「越冬事情」・・・排雪

清少納言が、枕草子で四季の素晴らしさを訴えています。個人的な訳(やく)ですが、『春は曙(あけぼの)におもむきがあります。・・・。』・・・、『冬は早朝が素敵です。雪が降っている朝は勿論(もちろん)です。』の意味のようです。

しかし、奥州最北端では、素晴らしいどころではない、白魔の居座る世界です。午前中はおとなしいかったものの、午後は風の伴う猛吹雪です。

おそらく、このような本物の吹雪では「地吹雪体験ツアー」も中止せざるを得ないほどです。1~2m先が見えなくなります。迷子になったら大変です。

例によって早朝の沐浴(もくよく)です。玄関を一歩出るとやはり積もっています。家の前の狭(せま)い道路は新聞配達の足跡だけです。

他方、広い道路は既に除雪されています。深夜2時ころに大型タイヤショベルの音を聞いています。不謹慎ながらも、床の中でショベルをコントロールしている方の起床と食事の時刻を想像します。そして敬服します。

話は飛びますが、当地の雪片付けには「排雪」と「除雪」があります。除雪は単に道路の両側に雪を寄せるだけです。他方、排雪には、寄せた雪をダンプ等に積んで運び去る作業を含みます。

・・・普通の国語辞典には「除雪」はありますが「排雪」は載っていないようです。一般的な言葉とされていないことが残念です。

さて、除雪で寄せられた雪はバリケードのように細い道を塞ぎます。多くは硬く重量のある氷の塊(かたまり)です。

除雪車が活躍した翌朝の雪片付けは、まずこのバリケードの除去からのスタートです。今日は日曜日です。沐浴後の排雪(除雪)作業にしました。あちらこちらにお手伝いして小一時間を要しました。


その後間もなくZ氏がお出でになりました。『大変な雪だ。駐車場に車が入らない。』、と言います。まだエンジンの冷(さ)めきっていないタイヤショベルを持っていきます。

一時間ほどで戻ってきます。やはり、彼もまたあちらこちらでのボランティア活動でした。

しかし、古酒の焼酎(しょうちゅう)を持っています。『お礼にいただいてしまった。』、と言います。残念ながら、完全ボランティアではなかったことになります。ま、新年会用に頂くことにしました。

「工房事情」・・・三角筋

一昨日、「看板」に漆を塗りました。表面は乾いていますが見事なシワシワの発生です。石油ストーブが乾きを促進させたようです。

もう少し乾き難(にく)い環境にすべであったようです。何回も体験して解ってはいることです。しかし、いつも結果を急(せ)いてしまうことが不思議です。

尤(もっと)も、表面をサンダーで整えて塗り直せばいいだけです。しかし、今はまだ内部までは乾燥していないようです。暫らくは工房に置いて時間の経過を待つことにします。


時間が生まれたことで、急遽(きゅうきょ)、「箸置きづくり」の下拵え(したごしらえ)へと進路変更です。カットです。既に2万個はカットしている筈です。

単純作業ではあるものの、その過程にはそれなりの歴史もあります。最初は1本ずつのカットでした。やがて勇気を奮って2本をまとめての作業です。そして4本、6本と進化します。今日は一気に12本まとめてです。

全く問題は生じませんでした。考えてみると当たり前のことですが、素人には大発見です。その都度(つど)試みる少しの冒険心と工夫が、効率の全く違う作業へ導いてくれるようです。面白い世界です。

逆に、いつもハンコを押すような繰り返しだけでは面白さは半減しそうです。同様に「丸棒」づくりも試してみました。これまでのツールはディスクグラインダーが主です。一般的な発想では旋盤のようですが、細い棒を掴(つか)むチャックをまだ準備していないところです。

ドリルも考えましたが、つい安定度を想像してしまいます。行き着いた先は簡単なJIG(ジグ、治具)と鉋(かんな)です。そして、仕上げはサンドペーパーです。

やってみると何とかなりそうです。ある意味では常識的で原始的な方法に戻ったようです。おそらく、これが基本的な本来の方法のようでもあります。

実は、この丸棒の出番を待っている玩具(おもちゃ)がたくさんあります。いくらあっても不足する部材です。また、サンダーがけは三角筋のハードトレーニングでもあります。快(こころよ)い筋肉痛が、多少なりとも肉体の衰えにブレーキをかけてくれそうでもあります。

この寒さが数日も続いています。今後の週間予報もすべて「だるまマーク」です。除雪、排雪とともに工房でも鍛えるべきのようです。

2011/01/09(日) 18:32

「越冬事情」・・・チリチリと

朝は工房のバケツの水が凍っています。しかし、日中の気温は昨日よりも1~2℃ほど高いようです。僅かの違いを感じ取れるのが不思議です。

チリチリとした雪が間断なく降っています。モサモサと一気には降らないものの、3時間も経つと確実に積もっていることが認識できます。

モサモサと積もる雪は2時間で1mも積もります。40年ほど前に経験しました。勿論?そのときには全ての交通機関は麻痺しました。明け方の4:00から6:00までの一瞬でした。


