
朝の一瞬は霧雨でしたが、日中の工房内は相変わらず暑いです。じっとしている限りには汗は出ませんが、ウッと呼吸をとめるとブワーッと出ます。しかし、爽快感があります。良い汗です。
今日とりあげた課題は「俎板(まないた)づくり」です。本来は単なる板です。しかし「づくり」です。実は、この課題は半世紀来抱いていた憧れの課題です。脚つきです。その脚と板とはダブテール(鳩の尻尾・蟻組み)で接(は)ぐものです。憧れの世界です。
この加工は難度が高いといわれています。おそらく、昔の大工さんはこれをノコギリ(鋸)とノミ(鑿)だけで仕上げたようです。想像もつかない熟練者だけに許されるものです。しかし、ルーターが使われ出したことからポピュラーなものになったようです。
一昨日、Y製材所から試作のための材料板をいただいています。しかし、気力が充実していないことから昨日の作業には至りませんでした。
実は、この加工には丸鋸台とトリマー台を使います。何れもカットした板の辺が定規になります。隣り合う辺が直角をなしていることが条件です。
僅か1°の違いが頓珍漢(とんちんかん)な結果になります。ダブテールは紙1枚の厚さに目くじらをたてるデリカシーが伴います。特に幅広の材の加工のときには、刃の角度の誤差が出口では増幅されます。
丁度、宇宙に飛び立つ2台の飛行船がスタート時点で1°の違いがあれば、彼方では天文学的隔たりが生じることに似ています。
ということで、まず、丸鋸台の調整です。単に、台の裏面の取り付け盤を移動させるだけです。しかし、実際にはその僅かの調整が難しいです。しかし、数回の試行錯誤で期待する直角は確保できます。やがてJIGの定規と丸鋸の刃が直角になります。次は丸鋸台と刃の直角化です。
その確認の後に加工材に手を掛けます。プレナーで反りを修正し、適当な長さにカットします。勿論、結果の直角を確認します。ま、何とかなりそうです。
トリマーを使う前に脚の納まる凡その溝づくりをします。これには丸鋸台を使います。勿論本番はビットを使いますが、ダブテール用の刃は根元が細く華奢(きゃしゃ)なつくりになっています。
凡(おおよそ)ではあるものの、予(あらかじ)め欠いておくことでビットの負担が軽くなることを期待してのものです。
愈々ダブテール加工です。当初考えた定規はアジャスタブルフェンスです。しかし、これだけでは不十分のようです。加工材がブレるからです。
急遽(きゅうきょ)T定規をつくることにしました。アジャスタブルフェンスと直行する辺を固定することで、加工材の4辺のうちの2辺が固定されます。
T定規とはいっても簡単なものです。正確な角度でありさえすれば材料は問うものではないのです。端材で十分です。使ってみると安定度は見違えています。尤(もっと)も、トリマー台と同じようなjigであれば更に安定度は増す筈です。しかし、とりあえず今日はこのT定規を頼りに作業することにします。
このダブテール加工は何回か練習済みです。しかし、幅広のものは初めてです。結果的には一回で満足する結果に至ります。本番の加工自体は意外に短時間です。
気を使うのはビットの位置です。正しい値を一旦設定してしまえば、その値をコピーすれば良いだけのようです。これであれば100や200の量産は可能のようです。
最後は面取りです。これは稜角の削除です。これもトリマー台で処理します。坊主面ビットで一瞬の作業です。何とか完成です。自己採点では85点の出来具合です。
この15点の内容は俎板(まないた)本体の木端(こば)面の処理です。実は、今回の俎板は幅20cmです。手持ちのプレナーでは対応できないのです。
これにはストレートビットやベルトサンダーを対応させることもできるのですが、大量を加工するとなると少し億劫(おっくう)です。効率の良い方法を考えることになります。
また、ストレスを軽減したつもりですがビットが熱くなります。連続しては使えないようです。あるいは、数本のビットは用意すべきなのかも知れません。
今日の試作もまたホテルや旅館に納入する作品づくりとの並行作業です。少し充実し過ぎているようです。
2011/07/25(月)
20:09