今日は日曜日です。明日から3日ほど遠方に出かけることで、工房作業に拍車がかかります。

このとろこ「額」をつくっています。100円ショップでも見かける額ですが、延々と時間を消費しながらつくっています。大切な写真をいれるための額です。

フレームの組み立ては終えています。今日は、内部のダストカバー、裏板、そしてトンボの取り付け作業です。ダストカバーをアクリル板にします。窓枠に合わせて裁断します。

ツールを丸鋸(まるのこ)にします。実は、アクリル板をカットする専用のツールはあるのですが、作業が大変です。それは刃の無いカッターナイフのようなものです。裁縫の「瑕箆(きずべら)」に似ています。

やや尖っている先端をアクリル板にあてて何回も同じ場所に瑕(きず)をつけ、パンと割るのが一般的です。しかし、同じ場所に瑕をつけることは至難です。

丸鋸(まるのこ)を使う場合は、刃の高さをアクリルの厚さの半分ほどに設定しています。これも失敗から学んだ技です。刃の高さを板の厚さ以上にするとアクリル自体が砕けてしまうのです。

失敗することで学習した技です。おそらく、プロの方々にとっては常識の世界です。しかし、ズブの素人には驚くべき大発見でした。


いよいよ裏板の設定です。本来?であれば、ベニヤ板やPDFで十分なのですが、今回は気合を入れてケヤキ(欅)にします。

額の裏面は見られる機会は殆ど無いのですが、隠れている部分だけにこそ気を使いたくなるのです。江戸時代の倹約令の出たとき、着物の裏地に贅(ぜい)を凝らしたことがあったようです。そのことと少し似た心境です。

凹凸のある表面と違って、額の裏面は平面です。見比べると裏面のほうに見応えがありそうです。繰り返しになりますが、表側は頗(すこぶる)る質素を演出しています。面白くなりそうです。

そしてトンボです。購入すると1個3円~4円の世界です。効率的には買った方がお利口さんです。しかし、これを手作りにすることに意味があります。これもケヤキにします。勿論、端材です。



太さの異なるエンジュの枝からスタートしました。4辺のフレームは高さはまちまちです。最初は頓珍漢な具合です。

しかし、その寸法の違いが不思議な和みを演出しているようです。和みや調和は、整ったものよりも不揃(ふぞろ)いの中にこそあるのかも知れません。


2013/02/10(日) 18:33
「額」をつくっているところです。塗料について迷っています。これまで使ったことのあるものは、柿渋、漆、亜麻仁油、木固エース、そしてオリーブオイル等です。それぞれに一長一短があります。

今回は、エンジュ(延寿?)の色と肌を鑑賞するためにオイルフィニッシュ的なものを考えます。木製品の仕上げ塗装法です。一般的には、自然の植物油を使うようです。

よく解りませんが、これは、木、本来の色合いを引き出すとともに、その作品に触れた際に、本来の木の感触を味わうためのものです。


植物油を大別すると、乾性油、不乾性油、そしてその中間の半乾性油になるようです。オリーブオイル、椿油、そしてサラダオイル等は、不乾性油になるようです。これに対して、亜麻仁油(あまにゆ)、桐油、胡桃油は乾性油のようです。

ここまで自然を演出したつもりの「額」です。乾性油の胡桃(くるみ)を使うことにします。たまたま、目の前に酒の肴(さかな)の胡桃(くるみ)があります。硬い和胡桃です。無論、初めての試みです。殻(から)を割るツールはクランプです。

割っては一口つまみます。その繰り返しです。期待する量に至るには2時間ほどを要します。それをYシャツの切れっ端で包み、照る照る坊主状態にします。小槌(こづち)で潰(つぶ)すとベチョベチョになります。驚くほどの油が出ます。


ここまでくると、即、塗りたくなります。塗る対象の額はまだ磨きや微調整の終えてはいないのですが、せっかちになります。

漆と違って、自然オイルはいつの段階でもやり直しは可能の筈なのです。ジョップリとクルミ油を浸み込ませた後に乾拭きします。大変身を遂げます。

胡桃(くるみ)は乾燥に時間がかかるようです。数回にわたって塗り重ねるようです。また、時間が経つと黒っぽくなるようですが、塗膜はほとんど残らないと言われています。耐久性、防水効果はやや劣るものの、所詮は、室内に置く「額」です。何とかなりそうです。

