やや風はあるものの、キラキラと輝く青空です。このところ数日続いています。最も厳しい寒さといわれる如月(着更着)も今日で終わりです。過ぎてしまえば、極寒の奥州最北端と雖も然程ではなく感じます。或いは、眼前の冬は、喉元(のどもと)を過ぎた熱湯なのかも知れません。


このところの工房では「枡(ます)づくり」に血道を上げています。現在は、その終盤の塗装段階です。今日は「拭漆(ふきうるし)」の4回目です。結構な艶(つや)が出ています。これを最終回としても良さそうです。

一般的に、「拭漆」は5~6回は繰り返すようです。その理由は、美しくなるのがその回数のようであるからです。何時止めるかを悩むところです。

この「拭漆」は確実に時間を要する作業です。一般的に、拭き取った漆が乾くには1日を要します。塗って拭き取る時間を無視しても、乾くに要する時間だけでも1週間以上を要することになります。

仕上がりに要する殆どは待つ時間です。何とも、鷹揚で哲学的な作品づくりです。それでも、結果の美しさに会いたい一心で「拭漆」にしたくなるのです。


今回つくった「枡」は20個ほどです。その中の13個を「拭漆」仕上げにしています。その中の2個は、昨日で8~9回を経ています。5合枡と2合半枡です。

一段落させても良さそうです。手脂との接触を慮って、透明な袋(クリアポケット)に入れてみます。拙い作ながらも、やはり、綺麗に映ります。


昼前、Y製材所にお邪魔し、厚さ20mm、幅60mmの青森ヒバをいただいてきます。「枡づくり」の材料として調達したものです。まとまった数をつくるのであれば、専用のj[gを準備しても良さそうです。然程(さほど)高額ではないものです。悩むところです。


しかし、次の課題設定に悩むところです。「雛(ひな)祭り」、「こどもの日」、干支(えと)をテーマとしたもの、日常生活の小道具等、10年以上も前から抱き続けている課題がたくさんあります。

特に、小黒三郎氏の糸鋸(いとのこ)シリーズが思い出されます。10年以上前、今は無き「婦人生活社」発行の「手づくり木工辞典」に載っていたものです。


久しぶりに庭に出ます。既に、渡石(わたりいし)が露出しているところがあります。例年の2月末には考えられない状況です。稀有の少雪です。そして、顕著にすすむ雪融けです。

2014/02/28(金) 15:46

夜間はマイナス5℃です。この値にはさまざまな意味があります。まず、水道の凍結に注意しなければならない気温です。マイナス4℃では凍らなく、マイナス5~6℃では凍るのです。

そして、この程度では、廊下や工房の水は凍ることはないようです。勿論、我が家の家屋構造に限ってのことかも知れません。わずか1~2℃の違いが、大きな状況の変化につながります。

昨日に続いての青空です。このところの積雪は皆無です。あと1日で春の3月です。やはり、先般、太平洋側に降った雪が春を告げたようです。昔から言い伝えられているものには、理屈を超えた正しさがあるようです。


工房では相も変わらず塗装作業です。大小合わせて13個の枡に漆を施しています。今日は3回目です。作業時間は1時間半ほどです。「拭漆(ふきうるし)」の単純作業です。やはり、所要時間が短縮されてきています。3回目になると、大分、艶(つや)が出てきています。


一般的に、「拭漆」の際の注意点は、拭き残しをしないことと言われています。特に、箱系の場合は、内部の隅に「拭き残し」が生じる傾向があります。

プロの方が、他の作品を評価するとき、最初に見る場所がコーナーです。この対応に、尖(とが)った木片を拭き紙で覆って使っています。ま、簡単なjigのようなものです。

今回の塗装では手の汚れが顕著です。ゴム手袋を履いているものの、脱ぐと、どういう訳か黒くなっているのです。この処理にはテレピン油を使います。漆を薄める力があります。しかし、手に付着した漆を綺麗に拭き取るのは難しいです。

漆の付いた手で握手すると、相手は漆でカブ(気触)れることが多いです。ご迷惑をおかけするのは不本意です。よく解りませんが、傷害罪になるようです。

自分が触った戸やドアの把手(とって)に、他の方が触っただけでカブれることもあります。そのため、漆塗りの期間は、できるだけ外出を控えることにしています。


本人は、カブれようがカブれまいが無視しています。仮にカブれたとしても、そのままの状態で2週間ほども経つと治っているようです。鈍感になっているのでしょう。今は、全く気にするものではなくなっています。しかし、昔は、少し付着しただけで大騒ぎしていました。

順調に進めば、明日が4回目、明後日が5回目の塗りです。鉋(かんな)がけから始まったプログラムが間もなく一段落を迎えることになります。即、新しい課題の設定に迫られます。あれやこれや、やりたいことがあり過ぎています。少し困っています。

