
早朝から夕刻までの終日の雨です。先般の雪の殆どが姿を消しました。久しぶりに遠出しました。家を出てから帰るまで5時間ほどを要しました。
4:00前に帰宅したときには既に暮れています。1年を通して、ここ暫らくが最も日が短いようです。
目的地は魚と野菜市場です。市場にはその時々の季節が反映しています。その移ろいを目撃できることが貴重です。
魚市場の生ものでは、岩ガキ(牡蠣)、タラ(鱈)、タコ(蛸)、ホッキ貝、イカ(烏賊)、サバ(鯖)、ホタテ(帆立)、ナマコ(海鼠)、そして秋田のハタハタ等が旬(しゅん)のようです。
背黒イワシ(せぐろ鰯)を見つけました。10cmほどの小さいものに塩をしています。近くにいた年配のご婦人が箱ごと買っています。
数百匹も入っています。不思議に思い、レシピを訊いてみました。『ショウガ、ニンジン、ナンバンを入れて飯寿司(いいずし)をつくります。冬のご馳走です。』ということです。食べたことの無い寿司です。驚きました。
無性にシオカラ(塩辛)が恋しくなり、イカを求めることにしました。店に2種類のイカがあります。一方は白っぽいヤリイカです。
他方はビガビガと赤黒いスルメイカです。店のおばさんが『ヤリイカのウロはほんの少しです。シオカラはスルメイカでつくるんです。』、とコーチしてくれます。
今年のタラは、まだ大量には獲れていないようです。そのためか、昨年の今頃よりはいい値段です。しかし、見事な大きさです。同じ大きさで値段が大幅に違っています。
これはオスとメスの違いです。プチプチとした、所謂(いわゆる)子を持つのがメスです。他方、鍋用のシラコ(キク・タツ)を持つのはオスです。メスの値段がガクンと低いのに驚きます。
店の大将が、『タラは一匹で買うのが得ですよ。』と語ります。当初、何を言っているか解りませんでした。実は、このシラコにあります。シラコだけも売っています。その値段と1匹の値段に然程の違いが無いのです。驚きました。交通の便のよく無い市場ですが、歩き難いほど混雑しています。不思議です。
帰路は野菜の探索です。新幹線の駅前のことからか、最近、いつも新しい道路がつくられてきました。今日もはじめて走る区間がありました。
玄関先にハクサイ、ゴボウ、ダイコン等がドサリと山積みされています。すかさずハクサイとダイコンを求めました。店の中を物色すると、これまで見た事の無いものがあります。またまた驚きです。
ひとつは「山ゴボウ(牛蒡)」です。長さは14~5cmほどです。はじめて見るものです。食べ方を店員さんに聞きました。すると、隣に居合わせたご年輩のご婦人が割って入り、ご親切に語ってくれます。
『味噌漬けも醤油漬けもこれでつくるのです。洗って土を落とし、皮を削って一晩水に漬けてアク抜きします。その後に漬けるだけで成功します。』、ということです。またまた新しい世界です。
実は、ゴボウのショウユ(醤油)漬けを大量につくったことがあります。それは普通のゴボウを使っていたのです。・・・そう言われてみて、送った先の反応が曖昧(あいまい)だったことが理解できる始末です。
次の初対面は「アピオス」です。聞いたことの無い名前です。小型化したジャガイモ(馬鈴薯)に似ています。これも、お客さんのご婦人から講釈されました。『塩茹(ゆ)でしていただくのが一般的です。多くつくって冷凍庫に入れておきます。食べる前に自然解凍させてそのままいただきます。勿論、テンプラでも良いです。』、とのことです。
すかさず求めます。帰宅後、何でも知っているWEBにお訊ねしました。『原産地は北米。アメリカホドイモ。つい最近、リンゴの苗に混じって、アメリカから奥州最北端にたどり着いた。インディアンの戦闘の前の食物。東北地方では産後や病後の栄養補給源。普通のジャガイモにはない成分が含まれている。・・・。』、とあります。相当元気の出る食べ物のようです。
反面、昨年から店に無くなったものがあります。クルミ(胡桃)です。小さく硬い「和グルミ」です。最近みかけなくなりましたが、年配の方が、手の運動のためにコロコロと音を出しているクルミです。
普通の大きい種類とは美味しさの違うものです。毎年この時期に求めていました。或いは、納品する産地側に何らかの事情が生じたのかも知れません。残念なことです。
帰宅後の夕刊には「ナマコの樽詰め」の記事が載っています。大分前からブランド化している県北の湾岸沿いで発信している「横浜ナマコ」です。やはり、年末には年末の風物詩があるものです。
夕刻は、スルメイカの足を炙(あぶ)っての晩餐(ばんさん)です。質素なものです。途中からK社長が合流しました。
阿久悠の、『・・・お酒はぬる目の燗がいい。肴(さかな)はあぶったイカでいい・・・』の世界です。しかし、『イカでいい』、は仕方なし、の意味があります。実際には、「イカがいい」のです。
K社長からは『行燈(あんどん)が遅れていますね。女将(おかみ)さんが心配しています。』、の一言がありました。これは、廊下の足元に置く明かりです。実際、少しどころではなく、相当に遅れている課題なのです。折を見て軌道に乗せることにします。
今日は非日常性の満喫でした。しかし、これが日常の作品づくりに拍車をかけるエネルギーに変化しそうです。
丁度、数学と文学、格闘技と音楽、ジキルとハイド、表と裏、山歩きと海釣り、集中と緩慢(かんまん)、剛と柔、Α(アルファ)とΩ(オメガ)・・・等々がそれぞれ共通因数を持っていることに似ているようです。
2010/12/22(水)
20:21