昨日の表現では「言うまいと思えど今日のhot fishes(暑さかな)」です。特に工房は厳しいです。工房活動は早朝の一時になります。

このところ「YUISU(ユイス)」づくりに挑戦しています。今は一般的でなくなっていますが、昔から伝わっている木製の「湯椅子」です。4片ほどの部材を組み合わせるだけの簡単なつくりのようです。

しかし、実際には違っています。往々にして単純なものの背景には緻密な計算が隠されているものです。金属のクギ(釘)は使いたくないところです。更に、座板と脚の10°のテーパーです。一方が80°、他方が100°です。この角度は4片のすべてに等しく関係します。

昨日は練習です。敢(あえ)て節や割れのあるものを使いました。一応の様子が確認できたことから、今日は座板を変えてみます。素性の良い1寸3分の青森ヒバです。

実は、試作品とはいうものの、いくら鍛えても鍛え甲斐がないことを初めから知っています。その状態で貫徹するには極度のハイレベルの哲学が伴います。

座板の加工はホゾ孔のつくりに尽きるようです。これにも10°のテーパーを反映させることになります。この角度の確保のためにスライド丸鋸(まるのこ)が良さそうです。

刃物は正しい位置に満足する角度でズバッとあてるようです。何れかが不都合であれば万事休すです。少し緊張します。


位置を少しずつずらして刃を当てます。所詮(しょせん)は丸ノコです。切り口は弧を描きます。しかし、これで満足するところです。10°の面を出すことがテーマです。その後の微調整に委(ゆだ)ねることができます。

この微調整に、昨日はノミ(鑿)を使いました。少し無理のようです。一年以上も砥(と)いでいないことから切り口がボロボロになります。

当然のことですがストレスが募(つの)ります。今日は動力を使うことにします。トリマーにストレートビットを装填(そうてん)します。

ホゾ組みのポイントは、ホゾとそれを受け入れるミゾの幅を一致させることにあるようです。溝をやや狭くすることでホゾがギシッと嵌(はま)ることになります。

今回は上手(うま)くいったようです。更に、座板の1寸3分に対してホゾの深さが8分(25mm)ほどです。嵌め込むだけでガシッと固定されます。

この、仮組みの仮組み段階で助手に座ってもらいます。『安定して座り心地が良いです。』と評価します。しかし、この段階で止まるのは邪道です。余りにも表面的過ぎるのです。常識的には「幕板(まくいた)」が必要です。両側の脚を繋(つな)ぐ補強材です。


この取り付け加工が少し厄介(やっかい)そうです。これにも10°のテーパーが必要です。更に、組み立ての順序の工夫もあります。

見た目には単純な4片の組み合わせです。しかし、実際には大胆かつ繊細(せんさい)な加工技術が伴っています。受け継がれてきた文化の奥深さを今になって気付いている有様です。それにしても面白い世界です。


明日は外出の予定です。東京のT氏はじめK氏ご夫妻ご一行のナビケーター役を仰せつかっています。最も不得意とするジャンルです。地元の住人にとって最も疎(うと)い場所が地元のようです。一般的にはむしろ外部の方のほうが詳しいようです。

ま、基本的には、奥州最北端のオリジナリティーの紹介が妥当のようです。古代から中世にかけての安東水軍の名残(なごり)を津軽の西海岸に感じるのも一興(いっきょう)のようです。

中国、インド、ペルシャ、地中海等、世界を舞台に活躍したといわれています。新幹線や旅客機の今の尺度であっても大ロマンです。明日は一旅行者として楽しむつもりです。

2011/08/06(土) 19:24