乾燥した冷たい風です。庭は水気を失っています。早朝、水遣(みずや)りをします。しかし、すぐに乾燥した状態に戻ります。

今日はお休みをいただきます。明日から出張が続きます。気になっているやり残しが山積しています。早朝から工房に籠(こも)ります。当面しているテーマは「額づくり」です。フレームは組み立てています。今日は、ダストカバー、裏板、そしてトンボをつくることにします。

ダストカバーをアクリル板にします。作業は、単にフレームの大きさに合わせてカットするだけです。しかし、技を知らなければ、結構、手ごわい加工です。これまでの失敗が味方になります。ツールを丸鋸(まるのこ)の昇降盤にしますが、刃の高さ設定にポイントがあります。

実は、以前、この刃をアクリルの厚さよりも高く設定したことがあります。その結果、大事件が起きます。回転する刃をあてると、アクリルがバリバリと音を立てて細かく分裂してしまったのです。


今回は、刃の高さをアクリルの1/2程度にします。そして、表裏に刃を当てます。結果は、見事成功です。プロの皆さんには常識と思われるものの、素人には失敗することで初めて知り得る素晴らしい世界です。

次は裏板です。材料がありさえすれば、これもフレームに合わせてカットするだけです。問題は、材料の選択です。実は、今回の「額」の構造をこれまでのものと変えています。中に入れる写真の面を、フレームの前面に出してみたのです。

この結果、裏板の収まる深さが大きくなり、厚い板でなければフレームの面と面一(つらいち)にならなくなります。結局、12mmのベニヤ板にします。昨年、家を新築した友人が持ってきてくれた端材です。一部、釘(くぎ)の孔はあるものの、ま、何とかなりそうです。

今日のメインテーマはトンボづくりです。裏板とフレームの留め具です。昔からトンボの名前がついています。何となく蜻蛉(トンボ)の形に似ていることから命名されたようです。ホームセンターでは10円ほどで求められるものです。しかし、手作りに徹することにします。

額の数え方は~架、或いは~面のようです。今回は5架(面)です。使うトンボの数は20匹です。1匹ずつつくるには効率的でないようです。ケヤキの端材を薄くカットし、それを両面テープでまとめてサンダーに当てます。短時間で20匹(予備のために22匹)の完成です。形は幼いものの、ストッパーとしての仕事はしてくれそうです。


この段階で概ねの加工を終えたことになります。しかし、最終関門が控えています。如何なる「塗り」にするかです。ここ数日悩んでいた課題です。

作業自体は簡単です。しかし、「木固めエース」にするか「漆」にするか、また、「漆」にする場合に、どのような色彩でどのような塗りにするかが、作品の全てを決定づけます。重大な決断を迫られることになります。


昼前、F氏がお見えになります。アジア大会チャンピオンだった達人です。さまざまな情報交換をします。その中に、交感神経と副交感神経が出てきます。均衡のとれたバランスの重要性を説明してくれます。

本来の仕事と全く違う工房活動をすることが、このバランスを保つために最適なのではないか、と喜んでくれます。明日からの出張には老骨に鞭(むち)を打つことになります。しかし、今日のトンボづくりが、華奢(きゃしゃ)な精神の均衡を保ってくれそうです。

2013/04/13(土) 18:43