
曇り空からシトシトとした雨になります。花見や磯遊び等の行楽には不適ですが、ある意味では恵みの雨です。日に日に緑が増しています。
ここ数日、イチイ(一位)の花粉が顕著です。葉に触ると白い微粉末が漂います。霧のように幻想的です。花が咲いて花粉をまき散らしているのです。
当地ではイチイをオンコと言います。アイヌ語と言われています。話は飛びますが、イチイの別名はアララギのようです。明治末から活躍した伊藤左千夫や正岡子規等が使った短歌会の名前はこれからとったようです。
蛇足ですが、このアララギ派の傾向は、人の深層心理や生活を詠ったものが多く、個人的にはこれまで惹かれることのなかった流派です。
狭庭にある3本中の1本だけに赤い実をつけます。イチイは雌雄異株の常緑樹です。雪と赤い色のコントラストは絶妙です。

昔、いつも緑の葉をつけていることが不思議でした。常緑樹は一旦付けた葉を何年も付け続けていると考えていたのです。
しかし、実際には、年を越した葉は、春に新しい葉と入れ替わっているようです。最近になって気づきます。
常緑樹の定義はよく解りませんが、秋に葉を落とすのが落葉樹で、春に葉を落とすのが常緑樹ということになりそうです。一般的には、乾燥や寒さに耐性のあるものは冬でも葉を付け続けるようです。
雪の間、緑を保っていたマサキ、サツキ、ツバキ、サツキの一部、アオキバ等の葉が、今になって葉を落とし始めています。それと並行して新しい葉が生まれています。
秋、落葉樹は一斉に葉を落とします。常緑樹の新旧交代劇はこれほど劇的でないところも常緑樹の所以(ゆえん)なのかも知れません。
昨日から「看板」に手をかけています。簡単な作業です。しかし、文字を漆(うるし)で描いたことに反省頻り(しきり)です。本来、雨は漆の乾きを促進してくれます。その条件以上に厚塗りし過ぎたようです。この連休で仕上げるつもりでしたが納品が遅れることになります。ま、いつものパターンです。
他方、看板の脚のイーゼルは順調のようです。今朝、塗りをします。外に置くことから「木固めエース」を使います。シンナーの匂いがキツいことから庭での作業です。雨の前の一瞬のチャンスを生かします。

午後は塗師(ぬし)に変身します。昨日、1回目の拭き漆をしたものです。綺麗に乾いています。
1回目の塗りの後にはザラつき感が生じます。今日の2回目は、サンダーをかけてそれを滑らかにしてからです。
簡単な作業ですが、若干の配慮はあります。ゴム手袋をつけます。手脂を付着させないためです。脂というよりも指紋です。漆は脂を嫌います。綺麗な仕上がりには欠かせない配慮です。そして2回目の塗りです。導管を埋めるように漆を摺(す)り込んでやります。所謂「摺り漆」です。
あとは拭き取るだけです。作業は簡単です。とはいうものの、これにも配慮が伴なます。蓋物(ふたもの)の「棗(なつめ)」です。身に蓋をそっと載せてスーッと収まらなければ作品にはならないデリケートなものです。
塗る前の木地(きじ)の段階では、身と蓋(ふた)の間に微かな遊びをつくります。その空間が微かな漆の厚さで、やがてピタリとフィットすることを計算しているのです。
計算通りになるためには、綺麗な拭き取りが条件になります。微かな拭き残しでも計算は成り立たないことになります。直角になっているコーナーの拭き取りには特に気を使います。
昼前、Y氏宅にお邪魔します。実は、今朝、達人のI氏が教えて下さったのです。全く気づきませんでした。傾向は冬になる前からあったようです。