2013/02/05(火) 21:03
次はカンザシの差し込みです。材はケヤキです。これまで何回も経験した作業ですが、カンザシの差し込みが不十分で、隙間を生じる傾向があります。

一方を押し込むと他方が浮く傾向があります。今回も、満足度は50%ほどです。今後の修正に託すことになります。ま、何とかなるようです。

しかし、このカンザシだけでは少し不安です。蛇足(だそく)の感はあるものの、更に補強を加えることにします。額の裏側のコーナーに溝を掘り、埋め木をすることにします。木工の専門用語では「欠き込み核留め接ぎ」というようです。


この溝もテーブルソーで欠きとります。しかし、事前の準備が不十分でした。定規の45°と額の対角線に関係がありそうです。

額の表側は凹凸があり、幅も不揃いです。平面は裏面の一面だけです。そのことからか、歯の位置が異なる結果になります。

カンザシ同様、接着剤を塗布して核を嵌め込みます。4隅のコーナーとともに、核とフレームが密着するようにクランプでギリギリと締め付けます。そして、ストーブの横で2時間ほど寝かせておきます。

一休み後、核の不要部分を削除します。スライド丸鋸を使います。一瞬で済みます。このとき、歯をフレームに近づけ過ぎると、フレーム本体に瑕がつきます。核は、ある程度出っ張るようにして、サンダーで微調整します。

この段階でフレームはガシッとなっています。雪の中、庭に出てグラインダーを使います。寸法の不揃いのフレームです。コーナーに段差があります。帳尻を合わせることにします。

作業は一瞬ですが、これにはある程度のセンスが伴います。満足度は兎も角、何とか組立を終えます。

今後の作業は磨きです。仕上がりに直結する工程です。造形はワイルドですが、磨きには丁寧さが要求されます。そして、塗りです。これから一週間、使う塗料と色彩に悩むことになります。

2013/02/03(日) 18:16

昨日、一昨日は穏やかでした。最高気温は8℃~10℃もあったようです。今朝は一転して雪吹です。そして日中も氷点下です。

今日のテーマは「額づくり」です。これまで数種類の額をつくっています。形や大きさ、そして、材料もまちまちです。前回は、ケヤキ(欅)の端材で葉書大用をつくってみました。

今回は、大きさは前回と同じですが、直径10cmほどのエンジュの枝を使うことにしました。1/4に挽いて組み立てることにします。太さは一様ではなく、加工のし難い作業ですが、この難しい課題が魅力です。

丁度、数学の問題やゲームのようなものです。簡単なものには面白みが無く、解決への意欲が湧いてこないものです。


先週、フレームのパーツをつくっています。今日はその組立です。ガッシリと組み立てるには、昔から様々な方法があるようです。

しかし、今日は、新しい技に挑戦する気力が無く、これまで経験した接(は)ぎに妥協します。

まず、カンザシ(簪)の嵌め込みです。ツールは、専用のジグ(治具)とテーブルソーです。鋸(のこ)で搔き取った溝に核材を挟め込む方法です。このジグと技はW工房から伝授されたものです。


テーブルソーにあてる前に、フレームの4片はある程度の固定が必要です。今回はマキシングテープで済ませます。薄い紙テープですが、ピーンと張って貼り付けると意外と強力な優れものです。

そして愈々溝欠きです。歯をあてる位置と、歯の直角を確保するために、ジグにアジャスタブルフェンスを密着させながらスライドさせます。緊張する瞬間です。アジャスタブルフェンスの位置を変化させることで、期待する幅の溝の完成です。

2013/02/03(日) 18:10
昨日、今日の気温は高く、日中は9℃から10℃にもなっています。つい数日前の氷点前後とは一変しています。歓迎するところです。

