昨日に続いて今日も小雨です。気温はバフーッとしてやや高めですが、雪は確実に近づいています。

今回の土日の課題に「雪囲い」を予定していました。しかし、コンディションに恵まれないことから、次の機会を待つことにします。このような判断から、毎年、雪が降ってからになります。

しかし、その頃は小雨どころではない、もっともっと良くないコンディションになっています。いつもこのパターンです。そしていつも滑り込みセーフの人生です。

地表の緑は次々に黄色くなり、そして失せ始めています。その中で生き生きしているのは山葵(ワサビ)です。ワサビの旬は早春と晩春の年2回と聞いたことがあります。それぞれにはそれぞれの季節があることを見せ付けています。


工房ではこのところ「抜貝(ぬきがい)」の貼り付けに挑戦しています。「抜貝」というのは、貝の一部を切り抜いてつくる模様です。この模様に拘(こだわ)っているところです。

何回かご紹介していますが、昔から伝えられてきた「宝づくし」です。いつも目にする模様からは、是非、ほんのりとした和(なご)みを発信したいからです。これまで何回か自作してきました。

その結果は、頗(すこぶ)るゴツものになっています。アワビ貝には意外なほどの湾曲と凹凸があるものです。しかし、その素朴さに惹(ひ)かれる方もいます。作品の評価はそれぞれの感性に委ねられるもののようです。

貼り付けの作業は、ある意味では一瞬です。しかし、実際には膨大な時間を要します。その殆どは漆が乾わく時間です。

この「抜貝」の貼り付けに普通の接着剤を使う方もいるそうです。しかし、最近の我が工房では漆を試しているところです。貼り付けが落ち着いた後、更に、貝の出っ張った凸部分のコーナーにも漆を置きます。

これには、貝の密着度を高める思惑(おもわく)があります。要するに、剥(は)がれ難くするためです。実は、この接着方法には伝統技術がありそうです。しかし、素人の我が工房ではこれを「拭き漆」にしています。



「拭き漆」というのは、一端塗った漆を拭き取る方法です。拭き残した漆は微量ですが、何回も繰り返すことで鋭角のコーナーが鈍角に変化してきます。

今回試している「抜貝」は福井県のH氏からいただいたものです。漆問屋の方です。見事な平面に切り抜かれています。「琴柱」、「鍵」、「米俵」、「扇」、「丁子」、「花弁」、「打出の小槌」等です。いわば「宝づくし」です。

今日で3回目の拭き漆です。そろそろ先が見えてきたようです。話は飛びますが、近く、作品展があります。当初は及び腰であったものです。しかし、先ほど、仕掛け人の町会長さんがお見えになり、是非、と勧められます。いつものことですが、厚顔を承知で出品することにします。

手元の抜貝の数は600~700フレークもあります。失われつつある文化の一端を、この「宝づくし」の文様で再発信したいところです。

2011/11/20(日) 12:26