一年を通しての毎日の日課に、朝の沐浴があります。歩いて1分のT旅館のお湯を頂戴しています。一週間前までは、防寒コートと毛糸の帽子をかぶって行っていました。

今朝は下駄と薄手のセーターだけで済みます。未明からの風雨でしたが、日ごとに勢いづく春の到来は抑えきれないようです。

昨日は、当面していた「雪囲い」の取り外しを終えます。満足すること頻(しき)りです。もしも、昨日の庭仕事が今日であったとすれば、作業の延期は余儀なくさせられた筈です。昨日の作業はタイムリーでした。充実感があり、満足すること頻(しき)りです。

昼の4時間ほど外出します。96歳のM氏の情熱とともに、入学式を迎えた若い皆さんから、その意気を頂戴します。そして、夕刻、久しぶりの工房活動を楽しみます。

課題は「額づくり」です。実は、これを手掛けてから1ヶ月近くも経っています。本来であれば、2~3時間で済む筈の工作です。だらしないこと頻りだったのです。


4辺のフレームは既に加工済みです、今日の作業は、マスキングテープを使っての仮組みからです。実は、4隅のコーナーの処理は、それぞれのフレームの先端を45°にし、隣り合う両者の合角で直角にする「留め接(は)ぎ」です。

マスキングテープによる仮組は、そのための事前の仕掛けです。具体的な補強の方法は「簪(かんざし)」の挿仕込みです。コーナーに溝を穿ち、その溝に雇い核(さね)を挿しこむ方法です。この加工をジグ(治具)に頼ります。工房仲間のW氏からいただいたジグです。このジグは昔からあるようですが、今でも文明の利器ともいうべき優れものです。

この溝の穿(うが)ちには昇降盤を使います。ゴツい丸鋸(まるのこ)ですが、刃の厚さが結構あることから、1回のカットで済みます。刃の高さを一定にして、加工する材料を移動する方法です。刃に指が触れると指がカットされます。単純な作業ですが、緊張する一瞬です。

次はいよいよカンザシの刺し込みです。これまで何回も経験しているものの、いつも不満足な結果になるのが不思議です。その理由のひとつは、溝幅とカンザシの厚さの微妙な関係にあります。

カンザシの厚さが小さければガフガフに(緩く)なり、厚すぎれば挿し込み困難になります。マスキングテープでそっと仮止めしていることで、力を加え過ぎれば全体がバラけてしまいます。


もうひとつは、接着剤の扱いに理由がありそうです。この道の達人は、必要最小限の接着剤で見事に目的を果たすようです。それに反して、我が工房KUROOBIではヤンチャになる傾向があります。

接着剤を、所構わず付けてしまいます。両手も接着剤で覆われます。勿論、やがては削除されるものの、加工技術の拙(つたな)さを見せつけられるのが切ないです。

それでも何とかカンザシの挿し込みを終えます。5個の額です。カンザシの数は都合20ヶ所です。カンザシのオンパレードです。鼈甲(べっこう)や珊瑚(サンゴ)とまではいかないものの、丁度、吉原の花魁(おいらん)の髪のようです。勿論、将来は、食み出た部分は削除されることになります。
2013/04/07(日) 19:27