創作活動の合間の除雪です。今日は昼前と夕刻の2回です。雪片付けは掃除に似ています。片付けた後のエンプティーに出会うのが嬉しいです。しかし、貴重な時間が奪われることには疑問も覚えます。

つい2日ほど前にした雪囲いが大活躍です。庭は30cmほどの積雪です。通路は完全にを失っています。しかし、除雪はもう少し暖気になってからが良さそうです。プラス2~3℃ほどでは粘り気のある雪になり、片付け易いのです。


「工房事情」・・・金看板

今日は「箸置き」の下拵(したごしら)えです。結構な数を熟(こな)してきました。簡単な作業ですが、「面取り」加工はまだ熟達の域ではないようです。

鉋(かんな)の方向は木の目から判断しますが、流れの途中から逆方向になっているものもあるからです。

尤(もっと)も、逆目(さかめ)になったとしても、サンダーという強い味方も居ます。ある程度は微調整に委(ゆだ)ねることができます。

「面取り」の鉋屑(かんなくず)は独特な形状です。微かな面取りでは細い糸のようになります。「糸面」と表現する所以(ゆえん)です。

最初の頃は、この鉋屑をストーブに入れていました。しかし、面白い形状から、最近になってストツクしています。結構な量になっています。


実は、数日前の新聞に「畜産」が当面している記事がありました。大鋸屑(おがくず)や鉋屑(かんなくず)の不足です。

畜産には不可欠なのだそうです。この糸も利用価値がありそうなのです。枕(まくら)の中身にも良さそうです。

年末に依頼された「拭漆欅杯」を完成とさせました。多少時間は要したものの、数回の拭き漆です。ご容赦いただくことになります。

粗末なものですが、箱は以前つくった青森ヒバ製です。やはり、やや撓(たわ)みが生じています。これもご容赦願うことになります。番長さんには明日届けることになります。


夕刻、F氏がお出でになりました。看板の注文です。彼は100年以上も続く「くじら餅店」の社長さんです。「くじら餅」は、山形北東部の最上地方と、青森県の鯵ヶ沢及び浅虫温泉でつくられている餅菓子(もちがし)です。

青森県では「久慈良餅」と表現しています。その金看板です。サンプルを見ると、地(じ)の漆黒に文字は金の蒔絵(まきえ)です。社長さんからは『100年もつものをつくってください。』、と気合が入ります。

またまたやる気になってしまいます。5枚ほどをつくることになります。イメージづくりは今晩の夢の中になります。

2011/01/08(土) 21:36

今日も猛吹雪です。しかし、突然青空が見えます。気温の低いときの透明感が素晴らしいです。積雪量は殆ど無く、今日の除雪作業はお休みです。


「看板」をつくっているところです。今日は、その看板を吊(つ)るす仕掛けづくりです。簡単なフックのようなものをつくるつもりです。

参考に、何でも知っているWEBに訊いて見ました。看板や額(がく)を壁に吊るす仕掛けにはさまざまあるものです。殆ど見た事の無い世界です。驚きました。ステン等の金属製が多いです。

話は飛びますが、フック(hook)の一般的な意味は「鉤(かぎ)」のようです。発音は違いますが、衣類の留めるホックもそうです。その他、釣り針、ボクシングの肘(ひじ)を曲げて打つフック、ゴルフで右打者が左に、左打者が右に打球が曲がること、コンピューター用語、飛行機の旋回中に旋回円の中心に向かうこと、等々です。


ディズニーの、ピーターパンのライバルの名前もフック船長だった筈です。ピーターパンが切り落とした彼の右手(左手)についている鉤(フック)から、命名されたようです。どちらが先かは解りませんが、そのことからか、義手もフックというようです。

さて、額や看板のフックの仕掛けは基本的には同じようです。L字を上手(うま)く使っています。しかし、納得するものはありませんでした。

我流に拘(こだわ)ることにしました。実は、先般も看板をつくっています。近くの旅館用の壁面用です。大きい重いケヤキ(欅)であったことから、そのセット方法に気を使いました。

L字型を壁面と看板の裏面にそれぞれ逆方向に固定して噛(か)み合わせる方法です。これは髭(ひげ)のS氏からいただいたヒントに基づいてのものです。丁度、当時使ったクリ(栗)の垂木が残っています。

