未明にポツポツと、そして、朝食後、ザーッと降ります。しかし、短時間です。野菜にとっては恵みの雨です。

しかし、昼前、W氏の畑を見ると、畑全体は濡れているように見えますが、ジャガイモの葉の下等は乾いています。その程度の雨量です。それでも、四阿(あずまや)では肩が濡れます。今日の活動は工房内でします。

今日の予定は3回目の「拭き漆」です。最後の塗りのつもりです。2回は朱で拭いています。3回目は黒の生漆です。仕上げのコーティングのつもりです。単に、黒漆を全体に塗って拭き取るだけです。

しかし、大きな誤算が生まれます。黒漆の乾きがあまりにも早かったことで、黒を拭き取ることが出来ない状態になります。その理由は、いくつかありそうです。まず、漆の乾燥する条件が満たされ過ぎていたことです。

雨が降って湿度が高くなっています。そして、それなりの気温です。やや、蒸していたのです。もうひとつは、塗ってから拭き取るまでの時間が長かったことです。今回の部材は24ピースです。その全てを塗った後に拭き取ろうとしたのです。

拭き取ろうにも、既に漆は乾き始めています。真っ青になります。即、テレピン油をつけて、ゴツいゴム手袋でゴシゴシ擦(こす)り取ることにします。それでも結果は、拭き取ることのできなかった黒が部分、部分に、残ることになります。


全く予定しなかったものになります。この解決方法は、サンダーで再び削り取ることです。

しかし、見方によりけりですが、この斑(まだら)もまた面白そうに思えてきます。この状態で続行することにします。所謂(いわゆる)、発想の転換です。

作品づくりには、常識もそうですが、独自性もまた貴重な要素です。しかし、「糸巻の花台」もそうですが、「朱漆の拭き漆」もオリジナルです。実は、先般、漆問屋のH氏がお出でになったとき、『全国で朱の拭き漆をやっている人はいません。KUROOBIさんだけです。』と、驚いていたのです。

そして、今日の「朱に黒の斑(まだら)」も見たことのないものです。独自性に過ぎるようでもありますが、一度はこの壁を打ち破らなければ、前進できない世界でもあります。

明日は組立の工程になりそうです。その後、またまた微修正が待っていそうです。



悪戦を終えた昼前、W工房にお邪魔します。朝、I氏から電話をいただき、様々な情報交換をすることになったのです。その折、「下駄(げた)」を持参します。評価をいただくためです。

即、お見せします。すると、I氏もW氏も同様に『面白い。』と言ってくれます。その後、『数個(足)つくってみようか。』と言います。I氏が、即、設計図を描きます。『サンプルよりも少し大きいものにしよう。1足合わせて正方形にしてみます。』、と、方針が決まります。あとは作業だけです。


端材を探して、作業に入ります。使ったツールは、手押し鉋(かんな)、丸鋸(まるのこ)、プレナー、トリマー、アジャスタブルフェンス、ノギス、曲尺、等です。トリマーにはスパイラルビットを装填します。

そして、最も優先する哲学は、早く、正確な作品をつることです。瞬く間に11足分の部材の完成です。台が22、歯が44ということになります。歯の厚さは台と同じ6mmです。押し込むとビシーッと挿し込まれます。

『焼印が欲しいですね。旅の方には最高のお土産になりますね。』と、喜んでくれます。しかし、これからの作業もまた付随しています。鼻緒挿げ(はなおすげ)、面とり、等です。或いは、下駄そのものの加工よりも、そちらの方が大変な作業になりそうです。

2013/06/18(火) 20:04