反面、憂いもあります。屋根雪の落下です。他に不調法があれば恐縮します。気を使うこと頻り(しきり)です。

また、今日は地元のスキー場で小学校の最後の大会が予定されています。雨の中の大会は残念です。最後、というのは、少子化により、この春、閉校になることからです。

かつて、このスキー場で猪谷千春が、そして富士山直滑降の三浦雄一郎一家が練習しました。猪谷千春は、今から60年近くも前の、日本人としてのはじめての冬季五輪メダリストです。

このスキー場は、小学校の裏山にあり、ヒュッテの管理や秋の芝刈りはそのPTAの皆さんのボランティアに頼っています。廃校とともに、ヒュッテの行く末も思いやられます。時代の流れなのでしょう。

昨日、Rotary の会合で講演することになりました。どのようなテーマでも良い、ということでしたが、相手は、地元企業の社長さんばかりです。報道関係者もいます。少し迷います。考えた末、一般的には取り上げられない、そして、身近なものを話題にします。

メインテーマを「サントレ」にし、それに肉付けすることにします。「サントレ」は「science training」の略です。幼児教育のためのプログラムです。首都圏では知られていますが、当県ではポピュラーではなく、唯一導入しているのはA・Y学園の6園の幼稚園保育園だけです。

この「サントレ」の、いくつかの主題の中に、「漢字混じりの文章に触れさせる。」というものがあります。物語、諺(ことわざ)、俳句等を漢字混じりの文章で紹介することで、美しい言葉、優しい言葉に触れさせ、合わせて語彙量を高める教育です。

この「サントレ」を受けた3才の子供が、父親に連れられて海辺を散歩したとき、子供が海をじっと見て、『のたりのたりかな、ですね。』と父親に話しかけたそうです。それを聞いた父親は、『この子は天才ではないか。』とびっくりしたそうです。


子供は幼稚園で読んだ、与謝蕪村の『春の海ひねもすのたりのたりかな』を思い出しただけだったのでしょう。「サントレ」を受けていない子供には考えられない現象です。

幼少期の子供の情報吸収力は大きく、それも、「無努力・無負担」に習得する特別な能力を持っているといわれています。「強力に勉めて」する「勉強」ではなく、1日20分ほどの「お話」の中で、眼に漢字を触れさせる、トレーニングです。

先日、この「サントレ」を取り入れているK幼稚園にお邪魔して参観してきました。先生が漢字を書いた7枚のカードを隠し持っています。その漢字は、その前にお話しした「きつねの嫁入り」に出ていた文字です。

先生が、そっと「嫁入り」のカードを出します。すると、子供たちは大きな声で『よめいり』と答えます。大人でも躊躇する「花婿」も、3才児が声をそろえて『はなむこ』と叫びます。また、子規の「柿食えば鐘が鳴るなり法隆寺」も読み上げます。驚くばかりです。

翻って、筆者自身のことを思い出します。小学校に入ってはじめて習った言葉は「サイタ サイタ サクラガ サイタ」だったようです。間もなく「ひらがな」になり、山や川、上、下の漢字が入るようになったようです。

話しは飛びますが、二月に入りました。旧暦の二月は「如月」と表現するようです。筆者がこの読みを知ったのは中学校に入ってからのようです。月には冷たいイメージがありますが、読み方を知らない人が「如月」を「きさらぎ」と読むには無理なのです。

またまた話は飛びますが、この「きさらぎ」は、二月は寒いことから、衣を着重ねる「衣更着」に由来したとされています。奥深い日本の文化です。

話しは戻りますが、Rotary の講演では、この「サントレ」をテーマに、普段、何げなく使っている言葉の中から、いくつかのサンプルを取り上げることにしました。

まず、「とまるもゆくも かぎりとて かたみにおもふ ちよろづの こころのはしを ひとことに さきくとばかり うとうなり。」です。今の小中学校では歌われなくなったようですが、還暦を過ぎた世代にとっては誰もが歌える思い出深い歌です。「蛍の光」の2番です。

歌い慣れてはいるものの、その意味は何となく曖昧(あいまい)です。その理由は、単に言葉だけで知っているからのようです。また、昔、この歌を兄が歌っているのを聞いたことがあります。『台湾の果ても樺太も・・・』です。その頃から混乱する羽目に陥ります。

