大晦日の昨晩は、「年取り」でした。一年に一度、神様と仏様の両方に御明(みあかし)を灯します。つい一週間前にはクリスマスカロルで満たされていたのに、です。神仏混交の名残です。

そして、床の間の三方に、お供え餅、昆布、スルメ、稲穂等を載せて飾ります。この三方(さんぼう)は数年前につくった試作品です。朱漆の拭漆です。組立の時点でやや狂いは生じたものの、離れてみると、それなりの役割を演じています。

無論、次回は、完璧につくる自信があります。完璧な作品をつくるに最も優れた師匠に、失敗するに如くものは無いようなのです。


膳は昔から受け継がれた料理です。しかし、或いは、この催し物は奥州最北端独自の習わしであるのかも知れません。つい先日、『関東ではこの「年取り」は元旦に行う。』と言った方がいました。また、大晦日とはいっても特別な料理をつくらない地方もあるようです。

我が家の伝統的な料理は、「大根ナマス」、「煮しめ」、「旨煮」、「黒豆の煮豆」、「数の子と炒りゴボウ」、「焼き魚」、「刺身」、「茶碗蒸し」、「昆布巻」、「口取り」、等です。昔、何日も前から大騒ぎをして支度した正月料理を再現してみると、意外に質素なものです。昔と今では事情が異なっているのでしょう。


しかし、それぞれにそれぞれの味があります。「大根ナマス」には「氷頭(ひず)」を入れて酢のものにします。デリケートな世界です。「煮しめ」と「旨煮」の材料の多くは同じです。しかし、味付けと料理方法は異なります。

材料は、里芋(さといも)、蓮根(れんこん)、カシワ(鶏肉)、牛蒡(ごぼう)、シイタケ(椎茸)、人参(にんじん)、筍(たけのこ)、蒟蒻(こんにゃく)、薇(ぜんまい)、油揚(あぶらげ)等です。

「口取り」は、「紅白の板蒲鉾(かまほこ)」、「昆布羊羹(ようかん)」、「金糸卵」、「栗金団(きんとん)」、「田作り」、「ハム」、「揚げ物」、「焼き物」等です。「金糸卵」と「栗金団(きんとん)」は本気になってつくります。

「刺身」は、「平目(ヒラメ)」、「鯛(タイ)」、「鮪(マグロ)」、「烏賊(イカ)」、「帆立(ホタテ)」、「蛸(タコ)」そして「海鼠(ナマコ)」です。これもまた一般的なものです。しかし、盛り付け方や皿によって味が変化します。

「薇(ぜんまい)」の「戻し」には究極の技が伴います。シキッ、サクッとした食感を得るには相当な修練が伴うのです。今年は、K氏の奥さんから既に戻したものをいただきました。また、難しいものの代表に「黒豆」があります。ふっくらと膨れて適度な歯ごたえに仕上げるには多くの失敗と挫折を要する世界です。

元旦のメニューは「雑煮(ぞうに)」に決まっています。サケの他に、煮しめ等の余った材料が具となります。


昔、ご年配のK氏が、大晦日と元旦の定番文句として「一夜五十日」とよく言っていました。意味は今もって解りませんが、蓮如上人の言葉に関係がありそうです。

人間の五十年が四王天の一日一夜にあたり、四王天の五十年は等活地獄の一日一夜にあたる、という世界です。

おそらく、「折角のお休みです。楽しくやりましょう。」の意味のようです。昨晩は猛吹雪だったようです。早朝の沐浴の際、吹き溜まりは30cmもあります。今日は、Z氏がブルを駆ってくれました。


2013/01/01(火) 17:25