やや蒸し暑い、薄曇りの日です。午前中は工房の掃除です。中清掃、といったところです。塵取(ちりとり)に入る99%は、ヒバの大鋸屑(おがくず)と微粉末です。丸鋸(まるのこ)、サンダー等から排出されたものです。

それらは全て薪(まき)ストーブに入ります。しかし、とても入りきらない量です。必然(?)的に火をつけます。暑い工房が更に暑くなります。然程(さほど)不快ではないものです。丁度、暑い中、熱いお茶をいただくのに似ています。

夏に煙突(えんとつ)から出る煙にご近所の皆さんが不思議な面持ちのようです。いつものことですが、単に掃除をするだけで創作意欲が湧いてくるのが不思議です。

今日のテーマは漆の塗装です。発注者はT社長さんです。このところお休みしていましたが、ついにお尻に火がつきました。塗装、とはいうものの、拭漆(ふきうるし)には結構な時間を要します。

それは、塗って拭取る、塗って拭取る、の作業を何回も繰り返すからです。しかし、木地を窺(うかが)うことのできるこの拭き漆は、その長い作業時間を忘れさせて余りある満足感があります。捨てがたい世界です。

今日は初日です。まず、木地調整からのスタートです。よく仕上がった木地ですが、流石(さすが)に硬いケヤキ(欅)です。ザラザラ感をサンダーで削除します。そして第1
回目の塗りに入ります。


初回には、「上生漆」に多少のテレピン油を加えます。木部への浸透を促すためです。そのテレピン油は明日には蒸散している筈(はず)です。今日は手始めに、大小合わせて20個に手を掛けます。

その作業中、依頼主のT社長さんがお見えになります。スタートからゴールまでのプロセスを認識することは当然のことなのです。一通りの説明で状況を把握できたようです。

しかし、雲行きが怪しくなります。工房の漆風呂に入っている青森ヒバに目がいきます。同じ拭漆仕上げの器ですが、木地づくりから塗りまでKUROOBIの完全オリジナル作品です。気に入ってしまったようなのです。

聞くところによると、青森ヒバでつくっている方はいないようです。さらに拭漆仕上げです。これも当地では一般的でないようです。大げさになるようですが、世界唯一の発信源になっているのかも知れません。

実際、これまで数百個の作品をつくりましたが、瞬間的に手元から失せています。依頼はあるものの、納品の遅れる人気者です。然(さ)もありなん、というところでしょうか。あるいは、進路変更を余儀なくさせられることも考えられます。


その塗り作業中、友人から呼び出しがあります。『面白いものがあります。お出でになりますか。』、というお誘いです。建材ですが、園芸にも使えそうです。またまた面白くなりそうです。

お邪魔した折り、熔接(ようせつ)作業をしています。これもまた憧(あこが)れの世界です。作業現場で1時間以上も見学させていただきます。アーク熔接には免許が必要です。20年来の夢です。年甲斐もなく挑戦したくなります。

たとえ無謀で果てしなく続く夢ではあるものの、単に挑むだけで実現できそうです。しかし、身辺がざわついてきています。今春に続いて今日もまたラブコールがあります。我儘(わがまま)な腰を如何に宥(なだ)めるかにかかっていそうです。

夕刻になって降り出します。漆にはもってこいの環境です。暑さもさることながら、高い湿度で乾燥するのが漆です。とりあえず、明日は2回目の拭漆になりそうです。

2011/08/31(水) 20:06