先週、用事のため東京に出かけます。渋谷駅の空は真っ青です。高村光太郎は「智恵子抄」で、東京の空を『どんよりとけむる地平のぼかしは薄桃色の朝のしめりだ・・・。』と言っています。

東京のスモッグが有名になったのは昭和40年代の頃のようです。日本では、その後の配慮でようやく青い空が回復したことになったようです。しかし、今になって、大陸が同じ現象を呈しているようです。

2週間ぶりに工房に入ります。現在手をかけているのは「額」です。日本手拭(てぬぐい)を入れるためのものです。下拵え(したごしらえ)は済ませています。あとはコーナーを45°にカットして組み立てるだけです。

簡単な作業です。しかし、その「留め」のカットは4面中の1面だけが正解です。とはいうものの、普通では間違うことの無い簡単な作業です。今回はそれを間違います。

老いた所為もありますが、大きい理由は、2週間の時間の空白のようです。記憶が薄れてそのプロセスを忘れていたのです。情けない限りです。そろそろ、知的仕事は引退すべきのようです。


カットに要する作業時間は一瞬ですが、間違った場所のカットは全てを無に帰します。ガックリします。これまで何回も繰り返してきた作業です。まだまだ学習の成果が身についていないことが悲しいです。

因みに、昨年は、「下駄(げた)」をつくったとき、本体の台をカットしています。その時も別のことを考えて、集中力を欠いた状態で作業していたようです。製材所のY社長も、『鉄は溶接で復元できるが、一旦切った木を元に戻すのは難しい。』と言っています。

この失敗はしみじみと味わう必要があります。この種の間違いは、達人といわれる棟梁クラスにもあるようです。昔、お城をつくる時、太い柱を、寸法を間違ってカットしたことがあったそうです。

貴重な材料を自分で工面することが出来なかった棟梁は、短い柱を生かして別の組み立てをし、独特の建築様式を編み出した、と言われています。

尤も、カンナがけから始めさえすれば済むことです。気を取り直してやり直すことにします。間違ってカットしたものは、小さい額の材料にするつもりです。


暖かい日が続き、先週は、家の前の雪は無くなっていました。しかし、昨日と今朝は猛吹雪です。最高気温は氷点下です。

またまた雪道に逆戻りです。この頃になると、吉丸一昌がつくった「早春賦(そうしゅんふ)」の2番を思い出します。

『氷融け去り 葦は角ぐむ さては時ぞと 思うあやにく 今日も昨日も 雪の空 今日も昨日も 雪の空』です。もうすぐ4月ですが、奥州最北端は、まだまだ「早春賦」の世界です。

2013/03/11(月) 20:11