぎとる以外には無さそうです。このチヂミは表面と内部の硬化速度が違うことにあります。


これを防ぐ方法に、乾燥し難い条件の設定があります。しかし、気の遠くなるほどの時間を要します。昔、3~4ヶ月で漸く硬化した経験があります。

しかし、今回は「拭漆」です。早く結果を見たいところです。今日の気温はまあまあなのですが、湿度は低くそうです。更に、工房内の微粉末も気になります。庭で乾燥させることにします。

庭には先日の雨の名残があります。その湿度の利用です。単に、土に台を置き、その上に作品を載せます。そして全体を段ボールで覆うだけです。夕方までには何とかなりそうです。


2012/08/15(水) 09:44

お盆です。今日もお休みをいただきます。お休みの日と、お勤めの日とでは、お休みの日が早起きになる傾向があります。今日は、やはり、早く起床します。

このことにはいくつかの心理が働いているようです。お勤めの日は、日中の体調に気を使います。夜更かしもそうですが、早起きは仕事に支障をきたすことを本能的に恐れるからのようです。

他方、お休みの日は、仮に、日中眠くなったとしても、いつでも仮眠ができます。無鉄砲な起床就寝が許されるのです。特に、今日は暑くなりそうです。明けるとともに木工活動を貪(むさぼ)ります。まずは、「マグカップ」づくりの続きです。

単なるお酒をいただくための器です。今回は、自分の楽しみのための試作品です。桶をつくることにします。昨日、仮組(かりぐみ)を終え、タガ(タガ)を回し、その隙間に埋め剤を施しています。

実は、何度か同じような作品を手掛けています。これまではその隙間を「漆」で埋めていました。しかし、満足するまで埋まるには1ヶ月以上の時間を要します。漆を厚く使うとき、乾燥すると表面にシワシワが発生します。


更に、肝心の内部はいつまでも硬化しない傾向があります。業界用語では「膿(う)む」、というようです。埋めては削除することを何回も繰り返した経験があります。

しかし、今回使ったのは速乾性の埋剤です。昨日の今朝ですが、ガチンガチンに硬化しています。逆に、その余分を削除することもまた厄介です。

人力でする気力は無く、電動工具に頼ります。インパクトドライバーです。先端にサンドペーパーを装着することで、満足するだけの活躍をしてくれます。久しぶりに木肌と会います。

この段階で微調整をすることにします。全体がやや傾いて見えるのです。これまではアバウトなバランスも歓迎していました。しかし、同居人が『少し傾いていますね。』、とクローズアップしてくれるのです。その訴えに抗しきれず、手直しすることにします。

まず、底板を基準にしてメジャーを当てます。やはり、0.5mmほどの狂いがあります。人間の目はその違いを見分けるのです。優秀なものです。手直し作業は簡単です。桶の上と下にサンダーをかけるだけです。1~2秒で終えます。

そして塗りに入ります。正確には今日で2回目の塗りです。1回目に塗ったものの殆どは削り取られています。木肌は見えていますが、浸み込んで内部に残っている漆があります。全く無駄ではないことになります。

午後、「漆風呂」を覗いてみます。艶(つや)が無くボソボソ感があります。サンダーの瑕の所為(せい)のようです。しかし、この塗りは、これから5~6回も繰り返されることになります。ま、何とかなる筈です。


悩んでいることがあります。色使いです。実は、昔、津軽のT酒造店からいただいた「角樽(つのだる)」を思い出しています。祝樽です。曖昧な記憶になっていますが、黒と朱漆を使っていたようなのです。

その昔の思い出を大事にしたくなります。今のところ、桶の内部と外側は黒漆にし、タガを朱にしたらどうか、と考えているところです。黒漆の樽に注ぐ冷酒です。ガラスや陶器の器では味わえない世界が待っていそうです。

次に悩むのは「把っ手(とって)」です。ヒント探しのために、昼前、小一時間ほどのホームセンターに行ってみます。薄いステンの板が使えそうです。これに木を貼りあわせる方法です。

しかし、その期待度は然程ではないものです。まずは、小枝に挑戦することにします。庭にある変哲も無いものです。やってみて不満足であれば、またやり直せば良いだけなのです。想像することと思いつき、そして試行錯誤だけが木工の醍醐味であるのかも知れません。

