
昨朝、電話が入ります。達人のI氏からです。『体でも壊しているのですか。』というものです。実は、昨年の秋ころまでほぼ毎日更新していた日記が数日毎になり、ここ最近はついに一ヶ月も空白になっていたのです。ご心配おかけする結果になってしまいました。
肉体的には極めて健康です。また、創作意欲も旺盛です。活動はお休みしていたのではなく、単に、生来の文不精に加えて、文章を書くための寸刻を確保できなかったことが理由のようです。
実は、このところ、二足の草鞋(わらじ)を履いています。話しは飛びますが、この「二束の草鞋」は、本業と正反対の業種とを並行して勤めているときに使う言葉のようです。この正反対の業種ということが定義のひとつになっているようです。古くから例に出されるのは十手持ちとヤクザです。
ここ数年、工房活動だけの草鞋を履いていたものが、昨年秋から二足目を履いています。その結果、工房活動の紹介が疎(おろそ)かになっていたのです。とはいうものの、舞台裏では二足目の草鞋も結構な活躍をしています。
先週末は朝から終日に及ぶ工房作業に浸ります。毎日の課題の、旅館やホテルに納品する作品づくりに加えて、「桶づくり」、「箱づくり」、更には「お水さまづくり?」等です。日曜日は夜中まで作業が続きました。

「桶」は「手湯桶」のバージョンアップです。初舞台は先月でした。大成功の評価はいただきましたが、根本的に修正したい箇所があります。しかし、次回は今週末の3月3日です。「はやて」の一周年で使うのだそうです。時間が無いことから妥協するつもりです。しかし、桃の節句でもあります。若干のお化粧は加えることにしました。
「箱」は「積み木」の収納ケースです。予定では正月の三が日に完成するつもりでしたが、いつの間にか二ヶ月が一瞬に過ぎてしまいました。既に一年の1/6が経過しています。このペースでは来年になってしまいます。とりかかることにしました。
これまでつくったことのある単なる箱です。しかし、カンナがけから完成まではそれなりの過程が伴います。コーナーは「留め」にしました。これは、45°の両者を合わせて直角にする方法です。簡単な作業ですが、実際にはデリケートです。
45°は目盛りが教えてくれますが、所詮はおおよその目安としての参考に過ぎないのです。目盛りには誤差があるものです。その微かな違いは、やがて組み立ての段階で4隅のどこかに反映してくるのです。いつものことですが、昔の大工さんの偉大さを思い知らされる瞬間です。
底板は3枚の板を「相決(あいじゃくり)」で接(は)ぎ、側面の掘った溝に埋める方法です。本来は簡単な加工ですが、寸法の設定に手間がかかります。
更に、「簪(かんざし)」を挿します。1つのコーナーに2箇所のカンザシです。2個の箱では16箇所です。これは箱全体の強度の確保のためです。子供は大人が想像できない使い方をすることがあるのです。

そして「面取り」です。これは怪我の防止が目的です。全ての陵辺に手を加えます。Rの大きい「坊主面ビット」を使います。トリマーでの作業は一瞬です。しかし、若干のササクレが出ます。それをサンドペーパーで整えます。
問題は塗装です。折角の「青森ヒバ」です。その素肌と香りを表現したいところですが、素肌は汚れを伴います。塗るか塗らないかはいつも悩む課題となります。
今回は、その折衷案を採用します。手に触れることの多い外側だけを塗り、内側は白木にします。初めての試みです。シンナーの臭いの洗礼を受けながら漸くゴール近くに辿(たど)りつきます。なんとか先が見えてきます。
「お水さま」は「かまくら」に祀(まつ)る札のことです。友人のT氏の依頼です。昨年の冬は「水神様」と書いたようです。今年は「お水さま」にします。
適当な板に筆で書き、塗りを施すだけのものです。簡単な作業です。しかし、実際には、材の選択から始まってカンナがけ、カット、筆の準備、塗装へと続きます。
工作作業は料理に似ています。実は、昨秋漬けたタクアンの出来が不満足です。聞くと、多くの皆さんが同じ結果のようです。気候の所為か、糠が香ばしく発酵していないのです。