プログラムづくりは、確固たるストーリーを持たないまま、そして、行き当たりばったりで脈絡を持たない中、「さらばベルリンの灯(1966年作、イギリス・アメリカ映画)」の主題歌「Wednesday’s child」に及びます。
映画のストーリーは、イギリス諜報部員クィラー(George Segal)とネオナチ(neo Nazism・第二次世界大戦後の社会的運動のひとつ)との攻防を描いています。その中に、女性教師インゲ(Senta Berger)が加わります。
この曲を知ったきっかけは、何気なく観たテレビでした。何回目かの再放映で、だったようです。劇中で、西ベルリンにあるイギリス諜報部事務所のラジヲから、この曲が流れます。ほんの一瞬でした。5~6小節ほどだったでしょうか。
ラジヲからの歌が終わると、劇中のアナウンサーが、『歌はマット・モンローでした。』と解説します。マット・モンローはイギリスの歌手です。イギリスが西ベルリンに対して、自国のアーティストを誇らしげに放送していたのでしょう。おそらく、自国関係者への陣中見舞いと敵国へのジャブの演出だったのでしょう。
ストーリーの記憶は曖昧ですが、主題歌は強烈な女々(めめ)しさのあるものでした。Wednesday’s child(水曜日の子)は諜報部員クィラー自身のことで、「When you smile」の「you」は女教師「インゲ」のように思えました。しかし、映画では、インゲがネオナチであるか否かは明確にしないまま終わります。
即、その歌を覚えようとしました。そのレコードを、同級生のT.Y君が持っていたのです。直径30cmのLPでした。何気なく観た映画でしたが、学校では多くの皆が知っていたのです。歌で使われているのは簡単な単語です。
さらにマット・モンローのクリア(clear)な発音が手伝い、5~6回聴くだけで唄えるようになりました。今と違い、若い頃は、海綿のような吸収力があったのでしょう。因みに、マット・モンローは、「ロシアより愛をこめて(From Russia with Love)」等、たくさんの映画の主題曲を唄いました。そして、彼の歌によって、多くの映画自体がその評価を高めたようです。
しかし、歌は憶えたものの、同時に、大きい命題も背負い込むことになります。「Wednesday’s child is full of woe」の意味が解らないのです。何故、「水曜日の子が不幸(泣きべそ)」で、「金曜日生まれの子が恵まれている」のかが解らなかったのです。
あるとき、Y女史にそのことを訴えます。すると、「それはマザー・グース(Mother Goose)に載っていた筈です。」と教えてくれます。数十年間も糢糊(もこ)としていた課題が一瞬で解決します。それまで、高校の英語の先生は勿論、アメリカ人、カナダ人、イギリス人等の、英語に堪能と思われる方々の誰も答えることのできない命題だったのです。