
穏やかな秋晴です。今日も午後に外出します。請け負っている作品があることから工房活動は朝の早い時刻からです。相手がいることで、どうしても作らなければならないものです。ここ2~3年の日課になっています。
並行して文鎮(ぶんちん)づくりです。これはほんの試作のつもりです。失敗したとしても遅れても問題のない課題です。しかし、ムラムラと制作意欲が湧いてきます。
「螺鈿(らでん)」の練習も兼ねています。「象嵌(ぞうがん)」の材料は「アワビ(鮑)」です。昨日、嵌め込む貝をカットしています。「扇」、「鉞(まさかり)」、「鍔(つば)」です。拙い(つたない)出来ではあるものの、懐かしさとともに不思議な面白味が感じられます。

伝統的文様の「有職(ゆうそく)」であるからなのでしょう。今日は「琴柱(ことじ)」に挑戦します。これは琴の弦の支えです。ギターではフレットにあたります。
この「琴柱」もまた昔から伝えられている文化のひとつです。しかし、これを見て「琴柱」と理解する方は殆どいない筈です。それでもテーマとして採り上げたいところです。
その脚はカーブを描いています。これに刀貝を使うことにします。アワビ貝には、それぞれの部位に名前がついています。縁の最も硬い部分が刀貝です。その脇が耳貝、それ以外を破貝というようです。琴柱の脚にはカーブしている刀貝が適当のようでした。
気力の衰えているときには途方もなく難しい作業に思えるものの、睡眠をとった朝はいとも簡単に出来るのが不思議です。丁寧な出来ではないものの、5~6分ほどでできるものです。

さて、この後の手順について考えるところです。貝を埋める嵌入(かんにゅう)と、塗りのどちらを先に手をつけるか、です。結局、全体の塗りを優先させます。
それは、嵌入に使う「糊漆(のりうるし)」の乾きに時間がかかることからです。嵌入後にも微修正は必要です。その後、更に全体の塗りをするつもりです。
現在手がけている文鎮は8個です。今回の6個には1回目の拭漆(ふきうるし)です。そして2個は既に5~6回を繰り返しています。大分艶(つや)が出てきていますがまだまだです。
拭漆の回数は好みによって違っても良さそうです。100回繰り返した、という豪傑もいます。また、1回で終えた、という方もいます。先般お会いした若い木工家はケヤキ(欅)の作品に1回だけの拭漆をしています。結構、味わいのある作品です。