
早朝からシトシトと降り続いていた雨が夕刻になって上がります。今日も寒いほどです。焚(た)きっぱなしではないものの、薪ストーブのお世話になります。燃料は鉋屑(かんなくず)と端木です。
午前中は注文品の部材づくりです。来週からは今までのような悠長(ゆうちょう)な工房活動は出来なくなります。2000個ほどは下拵え(したごしらえ)をしておきたいところです。
今日はその一部です。鉋がけ、面取り、そしてカット等です。単調な作業ですが昼過ぎまでかかります。勿論、助手が参加してのことです。
午後は気分転換です。文鎮(ぶんちん)をつくることにします。ペーパーウェイトです。以前、W工房の作品をいただきましたが、実際につくるのは初めてです。
作り方は簡単のようです。適当な木を2つに割り、中を穿(うが)って鉛(なまり)を流します。それを合わせるだけです。
しかし、実際につくるとなると判断に迷うところがあります。まず、どのように木を分割するかです。鋸(のこ)を使うと、鋸の厚さ分が削除されます。2片を合わせたとき、その空白分が不自然になります。

以前から考えていたことは単にバリッと割ることです。しかし、使いたい材質は硬い木です。ひ弱な力では無理です。結局、鉈(なた)を使いたくなります。試してみなければ結果の曖昧な世界です。
最初に選んだ材はプラムです。昨日の端材を使います。見事に失敗です。目が細かく波打ち過ぎているのです。デリケート過ぎることで、両者の合わせが大事になります。
次に試したのはエンジュです。木偏に鬼と書きます。床の間や炉縁に使われる秀木です。目に沿ってパカンと割れます。しかも、その割れ口がキザキザです。合わせてみるとピタッと吸い付きます。ほぼ理想的です。とりあえず2個をつくることにします。
割った両側に溝を穿ちます。鉛を流す空間です。ボール盤で乱暴に掘ります。邪道とは思うものの、合わせることで見えなくなることからです。また、今日はほんの試しのつもりでもあります。
鉛の扱いは子供時代に経験済みです。缶詰(かんづめ)の缶に入れてストーブの中に入れるだけです。5~6分で溶けます。それをトングで挟(はさ)んで4箇所の溝に流し込みます。注意点は溢(あふ)れさせないことです。

多く流した鉛は盛り上がります。両者がピタリと合わないときには余分なものを削り落とします。鑿(のみ)を使いました。流した鉛は長い時間(5~6分)は熱いです。
古い話ですが、何となく、黒澤明の「隠し砦の三悪人」を思い出します。それは兎も角、両者の合わせを確認後、いよいよ接着です。一旦接着したものの復元は殆(ほとん)ど無理です。
納得した時点でクランプでギリッと締め付けます。この類(たぐい)の作業は十分な時間をかけて楽しみながらすべきのようです。
今回は試行の1回目です。ポイントの確認だけのつもりです。デザインもそうですが全体の磨きが後先になりました。とりあえず、完成まで導くつもりです。
知人から栗が届きます。地元のものです。季節を迎えていたのです。栗は自然に落ちたイガグリを開いて収穫するようです。問題は木に生っている全てが一瞬に落ちないことです。
数日置いては無理のようです。虫が入ったり、リス(栗鼠)や小動物の餌(えさ)になってしまうのだそうです。さらに熊も好物のようです。
実は、目の前に栗林があります。O社長の山です。少しずつでも毎日収穫してやるのが正解のようです。