年末です。今日は人並みに大掃除を決意します。まず、廊下に手をかけます。こまごました作品が数個のダンボール箱に入っています。勿論、埃(ほこり)を被ってです。

既に、ダンボール箱に何が入っているかは記憶が無くなっています。つい、この箱は何だろう、あの箱には何が入っているかを確かめたくなります。予期していないものが次から次に出てきます。

そして、手に取ってしまいます。ここ1~2年前につくったもの、30年ほど昔のもの等雑多です。それぞれに想い出が蘇(よみがえ)ってきます。丁度、アルバムの写真を1枚ずつ、そして1ページずつ辿(たど)るようなものです。

その中に「額」があります。昔つくったものです。電動工具の殆ど無い、手鋸(てのこ)、手鉋(てかんな)、金槌(かなづち)、そして、彫刻刀が活躍した時代のものです。材料は、庭の梅の木です。


泊りの出張が多かった当時、どこに出かけるにも、バックに、彫刻刀と額のフレームの1本を入れて動いていました。宿舎で、寝る前の1時間ほど彫っていました。

梅の木が硬く、図案が細かいことから、結構な手間がかかりました。4片を彫り終わるまで2年ほども費やしたようです。日本古来の図案を使いました。宝物が多いです。

米俵(こめだわら)、丁子(ちょうじ)、珊瑚(さんご)、鍵(かぎ)、琴柱(ことじ)、桔梗(ききょう)、梅(うめ)、古代銭(こだいせん)、鉞(まさかり)、巻物(まきもの)、打ちでの小槌(こづち)、扇(おうぎ)等です。

津軽の老舗造り酒屋のカレンダーの図案や、子供の頃の掛け布団の図柄にも使われていました。昔から馴染んできたものばかりです。しかし、今の日本ではポピュラーでなくなっているようです。


鉞(まさかり)は、昔、武功をたてた侍に天子が授けたといわれる縁起物です。丁子はクローブです。昔は貴重であった薬です。琴柱(ことじ)は、琴の弦を支える駒です。そして蔵の鍵です。今の若い方には理解されない世界のようです。

30年前につくった拙い作品ですが、妙に新鮮に映ります。早速、スタンドをつくり、テーブルの上で楽しむことにします。スタンドのデザインは、つい先般つくったバージョンにします。そして材料はケヤキ(欅)です。あり合わせの材を加工します。

いつものように、設計図の無い、アバウトな部材づくりです。設計図が無いことで、逆に、想像する時間は長くなります。この悩む時間が何とも言えない至福の時てす。
2012/12/29(土) 22:15