即、行動開始です。テーブルソー(卓上丸鋸)の登場です。木口が約40mm×57mmの垂木(たるき)です。その1/4を切取ることで求めるL字が出来ます。

しかし、正確な1/4であれば、噛み合わせの際に困ることがあります。看板の裏面自体が正確な平面でなければピタリと嵌(は)らなくなります。1mm弱の余裕を持たせたつもりです。次は、そのL字を期待する長さにカットするだけです。壁側用と看板用とを同じ長さにしました。


作業時間はほんの一瞬です。しかし、さまざまな選択肢の中から進行方向を定めることもまた工房生活の一端です。結果は、パズルのようなフックの出来上がりです。ステン等の既製品に頼るよりも、豪華過ぎるようです。しかし、全て手作りであることに納得します。


さて、看板本体の進捗(しんちょく)状況は、昨日、文字に2回目の漆を盛ったとろです。今は別室でお休み中です。時間の経過をじっと待つこと自体が作品づくりになっています。


昼、東京にお住まいのT氏から電話がありました。開口一番、『こっちは非常に寒い。そっちはどうですか。』、です。東京では7℃あたりのようです。奥州最北端ではその10℃以上も低いのです。今朝、工房の薬缶(やかん)やバケツの水が凍っています。

今冬2回目の寒さです。もう暫らくはこの寒さが続きそうです。

2011/01/07(金) 16:52

「園芸事情」・・・滑り込み

やはり降りました。時折の晴れ間はみせるものの、今日は殆(ほとん)ど終日(しゅうじつ)の吹雪(ふぶき)です。

吹雪は、激しい風に混じって降る雪です。また、一旦降り積もった雪が風によって巻き上げられる状態も指すようです。今日はその両方です。

ピュー、ゴーと音を立てる風です。それが雨戸の間隙から進入して障子をガタガタ揺(ゆ)すります。一冬(ひとふゆ)に数度あるかないかの厳寒の吹雪です。明日は更に冷え込むようです。

遅れ馳(ば)せながら、その合間を縫っての「雪囲い」作業です。昨日の続きです。明日の予報は、最高気温がマイナス3℃、そして最低はマイナス6℃だそうです。

しかも、向こうしばらくに降雪を表す雪だるまマークがついています。待つことで更に条件が悪化しそうなのです。


作業条件は必ずしも満足ではないものの、朝からの開始です。今日のテーマは萱(かや)がけです。丸木の骨組みに萱を貼り付けるだけです。

ツールは縄です。しかし、気温が低いことから縄を切る剪定鋏(せんていばさみ)が軍手にピタピタと吸い付きます。氷点よりも相当低いようです。

1時間半ほどで全て終了です。囲った順に雪が付着していきます。何とか滑り込みセーフだったようです。しかし、まだ憂いはあります。大きいイチイ(一位、オンコ)がまだです。単に、厚いヌキ(貫板)2~30枚で屋根をかけるだけです。

これは、天候の回復をみてからでも間に合いそうです。高所の作業になりますが、ま、たいしたことの無いものです。「雪囲い」を終えた頃は体がポカポカしています。その勢いで、今度は除雪です。数日振りのタイヤショベル出動です。結構な量です。


「工房事情」・・・CnHn

午後は「看板づくり」です。文字部分に1回目の漆(うるし)をのせてから3日経っています。概(おおむ)ね乾燥しています。例によって仕上がりがザラザラです。1回目の塗りの結果はこのようなものです。

2回目の塗りに入りました。まあまあのようです。しかし、満足するまでにはあと2回ほどの繰り返しが必要なようです。今回の乾燥には別室を用意しました。これからは僅(わず)かの埃(ほこり)も嫌いたいところです。

別室には石油ストーブを焚(た)いています。50年前の化学の授業では、石油はCnHnだった筈です。そのC(炭素)がO2(酸素)と結合し、CO2(二酸化炭素)となって燃えます。

他方、CnHnから分離されたHnはO(酸素)と化合してH2O(水)になります。だとすれば、この水分が漆の乾燥を促(うなが)してくれる筈なのです。・・・既に半世紀も昔のことです。少し曖昧(あいまい)にはなっているのですが・・・。

今回はやや厚く塗っています。乾燥までは数日を要します。その後、更に数回は塗ることになります。

手を掛けてから10日ほども経っています。漆の宿命です。反面、時間の経過だけが解決に導いてくれることに魅力を感じます。

2011/01/06(木) 17:26

正月も5日になりました。午前中にはチラチラとした雪はあったものの、午後は青空です。雪が少ないことにホッとしています。

数日前、1mの積雪予報がありました。結果的には殆(ほとん)ど皆無(かいむ)です。往々にして、この状況が困ることになります。

前にも書いた記憶がありますがイソップ物語の『狼(と)少年(羊飼い)』のような心境になってしまうのです。

『狼が来た』、といつも嘘をついていたところに本当に狼が来ます。いつもの嘘だろう、と誰も対応しなかった、というストーリーです。

勿論、天気予報はさまざまなデーターに基づいた、一般市民に配慮する老婆心的な姿勢です。それで正解のようです。

しかし、『降る』、といっても降らないことがこうも頻繁(ひんぱん)であれば、『降る』、という情報に「どうせ降らないのでしょ」、と反応する傾向になってしまいます。


顕著に少雪の今年です。しかし、時期的には何時(いつ)ドカーンときても可笑(おか)しくないところです。一旦降り出すと2m以上も積もる年もあります。そろそろリミットのようです。