本来この歌は学校の卒業式で歌では無かったようです。しかし、学校で歌うことを前提にすれば、「とまるもゆくも」は、「止まるも行くも」で、「学校に止まるもの(在校生)も、学校を去るもの(卒業生)も」と訳せるようです。

「かたみにおもうちよろずの」は、「互に思ふ千萬(万)の」で、「お互いの胸に去来するたくさんの思い出」となりそうです。そして「さきく」は「幸く」で、「幸せでいてください」のようです。


そして、講演の中に、美しい表現も入れることにします。武島羽衣(たけしま はごろも)作詞、作曲者瀧廉太郎の「花」の2番です。

「みずやあけぼのつゆあびてわれにものいうさくらぎを」、「みずやゆうぐれてをのべてわれさしまねくあおやぎを」です。誰もが、何回となく歌ったことのある歌です。しかし、「ひらがな」だけでは訳し難い文章です。

これを漢字混じりにすると、「見ずや 曙 露浴びて我に物言う桜木を」、「見ずや 夕暮れ手を伸べて我差し招く青柳を」となるようです。

これを訳すと、「明け方、朝露を受けてしっとり濡れた桜の木が、『どうぞ私を見てくださいよ』と私に話しかけているのを見ませんでしたか。」、「うすぼんやりに暮れかかる春の宵、青々と葉をつけた柳が私を手招きしているのを見ませんでしたか。」となるようです。無論、自己流の訳です。

感性の迸(ほとばし)る見事な文章です。そこには、今の日本が忘れかけている美しい文化が潜んでいるようです。その意味を理解しないで「花」を歌うことは非常に勿体ないようです。

吉丸 一昌がつくった「早春賦」ではありませんが、「渓(たに)の鶯(うぐいす)」は「ホーホケキョ」の歌を思っているものの、まだ春ではないことを知っていて、ひっそりとしています。「青柳」に手招きされることを今から待ちわびています。


講演の終盤で「工房活動」についても触れます。拙(つたな)いながらも、細腕でひっそりと世界に発信している様子をご紹介します。作り置きの「名刺入れ」、「ポケットティッシュケース」、「玩具」をプレゼントします。勿論、地元旅館用の「箸置き」や「コースター(壁掛け)」等についてもご紹介します。

昨晩、その講演を聞いた方から電話があります。王手企業のK社長さんです。『感激しました。今日のテーマを本にしていたら譲ってください。』というものです。勿論、普段感じていることをメモにしている程度です。別の機会をお待ちしていただくことになります。

2013/02/02(土) 13:18
次は、いよいよ額全体のフレームの仕立てです。コーナーは今回も「留め(とめ)」にします。コーナーで出会う両者をそれぞれ45°にして、合わせて直角にする方法です。

この加工のツールは、スライド丸鋸(まるのこ)です。カットに要する時間はほぼ一瞬です。しかし、裁縫と同じく、基本的な条件が伴います。正確な45°もそうですが、向かい合う辺の長さが等しいことです。気を使います。


4片を合わせると、突然それらしくなります。大変身です。しかし、まだ帯鋸の目が残っています。全体にサンダーをかけます。この段階で、エンジュがその風貌を表します。エンジュは「床の間」に使われることが多いです。軟らかそうで硬く、磨くことで艶が出る不思議な材です。

次に、帳尻を合わせる作業に入ります。4片の厚さの違いは組立後でも修正できそうですが、窓の内縁(うちへり)はこの段階で調整した方が良さそうです。ストレートビットを長くして内縁にあててやります。

きっちり寸法の揃った材でつくるのと違って、結構な手間がかかります。ともすると、多少の矛盾が見え隠れします。それは、100円コーナーではもっと優秀な額が扱われているからです。

しかし、この無駄とも思える作業に、抗しきれない魅力があります。仮に、醜い作品に仕上がったとしても可愛いものです。何よりも、変哲のない、曲がった枝からスタートとして結果を出すことに面白さと楽しさがあります。


本来は、腕を磨くことが目的です。満足する作品をいつの日かつくるための稽古を楽しみながらやっていることになります。

上達に最も必要な要素は、失敗することにありそうです。孔子の論語?ではありませんが、拙(つたな)さもまた、楽しからずや、です。

2013/01/27(日) 18:46