2014/02/27(木) 12:16

終日の紺碧に輝く青空です。燦々(さんさん)と降り注ぐ陽光が天の恵みに思われます。シェクスピアの、リチャード三世の冒頭の『漸(ようや)く忍苦の冬が終わり・・・』は、おそらく、このような陽光をイメージして書いたものらしいです。


工房では「枡(ます)づくり」の終盤を迎えています。塗装です。今日は2回目の「拭漆(ふきうるし)」です。昨日、簡単な「木地調整」をしています。

これは、窪みや、部材の不満足な合わせ目に埋め材を施す作業です。所謂(いわゆる)パテ (putty)です。今朝見ると大分硬くなっています。「拭漆」の前に、サンダーで平面化を図ります。


これまでの「拭漆」には自作の木箆(きべら)を使っていました。しかし、今回は「ゴム箆」です。結構、使い易いです。100円ショップで見つけたものですが、これによって、文化レベルが顕著に高まった感があります。

「拭漆」の手順は、まず、木部に漆を載せます。それを、木部に浸透させるように縦横の角度を変えながらヘラで延(の)ばします。余分な漆は掬(すく)い上げます。その後、専用の紙で漆を拭き取ります。

その際、木目に沿うように拭きます。拭く方向は結果に反映します。外側は拭き易いのですが、内部が少し厄介です。狭いからです。醜くなる傾向があります。この対処は、拭き残しが無いようにすることのようです。


13個を拭くに要した時間は2時間ほどです。この長短のほどはよく解りませんが、集中力の持続を要する時間です。明日まで「漆風呂」で乾燥を待ちます。そして3回目の塗りです。その間、只管、待機することになります。待機すること自体が作品づくりです。

一般的な工房では木材の加工と塗装の部屋は分かれているようです。これにはさまざまな理由があるようですが、端的には、塗装の場に埃(ほこり)を立てたくないからのようです。

我が工房でも然(しか)りです。如何に「漆風呂」とはいえども、他の作業には手をかけたくないところです。午後、久しぶりの休息を楽しみます。

2014/02/26(水) 14:24

先日の節分がついこの間のように思われます。現実には、あと2~3日で弥生3月です。朝食のメニューも思い出せない有様です。然もありなん、です。昼前、外出したときの気温は6℃です。そして、真っ青に輝く空です。やはり、春なのでしょうか。


少しの時間、今日も工房に入ります。課題は、枡(ます)の塗装です。昨日は「拭漆(ふきうるし)」の1回目でした。今日は、「木地調整」です。これは、部材の合わせ目や窪(くぼ)みの補修や手当てです。気合いを入れて加工したものの、完璧でない箇所があちらこちらにあるのです。


埋め材は、生漆(きうるし)と「青森ヒバ」のパウダーとを捏(こ)ね合せたものです。漆を厚く塗るときの木地調整には、布や紙を貼ることもあるようです。

しかし、今回の「拭漆」は、木目(もくめ)が透けて見えるほどのデリカシーがあります。拙(つたな)い加工技術も白日に曝(さら)されます。恥を忍んでの木地調整です。

今日の作業はこれで終了です。次は、乾燥(硬化)を待ってからです。乾いた後、全体をサンダーで整えます。そして2回目に進みます。明日か明後日になりそうです。他方、何回か塗り重ねたものにも手をかけます。よく思い出せませんが、今回で6~7回目のようです。


やはり、塗り重ねる毎に艶(つや)は増してきます。この変化が困ることにもなります。どこを最終段階にするかの判断に迷うのです。

この「拭漆」はエンドレスの塗装です。とはいうものの、今回手掛けている「枡」は完成間近といえます。勿論、出来の如何は兎も角、としてです。しかし、仮に不満足な結果であったとしても、それが満足に至る通過点であれば歓迎すべき不満足です。

ある程度の目途がついたところで、新たな課題を設定したくなります。まず、優先順位をつけることからです。

2014/02/25(火) 18:14

春を間近に感じる穏やかな冬の日です。流石に今日は、注意報は出ていません。少し不安です。注意すべきものは無い、といわれる日に限って、何かがありそうです。ここしばらくの天候は、予報と全く逆です。こうも続くと、本当に、「狼と少年」にならざるを得ないようです。

昨日から、顕著な腰痛です。ここ最近、鳴りを潜めていたので油断していたところした。原因は、一昨夕の送別会にあるようです。挨拶が長かったのです。深呼吸するとズキンときます。

丁度、「ダークナイト ライジング( The Dark Knight Rises)」のバットマンの心境です。映画の中盤で、バットマンの椎骨を手当てする場面があります。単純に、乱暴に、ゴリッとです。

