
「工房事情」・・・共鳴音
毎朝の早い時刻に外に出ます。その時間帯に同じ方とお会いします。早朝散歩の方々です。いつも声を掛け合ってご挨拶するのですが、実際にはお名前の解からない方が多いです。
今朝は思い切ってお名前をお訊(き)きします。ご年配のご婦人です。いつも『下駄(げた)の音が良いですね。』、と声をかけてくれる方です。
先般つくった自作のゲンコツ(厚手の足駄)です。試作品です。ここ2~3ヶ月毎朝履(は)いて沐浴に出かけています。実は、履き易さもあるのですが、実際に使ってみて、その様子を確認する必要もあったのです。
そのひとつは歯の減り方です。実は、今回の歯は、左右別々の方法で組み立てています。1方は木の目と垂直に嵌め込んでいます。木口(こぐち)が路面に着く角度です。嵌め込み式の歯はこのパターンのようです。
他方、嵌め込まれていない歯の場合は木の側面が路面に着くことになります。これは、1枚の板を切り抜いて2つの下駄(1足)を生み出す、一般的な作り方の結果です。高い歯の「日和下駄(ひよりげた)」や足駄(あしだ)等以外の、低い歯の下駄です。
今までの経緯では、カランコロンの共鳴音の点では何れも同じ結果を呈しています。その音を聞いて、『懐かしい良い音ですね。』、と、多くの皆さんが声をかけてくださるのです。今は失われつつある文化のひとつです。数十年ぶりに聞く音だった筈です。
結局、その方は近くの歯医者さんでした。お年を召してはいるものの、まだ現役だそうです。近くに住んではいるものの、これまでよく存じ上げていなかったことが残念でした。
話は戻りますが、ゲンコツの歯は、左右の減り塩梅(あんばい・加減)にはさしたる違いは無いようです。木口が路面に着く側は、接地部分が捲(めく)れ上がる傾向が高い程度です。
話は飛びますが、明日は「収穫祭」です。工房でつくったいくつかの作品を福引の景品にするつもりです。下駄も予定しています。青森ヒバでつくった赤い鼻緒(はなお)の「日和下駄」です。
この歯は木口面を接地面にしています。台への嵌め込みはダブテール(鳩のシッポ)方式です。先日、下駄屋さんに見ていただきます。古くから続く老舗(しにせ)です。『青森ヒバの下駄は初めて見ます。歯の嵌め込みはデリケートすが良くできています。』の評価をいただきます。世界唯一の下駄ということになります。
まだ足を通していない下駄です。使い勝手は未知数です。多少の不安も無いことも無いです。明日これを手にする方に、今後の経過をお訊ねしたいところです。
「越冬準備」・・・岐路冷たい風が吹き始めました。漬物の時期です。ここ数年、各種漬物に挑戦しているところです。メインは赤カブ(蕪)と大根の糠漬け(ぬかづけ)です。
WEBや経験者からお聞きして何回か試みています。しかし、何回か、でマスターするには奥が深過ぎるようです。曖昧(あいまい)な点がいくつかあります。
まず、大根の種類です。最近聞いたことですが、糠漬け用と普通の大根は違うのだそうです。漬物用は辛(から)く細長いのだそうです。それに対してオデンやオロシ、そして一夜漬け用は、所謂、大根足のように太く短い種類なのだそうです。初めて知る世界です。
更に、干し方です。日に当てて干すことと陰干しの何れが正解かです。これはたくさんの方にお聞きしました。さまざまな持論があります。それが両極端であることが面白いです。
これまでの認識では、水分を蒸散させシナシナにすることが目的と思っていました。しかし、太陽を浴びさせることで甘味(うまみ)を高めることも目的のようでもあります。
その意味では、干す場所は屋根の無いところが良さそうです。しかし、干す量が多ければ、雨にも晒(さら)すことになります。干されたものが雨にあたると再び生き返ってしまいます。
『些細なことは無視します。雨にあたるのを覚悟で外に干します。陽を浴びたものは美味しいのです。』、の意見が半数です。
他方、『直射日光があたらなくても雨のあたらない場所に干すのが正しいです。』の意見もあります。要するに「陰干し(かげぼし)」です。更に、干す時間です。『長く干し過ぎたものは美味しくないです。』の解説もいただきます。一般的には1週間ほどのようです。これもまたよく解からないでいます。
2週間ほど前から、細長い漬物用といわれる大根を干しています。直接雨のあたらない軒下を使っています。樽(たる)のカーブに添わせるにはもう少しのシナシナ感が欲しいところです。
一昨日、友人が届けてくれたものは、「大根足の大根」です。既に干されたものです。しかし、これももう少し干した方が良さそうです。この干し場所はタイヤショベルの車庫です。いずれにしても週末には漬けることになります。
結局、大根が80本、赤カブが70個ほどです。量が少し多いようですが、さまざまなバージョンで楽しむつもりです。勿論、正確なレシピにはならないようです。
考えているのは、まず、普通の「糠漬け」です。これは大根とカブの両方です。そして大根の「割り漬け」です。これは地方によってさまざまな名前で言われています。そのひとつが「ナタ漬け」です。
これは大根をザクリザクリと鉈(なた)でカットすることから命名されたようです。或いは、「にしん漬け」です。「身欠鰊(みがきニシン)」を入れて漬けることからです。
そしてカブの千枚漬けにも憧(あこが)れるところです。これにもさまざまなレシピがあるようです。まず干し加減です。そして厚さです。また、昆布を入れるか否か等です。あれやこれや、判断の岐路に立つこと頻(しき)りです。
2011/11/15(火)
09:46