しかし、ここで、ハプニングがおきます。頓珍漢な位置に刃をあててしまいます。普通に考えればありえないことです。しかし、ありえないことがおきるのが、刃を使う木工です。一瞬、頭が真っ白になります。

実は、この種の失敗を、これまで数えきれないほど経験しています。ああ、またか、のパターンです。中学校や高校での数学の試験で、100点を取れなかった理由に、(1+1)=3と処理したことが思い出されます。表と裏を間違ったり、前後左右を取り違えたりの、そのような単純ミスなのです。

このような間違いは、どんなに歳を重ねても学習しきれない課題のようです。生まれながらに欠落している部分なのかも知れません。しかし、流石に、はじめから作り直す気力はなく、この際、この間違いを有効活用することにします。

底板には、敢えて節材を使っています。この、予期しないハプニングも全体に同化させることにします。


話は飛びますが、昔、寸法を間違って裁断した棟梁が、悩んだ末、その間違った寸法を生かして建物を建てたそうです。その建築法が、後の世に、新しい作風として受け継がれたという逸話があります。

次に、背板の加工です。これも薪(まき)を材料にします。幅は底板を同じ寸法にします。昨日使ったテーブルソーの定規はそのままです。設定のし直しすること無しにそのまま使えます。簡単な作業です。微調整は伴ったものの、この段階で全体の一山を越します。


底板と背板のホゾ加工を終え、いよいよ仮組です。話は飛びますが、金属加工の場合には、8mmの溝には8mmのホゾは入らないのだそうです。しかし、木工では、メスよりもオスのサイズを大きくすることがポイントとされています。


木は、縦方向に強く、横方向には弾力があります。その性質を使った「木殺し」という技です。しかし、これにも加減はあります。今回は、やや、オスのサイズが大き過ぎたようです。それでも続行します。

多分に、思わぬ間違いというものは、目の前に結論が迫っている寸前に起こることが多いです。先般、下駄(げた)をつくったときもそうです。完成直前に、真ん中からスパッとカットしてしまったのです。

刃の高さを確認しなかった所為(せい)です。その確認には1秒も要しないのに、です。天地がひっくり返る瞬間です。



2012/12/31(月) 16:52