延び延びになっていた「雪囲い(ゆきがこい)」の断行に、ついに踏み切りました。

小さい木はだいぶ前に済んでいますが大きい木が十数本残っていたのです。丸木で骨組みをして、その外側を萱(かや)で覆(おお)うだけです。しかし、この骨組みが厄介(やっかい)です。

長く太い丸木をコントロールするには、バランスのとりかたの巧拙(こうせつ)もありますが結構な腕力も伴います。まず、3本の木をまとめて上端を縄で縛ります。

それを立て、回転させ、3角推(さんかくすい)をつくります。これだけでピタリと安定するものです。それに補助の丸木を数本凭(もた)れかけさせます。


今日はこの段階で終了です。明日以降の楽しみが無くなることもありますが、少し腰に来てもいます。作業スタート時点では寒かったものの、少し動くだけで汗ばんできます。結構な運動量です。

昔は3時間もあれば綺麗にやりおおせた内容を今は2日がかりです。少し恥ずかしいところです。しかし、あとは萱(かや)がけです。大したことの無い作業です。

正月の今時の「雪囲い」は一般的ではないようです。しかし、基本的には、できるだけ遅く囲い、できるだけ早く外すのが木の健康を考えた本来の「雪囲い」のあり方です。

勿論、そのことを力説するつもりはありません。ご近所の皆さんも、今日の作業を不思議な面持ち(おももち)で見ています。来年はもう少し早いタイミングを考えたいところです。



2011/01/05(水) 18:15

早朝は、屋根に積もっている雪からダラダラと雫(しずく)が落ちています。暖気だったようです。

しかし、明るくなるにつれて、いつの間にかその雫は止んで静かになります。明るい日中ではあったものの、次第に冷えてきました。


久しぶりに庭に出ました。全体的には白一色です。しかし、大きい木の下になっている場所には殆ど雪はありません。「飛び石」の見えているところもあります。ホッとします。

雪のある無しが精神的フットワークに大きく作用していることに齢を思います。

庭のあちらこちらに「ホダギ」を置いています。ナメコとヒラタケを植菌したものです。それらの木口を中心に「エノキダケ」が見えます。

小さい傘でグジャグチャと生(な)っています。この別名は「ユキノシタ」です。


名にしおう「雪の下」です。念のため、覆(おお)っている雪を掻き分けてみます。やはりあちらこちらに群生しています。感動するものの、現実的にもなります。

今収穫しなければ春の雪融けまで待つことになります。ボリュームは無いものの、シャキシャキ感が捨て難いところです。即、収穫です。鋏(はさみ)が活躍しました。

鳥取、島根の雪に驚いています。雪の重みで船が沈む、ということは聞いたことの無いものです。奥州最北端でも、今の少雪は長くは続かない筈です。そろそろ、本格的な雪を迎え入れる心準備はすべきのようです。


工房では今日も漆塗りです。まず、10日ほど前に手を掛け始めた「ケヤキのコップ」です。「拭き漆」仕上げです。何回繰り返したかは忘れてしまいました。だいぶ艶(つや)が出てきたようです。

実は、この「拭き漆」は繰り返す毎に魅力を増します。これで良し、の段階が無いのです。しかし、依頼者もシビレをきらしている頃です。そろそろ完成としても良さそうです。


ついでに、小さいヒバの器等にも塗りました。拙(つたな)い生地(きじ)からスタートした、あちらこちらに斑(ムラ)のあるものです。しかし、その拙さが魅力的でもあります。和(なご)みがあるのです。

例によって、手が漆で真っ黒になっています。見た人はドキッとする筈です。漆の扱いが下手なのです。今のところは受け入れなくてはならない世界です。

「看板」がこのところのメインテーマです。昨日、文字に、1回目の漆をのせました。流石(さすが)に乾燥はまだです。むしろ、乾きに十分な時間をかけることで、「ヒビ割れ」ができ難(にく)い利点があるようです。

「割れ」は、乾燥条件の整った環境でおこるようです。表面と内部の乾きに要する時間差が原因と言われています。しばらくは待つことが仕事です。

白楽天や清少納言ではありませんが、「香炉峰の雪」のように、覆(おお)っている新聞紙を何回も撥(かか)げて乾燥状態を観察しているところです。

2011/01/04(火) 16:02