午後には雨の予報でした。しかし、早朝に降ったきりで、以降は暮れるまで青空です。また、関東あたりの予報を流しているのかも知れません。他方、昼のニュース番組では、都内の天気予報を克明に紹介しています。時間ごとに地区ごとに、です。更に驚くのは、地面に含む水量を表示していることです。それも、ほんの狭いエリアごとに、です。奥州最北端とは全く異なる次元です。


工房では相変わらずの「下駄(げた)づくり」です。台と歯のコネクトは「蟻組」です。よく解りませんが、この命名は、組んだ形が蟻(あり)の頭部に似ていることからのようです。しかし、この見方は、日本独特の感性のようです。海外では「dove-tai(ダブテール・鳩の尻尾)」と表現しているようです。個人的には、アリ(蟻)よりも鳩(はと)に似ているような気がします。

昨日、そのダブテールのホゾ加工の殆(ほと)どを終えています。しかし、台と歯を組む前に、台自体の加工をします。この目的は、台と足とのフィットを狙(ねら)ったものです。ポイントは、親指の付け根のあたる近辺を穿(うが)つことです。これにはベルトサンダーの力を借ります。


最初に60番、仕上げに240番を使います。加工する数は30片ほどですが、意外に短時間に終えます。削る量は微かではあっても、手で触るとその変化に気づきます。実際に履(は)く時にも、何となく、その心遣(こころづか)いを感じてくれる筈です。

次は愈々(いよいよ)組み立てです。台の溝と歯のホゾは同じルータービットの設定で加工しています。本来はピタリと合う筈です。しかし、実際には、微かに違っています。その誤差は、普通の紙の厚さ未満の程度です。嵌(は)まらないときは、定規に紙を挟(はさ)んでルーターをかけ直して調整します。

一通りの組立を終えます。この段階では、台の幅は10mmほど広い状態です。歯を挿し込んだ後に幅調整です。この作業は明日の予定です。丸鋸(まるのこ)で両サイドをザーッと切り取るだけです。その後、木地調整をし、塗装です。最終的には「鼻緒挿(す)げ」です。

その鼻緒(はなお)は、朝、ご近所の下駄やさんからいただいてきます。前金も、です。この場合の前金は「まえがね」です。これは、鼻緒を前穴に通すときに、その出口(裏)を塞(ふさ)ぐ金属のカバーのことです。今のご時世では、「下駄の前金」といっても、殆ど通じなくなっているようです。


それよりも「鼻緒(はなお)」です。坂本冬美の「夜桜お七」に、『赤い鼻緒がぷつりと切れた すげてくれる手ありゃしない・・・ 』があります。「鼻緒」も「挿げる」も、今の子供たちには通じる言葉なのかどうかが不安です。そして、下駄をつくっていることの時代錯誤も思ってしまいます。

さて、今回の下駄はご婦人用のつもりです。赤い色を選びます。話は飛びますが、今のご時世では、殿方であっても赤の鼻緒を挿げているそうです。実は、午後にお見えになったY氏の靴も赤でした。訊くと、『赤はどの色の服装にも合うのです。』と言います。やがて殿方用の下駄をつくるときも、赤い鼻緒を選択肢に入れるつもりでいます。

夕刻、I氏がお見えになります。9月~10月にかけて行われる文化祭のヒントを届けてくださいました。その発想にエッと驚きます。世の中の広さと、身辺の狭さを思い知らされます。

2014/06/10(火) 19:01