2012/08/14(火) 19:29

盆の13日です。本来であれば墓参の日です。しかし、一昨日済ませています。交通渋滞を慮(おもんぱか)ったのです。

しかし、当初、土曜日であることから結構な人出を予想していましたが、然程ではありませんでした。それでも、数か所をまわるだけで2時間ほども要します。

11日では早い、と思っていました。しかし、我が家のお墓は綺麗に拭かれ、草の大方も既に取られています。また、最近手向(たむ)けた思われる花もあります。既に何方かがお出でになっています。あの方か、この方か、と思いが巡ります。


今日は朝から木工三昧(ざんまい)です。昨日から手がけている「木杯」づくりです。本来?は、木工旋盤で、木の固まりを穿(うが)ったものが一般的のようです。しかし、今回は、側面を16片の板で構成することにします。


板と板とが出会うデリケートな角度は、角面ビットにお任せします。昨日はこの加工で終えています。

今日は、底板の加工と組み立てです。底板を嵌めこむ側面の溝をやや深くしています。その余裕があることで、底板の寸法はアバウトにします。

仮組には糊(のり)を使っています。しかし、糊とはいえども容量はあります。微かな糊の厚さであっても16片を合わせるときには外に膨らむ傾向があります。そのため、組立後の締め付けを強力にします。ツールはチューブを輪切りにしたものです。

これまでの経験で、この種のツールにはゴムが最適でることを認識するに至っています。締め付ける相手の形に順応し、その強さも自在なのです。優秀です。締め付け作業は3時間ほどにします。


側面、内側の加工に迷います。実は、当初、この加工を明確な16角形にするつもりでした。しかし、途中から円にします。

その理由は、樽(たる)をイメージしてのものです。話は飛びますが、北斎が残した富岳三十六景の中に、職人が桶の内側を削っているものがあります。その桶の中に小さい富士山が画がれています。「尾州不二見原」のようです。その桶をつくりたくなったのです。

円への加工はアバウトにします。多少歪(ゆが)んでいた方が和みそうなのです。本来、今作っているのは、主にアルコールをいただくためのものです。勿論、キッチリとしたガラスのコップはたくさんあるのですが、歪んでいるところに面白さがありそうなのです。

2012/08/13(月) 17:10

次に、塗りです。これにも悩みます。当初、「木固エース」のつもりでした。しかし、途中から「漆(うるし)」に変えます。

実は、昼前、F県のH氏がお見えになります。漆の専門家です。その彼から『漆に如くものは無いです。』、と言われます。それで決定です。

そうなると、木地(きじ)の調整が必要になります。これには、最近使い始めている専用の剤を用います。乾き易いものです。青森ヒバの折角の淡黄色が、一旦、黒くなるのが切ないです。乾燥後、全体にサンダーをかけて不要部分を削除します。

次は、いよいよ漆です。1回目の漆は木地にタップリと吸わせてやります。その後、徹底的に拭き取ります。この漆は明朝には乾きます。しかし、その前にすべきことがあります。「箍(タガ)まわし」です。


いつものように、タガ材を「トヨシ(籐葦)」にします。タケ(竹)は硬く、小さい弧に対応し難いのです。バタバタとした作業になります。

本来、正確に編まれたものは綺麗に仕上がるのですが、今回は、多少の醜さがあります。ま、それもまた、楽しからずや、です。

編んだタガを生乾きの桶に差し込み、グッ、グッと締め付けてやります。その過程で、板と板の間に浸み込んでいた漆が滲み出てきます。今回のタガを、「口輪タガ」と「底持ちタガ」の2本だけにします。

次は、編んだタガの隙間を埋めることにします。洗う際に水分を含まないようにするためです。トヨシの隙間に漆を流し込み、その後、木地調整用の剤を埋め込みます。それが乾く前に余分を拭き取ります。


この段階はテンヤワンヤの作業です。手袋をしていても手は真っ黒になります。ある程度で妥協します。

この妥協によって、明日は只管(ひたすら)サンダーをかけることになります。

作ろうとしているのはマグカップです。この定義に「手つき」があります。今晩、その構造と取り付け方法を考えることにします。「青森ヒバ製」の「タガつき」、そして漆塗りです。不思議なものが出来そうです。


2012/08/13(月) 17:08