
明るくなるのが遅くなっています。このところは特に顕著です。早朝、まだ暗いうちの沐浴(もくよく)です。西の空に大きく煌々(こうこう)とした(満?)月がかかっています。
まさに曙(あけ)んとする時間帯の見事な月です。しばらくの間見入ってしまいます。つい、デジカメに収めます。ズームアップしたことでボヤける結果になっていますが、実際にはクリアーな輪郭です。
まだ暗いうちからの撮影作業は異常のようです。しかし、その時間帯はK社長も活躍しています。実は、ここ数年、「朝焼け」を撮りに出かけているのです。街の小高い丘を背にして撮影しているようです。
さて、作品につけるアクセントのようなものを考えているところです。ほんのワンポイントです。しかし、実際の作業はビビる世界です。その要素の如何が結果に大きく反映するからです。
まず大きさです。控えめに、そしてさりげなく自己主張させてやりたいところです。そして何よりもデザインに迷います。これまで好んで使ったのは、昔から伝えられてきた文化の香りのするものばかりです。
ご紹介したことのあるものですが、具体的には、丁子(ちょうじ)、米俵、鉞(まさかり)、打出の小槌(うちでのこづち)、扇、鍵、花弁(はなびら)、珊瑚(さんご)、琴柱(ことじ)、御所車(牛車・ぎっしゃ)等です。
何れもおめでたい縁起物の類(たぐい)です。夢と和(なご)みを発信しているように思えます。鉞は、昔、武功をたてた武士に天子が授けたものだそうです。打出の小槌はドラえもんにも登場します。大黒様の持つ小槌(こづち)です。一寸法師の物語には体を自在に大きくしたり小さくできるものとして登場しています。宝物も出せるのだそうです。
丁子はクローブ(clove)です。東南アジアが原産のようです。中国では昔、殺菌や消毒剤に使ったようです。釘(くぎ)の形をしていることから、同じ意味の丁の文字があてられたそうです。日本では香料の他に、この精油を刀の錆止めに使っていたそうです。正倉院の宝物の中にも当時の丁子が残っているそうです。鍵(かぎ)は金庫や蔵をあけるカギです。宝物に関係するようです。しかし、扇や花弁、そして琴柱(ことじ)等はややニュアンスが違っているようです。扇は末広がりの縁起もの、そして琴の弦を支える琴柱は優雅さの表現なのでしょうか。
これらは何れも、現代では使われる機会の少なくなった文様です。しかし、個人的には、生まれた直後から見慣れてきた懐かしさを秘めています。是非、再発進したいところでした。
これまで、これらを彫刻で表現してきました。つい先般、はじめて螺鈿(らでん)に挑戦します。緊張はするものの楽しい作業です。使った貝は一般的な鮑(アワビ)貝です。ツールは力の弱いグラインダーです。何とかなるものです。
しかし、アワビ貝には凹凸があります。普通大の貝の平面部分はごく僅(わず)かです。結果はゴツく逞(たくま)しいものになります。それを知った福井県のH氏から、『薄いものですが平面のものがありますよ。』の情報をいただきます。
早速、数種類をお分けしていただきます。結構見事です。実は、これだけのものを切り抜くには、結果の数十倍を切り捨てることになります。舞台裏を知っているだけに感激します。
前後しますが、仕上がったものを「抜貝(ぬきがい)」というようです。因みに、今回送っていただいた抜貝は「米俵」、「丁子」、「小槌」、「鍵」です。間もなく「扇」、「琴柱」等も届くことになっています。
次の課題は貼り付け方法です。これにもさまざまあります。掘って埋める螺鈿形式から、単に平面に貼り付ける等です。作品全体の塗装は漆です。木目を見せる拭漆(ふきうるし)にしたいことから葛藤(かっとう)が生じます。
ま、作業効率と結果の美しさを秤(はかり)にかけながら楽しむことになります。
2011/11/11(金)
18:10