夜明けが早くなっています。そして、暮れるのが遅くなっています。この現象は、つい先般、年末の冬至を越えたときに感じています。そのときは微々たる変化でした。しかし、一昨日、春彼岸の中日を迎えてからは、特に顕著です。一目散です。しかし、やがて冬至に向かう過程でもあります。やや、切なくもあります。


工房では「押し寿司器」づくりの最終段階を迎えています。今日は、身(本体)の「面取り」と木地の調整です。「面取り」には、蓋(ふた)や底板同様、専用の「面取り鉋(かんな)」を使います。並行して、「霰(あられ)」箇所の段差を修正です。最後に、再度、サンドペーパーで修正します。そして、付着している微粉末をコンプレッサーで吹き飛ばしてやります。


今朝は早朝から友人がお見えになります。『使いますか。』と、「鮑(あわび)」の貝を持ってきます。貝だけです。「漆(うるし)」と併用して使うことを知っていて届けてくれたのです。所謂(いわゆる)「螺鈿(らでん)」用です。

話は飛びますが、これまで作ったものは、テーブル、ペーパーウェィト、桶(おけ)、ペン皿等です。絵柄は、鉞(まさかり)、丁子(ちょうじ)、扇、幾何学模様等です。つくり方は簡単です。まず、絵柄に真似て貝を削り、それを漆糊で貼り付けるだけです。これまで使った貝は鮑です。最も入手し易いからです。近くの旅館の厨房からもいただきます。

ところが、鮑は平面部分が少ない貝です。そのため、絵としては稚拙なものになる、と、ワイルドで芸術的な作品になる、の、両極端の結果が得られます。これまでつくったもので最も満足したものは、槐(えんじゅ)でつくったペーパーウェィトです。「鉞(まさかり)」を絵柄に、ゴツく凹凸のある貝でつくった記憶があります。


さて、今回のアワビは手のひらよりも大きいです。久しぶりに出会う特大サイズです。その大きさに比例して、平面部分もまた広くなります。何を作るか、そして、どのような絵柄にしたいかを考えることになります。作品づくりの楽しみは、実際の作業もそうですが、この、あれこれと想像する時間が本質なのかも知れません。

今日で、手掛けてきた課題に一応の区切りがつきます。明日からの課題設定に迫られています。螺鈿もそうですが、先般の「枡(ます)」も面白そうです。今回の「押し寿司器」の構造同様、「霰(あられ)」になりそうです。そして、つくるとすれば「一合枡」です。先般、2個だけつくっています。「2合半枡」をつくった際に失敗した結果の枡です。

大きさ、製作にかかわる難度、美しさ、雰囲気、下世話の程度、使う材料の多少等の視点で、プレゼント用として手頃なようなのです。勿論、材は、青森ヒバです。憂いは、同じような課題に終始している点です。

2014/03/23(日) 15:01