
ブランチが終わるころ、友人のT氏から電話です。キノコの専門家です。『出ています。行きましょう。』です。既にイクジは飽和状態です。躊躇します。
しかし、主語はサモダシでした。「もう出ているのか」と驚きます。「ヤチサモダシ」です。「ヤチ」は「谷地」です。当地では「湿地」の意味です。サモダシの中で最も味が良いとされる種類です。即、行動開始です。
現地に着くと、あちらこちらの倒木を中心に見渡す限りのサモダシです。出たばかりの綺麗なキノコです。花畑に似ています。採っても採っても、尽きることなく続いています。
最初は「石づき」を丁寧に削除しながら採っています。こうすれば後処理が簡単なのです。しかし、途中からは石づきのまま袋に入れます。とても間に合うものではないのです。はじめのうちは嬉々としていましたが、次第に飽きてきます。途中で『やめようか。』です。

帰宅後は、暗くなる迄、その拵え(こしらえ)です。しばらくはキノコ狩りには行く気は起らないようです。
暗くなって、H氏がお見えになります。F市の漆問屋の方です。2ヶ月に1回、さまざまなヒントを持参してくださいます。また、我が工房の作品も評価してくれます。
工房作業は遅々としていますが、あれやこれやに想いを馳せているものもあります。そのひとつに「色彩」のコントラストがあります。歌舞伎の緞帳で使われている黒、柿色、萌黄色の配色です。
今は「笑点」のイントロで目にしますが、身の回りには見かけることの少ないものです。その配色を作品に表現することを考えているところです。H氏にそのことをお訊ねします。すると、『透明な漆はありませんが、それ以外は何でもあります。』と、サンプルを見せてくれます。

『チューブ入りを送りましょう。』と言ってくれます。しばらくお休みしていた創作活動ですが、またまた意欲が湧いてきます。
朝晩、火が恋しくなっています。秋の気配しきりです。昨晩は囲炉裏(いろり)に炭を熾(おこ)します。