
早朝、西の空に大きい虹が出ています。今日は晴れと雨が交互です。
昨日、桜の皮の手入れをします。はじめての象嵌(ぞうがん)との対面です。今日は本体づくりからです。本体、というのは桜の皮を埋め込む相手です。これを筆箱にします。箸箱のようなものです。
しかし、愛用の筆は9寸です。一般的な箸箱では収まらない長さです。第一歩からつくることにします。そして、箸箱のようなつくりでは使い難いことから、可能な限り単純にしたいところです。
実はこの単純さが曲者(くせもの)です。舞台裏には意外なほどの緻密で精巧な加工が潜(ひそ)んでいることが多いのです。
手持ちの薄いケヤキ(欅)を使います。硬いことからデリケートな加工に耐えることからです。ストレートビットを使います。話は飛びますが、トリマーの効率的な使い方はまだ試行錯誤の中です。
定規(じょうぎ)をビットのどちらのサイドに置くか、です。デリケートな加工のときに要求される選択です。加工材の定規の吸い付きはビットの回転によって決まります。それは往々にして、基本に反することが多いのです。
小さい細工というものの久しぶりの箱づくりです。いつものように、いい加減な寸法になります。特に、底板は、側面に溝を穿(うが)って嵌め込む構造です。このオスとメスの加減に紙1枚ほどの誤差を生じています。
そのいい加減の中、組み立てることにします。醜くはなるものの微調整に頼れないことでもないからです。切り札は砥の粉(とのこ)と漆です。ま、何とかなる筈です。薄い板を使ったことで箱の4隅の固定が不安です。合わせる両者の接着面が小さいのです。いつものように簪(かんざし)を嵌(は)め込むことにします。以前、何回かやったことがあります。
実際に経験したことのあるものはフットワークよく作業できるものです。そしてメインテーマの象嵌です。蓋(ふた)につけるワンポイントです。
これは、単なるアクセントではなく、箱の上下のスィグナルでもあります。サクラの皮の厚さは2mmです、それを埋め込む溝を丸鋸(まるのこ)で搔き取ります。単純な斜めのラインにします。
あとは接着剤で固定するだけです。今は期待する艶(つや)ではない状態です。しかし、やがて漆をかけることで、今とは全く違う結果になる筈です。
カバ(樺)の象嵌の欅(ケヤキ)の拭き漆筆箱になる見通しです。敢て命名するとすれば「拭漆樺象嵌之筆箱」、となるのかも知れません。
昼前、友人がお出でになります。山菜の専門家です。『バカマツタケは出始めています。ホンマツまではもう少しです。心配したものの、今年も期待できます。』、ということです。『香りマツタケ味シメジ』、といわれています。
マツタケは炭火で炙(あぶ)って塩をふりかけていただきます、香りとともに、そのシャキシャキ感が絶妙です。それ以上に土瓶蒸(どびんむし)です。期待すること大です。しかし、それ以上に期待するのがイクジ(アミダケ)です。ハツタケ、ラクヨウ、ナンバン等でつくった佃煮(つくだに)はマツタケ以上の世界です。まだ出ていないようです。あと1~2週間は正座しての待機になるそうです。
夕刻、K社長が見えになります。ここ数年納品していた作品についてご相談します。実は、工房活動に一区切りをつけることになりそうです。ズブの素人ながら、ここ数年、楽しく没頭させてもらっています。
しかし、世の中の事情が変化してきています。間口を広げたツケが頓珍漢(とんちんかん)な角度から侵されてもいます。山積する課題はあるものの、暫らくの間は足を洗うことも良さそうです。
そして、ここ数年、ほぼ毎日のように連載してきたこのブログも小休止した方が良さそうです。少し考えることにします。
2011/09/07(水)
19:52