寒さがずっと続いていました。そして毎日がどんよりしていました。今日の日中は炭もストーブも必要の無い暖かさです。そして午後、久しぶりに陽光とお会いします。

昨日、今日は木工活動に没頭します。没頭せざるを得ない、というところです。実は、依頼されている課題が山積しています。昨日は数百個の作品をつくります。何回か催促されて、昨晩、漸く納品します。納品した瞬間に、『次の作品は今から作り始めてください。』、と念を押されます。これはホテルに納品するものです。

他方、数か月前に依頼されている「額とイーゼル」もまた昨晩納品します。ホッとすること頻りです。これは旅館用です。実は、丁度今、「大人の休日倶楽部」中です。そぞろ歩く旅行者へのおもてなしのためのご案内です。

この旅館には「棟方志功」の肉筆画がたくさん展示されています。旅の皆さんに、「ご自由にお立ち寄りくださいませ。」というメッセージを伝えるためのシグナルです。旅館の玄関に置くものです。

当初、どのようなつくりにするかを数日間考えます。作品づくりのポイントは、周囲の雰囲気に如何にマッチングできるかにありそうです。結果的には、少し型破りの作品になったようです。しかし、先ほどお出でになったK社長は、『今朝、早速絵を見に来ました。』、とご満悦のようです。一般的ではないところが歓迎されたようです。


そして今日も早朝から作品づくりです。これは依頼されているものではなく、自分の研修のための試みです。勿論、初めて挑戦する課題です。本来は簡単な「箱」の筈です。しかし、徹底的に鍛えられる結果となります。

箱づつくりに不可欠の要素は正確な寸法と角度です。寸法というのは、それぞれの部材の向かい合う辺は平行で、4隅が正確な直角(90°)であることです。更に、コーナーを「留め(45°の両者を合わせる方法)」にしたことで少し厄介です。

最初に設計ミスでつまずきます。頭の中で描くだけで、実際に紙に表してみなかった報いです。次に、4隅の正確な直角です。実は、自作の丸鋸(まるのこ)テーブルの定規が微かに狂っていたのです。永遠とも思える微調整を繰り返す羽目になります。

45°の加工には、最終的には昇降盤を使います。例の、ゴーンと逞しい音を立てる逸材?です。実は、当初は、面取りカンナ(鉋)に頼ります。しかし、不満足です。ルーターをセットする気力も衰えています。この昇降盤は、切り口は極めて素朴です。そして角度もアバウトです。しかし、何とか妥協に甘んじます。

「箱」、というのは、実は「名刺入れ」です。素材は「青森ヒバ」です。実は、当初、ケヤキ(欅)の薄い板でつくりかけました。漆(うるし)をかけることで見応えがおりそうだったのです。しかし、思い直して「青森ヒバ」にします。

しかし、ヒバは木目に直角な方向には強度が高いですが、木目と平行なラインには弱いものです。やはり、デリケートなコーナーは、数か所欠けます。途中で投げ出すことが出来なく、最後まで断行することにします。


残されている最後の機会はパテによる目地調整です。超微粉末の青森ヒバと接着剤を捏(こ)ね合せたもので、欠けた部分と隙間を埋めます。少し時間を置いた後にベルトサンダーをかけ、そして坊主面ビットで面取りします。最後はサンドペーパーで整えます。

これで「木地(きじ)」づくりは終了です。現在の満足度は35%以下です。理由の1番は、カットのだらしなさです。それ以上に、大きさがあります。胸ポケットに納めるには、やや大きすぎるようなのです。作品づくりの上達には、この失敗が不可欠の要素なのです。

しかし、蓋(ふた)をとった時に漂う青森ヒバ特有の香りには捨てがたいものがあります。悩んでしまいます。将来は漆(うるし)をかけるつもりです。しかし、それは外側だけです。内部は木地そのままにします。漆でコーティングすることで香りが閉じ込められてしまうのです。

2012/06/24(日) 16:21