
穏やかな晴天です。午後の用事のため、午前中の工房活動です。日課となっている作品づくりと並行してペーパーウェイトづくりをすすめることにします。
おこがましくも「螺鈿(らでん)」に挑戦しているところです。これは「象嵌(ぞうがん)」の一種のようです。象嵌というのは「象(かたち)」を「嵌(はめる)」の意味です。その嵌める象に貝を使うことが「螺鈿」のようです。
今回使う貝は「アワビ(鮑)」です。できるだけ平面部分を抽出します。プロの皆さんの舞台裏はよく解かりませんが、このカットにグラインダーを使っています。これで何とかなるものです。
まず、貝をそれらしい形に切り取ります。今回の図案を「扇」、「鉞(まさかり)」、「鍔(つば)」にします。細かい作業になります。
特に鍔は1cm四方弱です。当然のようにアバウトな形に仕上がります。ま、今回は(?も)試作のつもりです。妥協すること夥(おびただ)しいです。

次に、切り抜いた貝を埋める溝を木地に彫ります。専門用語では「木地彫り」です。本来は、この溝に貝がピタリと嵌(はま)るのが原則のようです。
この形どりには針を使うのが一般的のようです。木地に貝をあててその輪郭を針で瑕(きず)をつける方法です。やや貝の内側をなぞります。毛描(毛引き)です。先端の丸い鉛筆ではどうしても輪郭の外側がなぞられるからです。
その描いた線を参考に彫刻刀で彫ります。切り込み、片切り、掘り下げ等です。何回も貝を当てながら彫ります。凹凸に対応することに時間を要します。
しかし、実際に仕上がる溝は大きくなります。どうしても、残さなければならない部分も削除する傾向があるからです。汗顔すること頻(しき)りです。
とはいうものの、後刻の調整で何とかなる筈(はず)です。「糊漆(のりうるし)」で目地を埋めることができます。話は飛びますが、「糊漆」というのは一種の接着剤です。
糊と漆を混ぜたものです。以前つくったときの糊は「続飯(そくい)」です。これはご飯粒を練ったものです。
しかし、専門家のH氏から『市販の薄い糊(チューブ糊)で良いです。』とコーチされています。今回はそれを試すつもりです。何とか、ですがこれで「嵌入(かんにゅう)」の下拵え(したごしらえ)を終えたことになります。

「嵌入」というのは溝に貝を「嵌(はめ) 入れる」ことです。勿論、wordで変換できない言葉です。一般的でない、知る人ぞ知る言葉です。その言葉を使うとき、何となく職人になった錯覚に陥るほどです。
さて、「扇」と「鉞(まさかり)」はそれらしく見えます。しかし、「鍔(つば)」が少し苦しいです。文鎮(ぶんちん)に「刀の鍔」の図案です。それに加えて拙(つたな)い加工です。一般的には理解されないことが考えられます。
しかし、この訳の解からない「象嵌(ぞうがん)」もまた面白そうです。このままの状態で前進するつもりでいます。
今日は専門用語が多くなったようです。特に「続飯」に至っては逆立ちしても解からない言葉です。しかし、一旦解かってしまえば納得できるのが不思議です。
ご飯を「続ける」ということは、一粒ずつをくっつけて「餅(もち)」のようにすることに思いつくのです。象嵌の起源は中国大陸にあるようです。多分にその影響が考えられるところです。しかし、それらの内容は誰もが理解できる次元のものです。
何十世紀も受け継がれてきた文化です。嘲笑に甘んじながらも是非挑戦したいところです。