
朝、足の裏にガリッとしたものを感じます。正体は、昨晩撒(ま)いたカント豆(殻つき落花生)です。昨日が節分、そして、今日が立春であることをあらためて思い出す瞬間です。
同時に、春への思いに駆られます。とはいうものの、永遠に続くのではないか、と思わせる寒さです。緑萌える春まで、悶々とした時間を過ごすことになります。
おそらく、吉丸一昌のつくった「早春賦」の2番の、『春と聞かねば知らでありしを 聞けば急(せ)かるる胸の思いを いかにせよとのこの頃か いかにせよとのこの頃か』は、このような心境を表現したものかも知れません。よく代弁してくれています。
今日も工房に入ります。試してみたいあれこれが山積しています。そして、手がけている最中のものもあります。早春賦ではありませんが、「急(せ)く」こと頻(しきり)りです。まず、5合枡(ます)への塗装です。今日は、「拭漆(ふきうるし)」の4回目です。

これは、木地(きじ)に塗った漆を拭き取って乾かす方法です。拭き取っても、薄い膜が残ります。その膜を何層にも重ねて硬化を図ります。
この作業の注意点は、拭き残しをしないことです。この拭き残しには「縮(ちぢみ)」が発生することが多いです。漆の量が多いことから綺麗に乾かない状態です。一旦こうなれば、削り取って塗り直す他は無さそうです。
特に、面と面が出会うコーナーが難しいです。時折お見えになる漆問屋のHが最初にチェックする箇所です。尤も、今回は試作品です。満足する結果に至ったときには、プレゼント用にいくつかつくるつもりです。
次に、ボードづくりです。暫らく休んでいた作業です。少し前進させることにします。内容は、単なる糊付けです。しかし、隙間(すきま)なく貼り付けることは至難です。ベルトサンダーでの微調整が伴います。多少の不満足はあったとしても、精神衛生上、気にしないことにしています。
縦横のバランスに「黄金比」を考えています。昔から、最も安定し、美しい比とされています。古代ギリシアの彫刻家が使ったとされ、ユークリット原論にも記載があるそうです。また、ダビンチや千利休(せんのりきゅう)の世界にも表現されているのだそうです。
これは、線分を aとbに分割するとき、a : b = b : (a + b) が成り立つときのa : bです。1:(x2-x-1=0の正の解)です。これは、1- (x2-x-1=0の正の解)):1とも等しいようです。身の回りでは名刺〈a visiting card)に使われています。そんなことを考えながらでなければ続かない糊付けです。