いつもの春のように、寒暖の目まぐるしい日が続いています。
二ヶ月ほど前にスタートした「ボンゴ・ジャンベづくり」は、遅々ながらも、今も、ひっそりととした進捗を続けています。
当面している課題は「ジャンベ」への「加飾(かしょく)」です。空白部分に、何かを描きたくなったのです。恥も外聞も気にしないのはいつものパーンです。仮に、そこに「正義」があるとすれば、『満足に至るルートは、多くの不満足を経ることにある。』の理屈です。
絵柄を、「蒔絵(まきえ)」での「御所車」にしてみます。これまでの学習で、不満足な結果になることは百も承知の上で、です。その不安を背負いながらの作業を楽しみます。実は、以前、「カホン( Cajon)」にも、この「御所車」を描いたことがあったのです。そのときの「御所車」は、「鮑(あわび)貝」を埋め込んだ「螺鈿(らでん)」でした。
「御所車(ごしょぐるま)」の図案への固執は、特に理由のあるものではなく、単に、何となく、惹かれるものがあるからのようです。何となく、昔の日本文化に触れることができるからなのでしょう。
今回の「蒔絵」の作業手順は、まず、全体の様子を「生漆(きうるし)」で「なぞ」ります。その後、漆が乾ききる前に「なぞった漆」に「金粉」を蒔(ま)きます。
そして、金粉の表面が乾いた後に、再び「生漆」で、金粉を定着させます。因みに、「蒔(ま)く」は、「種蒔き」の「蒔く」同様、その意味は「散らし置くこと」です。
しかし、いつものように諸問題との出会いは避けがたいものです。そのひとつは、絵が稚拙なことです。生来(せいらい)、描く能力に恵まれていないのです。
そして、何よりも、「漆の乾き」に膨大な量の時間を要することです。実は、現在手元にある「漆」は、10年ほど前に取り寄せたものです。「乾きに要する時間」は、その鮮度によって異なるようなのです。その意味では「賞味期限」がとうに過ぎているのです。
アフリカ南部の楽器に描く、「蒔絵」の「御所車(ごしょぐるま)」の取り合わせです。違和感の無いものではありません。しかし、それが、何となく、マッチ(match・調和)しているようにも思えるのです。稚拙な絵ながらも、心地よい世界との同調を思わせてくれてもいるのです。
明日から暖かくなるそうです。この機に、いつものお世話になっているS道の駅で「苗」を求めることにします。