この原作はノーラン(Christopher Nolan)のようです。彼は、或いは、腰を痛めていたことが考えられます。そうでなければ、わざわざストーリーに取り入れることが考え難いのです。


このところ、工房では「枡(ます)」づくりをしています。今日からは、その仕上げ作業です。まず、20個ほどを2パターンに分類します。一方は「無塗装」で、他方が「拭き漆」仕上げです。「無塗装」のグループは、細工が、比較的、納得できるものです。即、「フードセーバー」でカバリングします。手脂等の汚れを付着させないためです。

他方、手直しを要する不満足なものには「拭き漆」です。今のところ、6回ほどの繰り返しを考えています。大抵、一度拭いた漆は一昼夜で乾きます。結局、最低1週間を要する作業です。今日がその1日目で1回目の塗りです。今回の漆塗りには100円ショップで見つけた「ゴム箆(へら)」を試します。結構、使えます。

話は飛びますが、「青森ひば」は強い抗菌力を持ちます。「漆」も同様です。「青森ひば」に「漆」を塗った器に「ノロウィルス」を入れておくと一晩で死滅するそうです。しかし、その抗菌力だけではなく、美しさモ欲しいところです。漆特融の(つや)を出すまでには、一般的に、6~7回の塗り重ねが必要です。


また、「拭き漆」は、素地を見せるためでもあります。漆を厚く塗る「津軽塗り」等は素地が見えなくなります。コンパネやスプルスが素地であっても、漆塗りには違いは無いのです。しかし、今回は、世界の秀木「青森ひば」です。隠すには勿体ないのです。

今回は丁寧な塗りにするつもりです。塗った後、「漆風呂(うるしぶろ)」で休んでいただきます。明日までです。そして、明日、2回目の塗りの予定です。

久しぶりの漆塗りでした。やんちゃになります。手が真っ黒です。勿論、手袋は履いているのですが、どういう訳か漆が手に付着するのです。 テレピン油で落としても、炭がついたような黒さです。

2014/02/24(月) 15:24

正午前(11:50)の予報に大雪注意報が出ています。実際には、真っ青な空です。少し違和感があります。そして、例によって、今日もか、と思います。本当に降ったらどうなるのか、とも思います。勿論、降ることはありませんでした。


今日の工房活動は掃除から始まります。久しぶりの掃除です。一家総動員しての掃除です。突然、異空間が広がります。掃除には、創作意欲を高揚させる力があります。即、「枡(ます)」づくりの続きです。

この「枡づくり」は、本来は、「霰(あられ)組み」の練習です。たまたま「枡」になっただけです。しかし、この変哲の無い、そして、無愛想とも思える、且つ、やや所帯じみた形状に、今更ながら魅入られているところです。やはり、贅肉を削ぎ落とした単純性の中にこそ、極めてハイレベルな美が潜んでいそうなのです。


枡の本来の使命は計量にあります。しかし、今回目指しているのは全く別の次元です。御酒の器、一輪挿し等の瓶の袴(はかま)、ツマミのナッツ入れ、小物入れ、そしてオブジェ等の役割を演じさせるつもりです。所謂(いわゆる)「見立て」です。

今日の作業は木地の調整です。具体的にはサンドペーパーでの磨きです。1 80番、240番、360番を一通り使います。平行して、必要に応じて、ベルトサンダーでも削ります。ほんの20個ほどのために3時間も要します。その過程で、今日も、頓珍漢(とんちんかん)な状態に気づきます。

組み立ての際に、パーツの位置を間違っているのです。具体的には、上下左右の取り違えです。鉛筆で印をつけているのに間違っているのです。自身を認識する貴重な瞬間です。そして、結果に不満足を覚える瞬間でもあります。


まず、貼り合わせた両者の間に微かな隙間が見えます。その段階で、今後の進路の変更を余儀なくされます。実は、今回の2合半枡は無塗装のつもりでした。

しかし、この隙間の処理によって、やや無理になりそうです。無塗装にするには、非の打ちどころの一か所も無い、完全無欠の細工が要求されるようなのです。

無難な選択は漆仕上げのようです。埋め材で穴埋め(木地調整)をすることで解決しそうです。今晩、この対応について悩む時間を確保するつもりでいます。


午後、W工房から電話があります。『タイトボンドの様子はどうですか。』というものです。水や酒の浸透度についての確認です。しかし、その実験はまだです。実は、組み立てた枡があまりにも綺麗です。実験に使うことすらも控えられる美しさです。

昨夕の送別会は盛大でした。お世話になっている多くの皆さんにお会いします。そして、次代を担う世代の胎動を感じます。感動する時間でした。

2014/02/23(日) 16:11