
これまで、「桶のようなもの」と表現していた「木杯」がようやく完成に近づいています。「桶(おけ)」と「樽(たる)」にはそれぞれの定義があるようです。しかし、一般的な「桶(おけ)」と「樽(たる)」見分けは、単に蓋(ふた)の有無のようです。
完成に近づくにつれて、いよいよ「桶」の風貌を呈してきます。そして、昔のノスタルジアの境地に誘(いざな)ってきます。本来は、日本酒をいただくための器です。そのノスタルジアノの演出は、我が意を得たり、というところでしょうか。
よく思い出せませんが、昨日は4回目の「拭漆(ふきうるし)」だったようです。今朝は5回目です。一般的に、この「拭漆」は、最低5~6回は繰り返すようです。「拭漆」は、塗った漆を拭き取る方法です。

拭き取ったとしても、薄い膜は残ります。その膜を重ねる技法です。殆(ほとん)どの漆は拭き取られます。贅沢な漆の使い方です。この5~6回、というのは、それらしい「艶(つや)」の出る回数です。
今回は、4回目でその気配を見せ、今日の5回目でビガビガになります。もう少し繰り返したいところです。話は飛びますが、この光沢を嫌う価値観もあります。
専門家のF県のH氏に訊いたところ、『今は、艶を抑える漆もあります。』ということです。多様でデリケートな感性に対して、様々な対応について考えているということのようです。
「樽」同様、「桶」づくりのポイントは「榑立て(ふだて)」のようです。「榑(ふ)」は、側面の板のことです。今回は正十六角形にしました。その加工自体は、ルーターでは一瞬の作業です。

それを組み立てる、所謂(いわゆる) 「榑立」には数本の手が欲しくなります。一旦、「榑立」しさえすれば、あとは時間の経過だけが完成に導いてくれるのです。
この「桶」に手をかけてから今日で5日目になります。単に、惰眠を貪(むさぼ)っていたような盆休みでした。
現場の憂いもあります。「把手(とって)」です。イチイ(一位)の枝の加工は終えたのですが、その取り付けに躊躇(ちゅうちょ)しているところです。もう少し悩むことにします。