
「園芸事情」・・・昇龍
流石に5月です。今日も朝からの雨ですが、木々も草花も刻一刻と変化しています。イカリソウ(碇草)が花をつけ始めています。昨日までは気付きませんでした。花弁(はなびら)は白い十字形のように見えます。
サクラ(桜)が次々に花をひらいています。朝の3分咲きが午後には7分咲きになっています。ほんの数時間でガラリと変化します。
草花のニホンサクラソウ(日本桜草)もそうです。グジャグジャと密集しているのですがパラリとしています。打ち上げ花火のようです。
実は、このサクラソウは庭から見ることのできない位置に咲いています。いつも5~6段の梯子(はしご)を降りて拝見しています。
満開の盛りにはまだまだのようです。しかし、花は3~4分咲きあたりが見頃なのかも知れません。満開の花は、早晩に散ることを思わせてしまうからでしょうか。
話は飛びますが、中国に『昇龍に悔いあり』の諺(ことわざ)があるそうです。天の最も高いところを目標に登っていた龍が、その頂上に昇り詰めた瞬間、落ちることだけが待っていることに気付く、という意味のようです。花にもその思いがあるのかも知れません。
「工房事情」・・・偽装工作朝一番にK社長がお見えです。『これを夕刻の4:00まで直してください。』と、木の皿を持ってきます。
一辺が割れているステーキの台です。夕刻の宴会で使うのだそうです。面白そうでした。また研修課題としても歓迎するところです。日課の「箸置きづくり」と並行させることにしました。
制限時間は6時間です。早速、同材を探して作業開始です。まず、欠けている部分を大雑把につくります。その大雑把な状態のまま、本体と固定します。2箇所に簡単なダボを嵌(は)めこみ、糊(のり)で接着します。
与えられた時間は6時間です。薪(まき)ストーブの前で乾燥を促します。ある程度の固定を確認後、実際の加工です。外周はディスクグラインダーで荒削りし、その後サンドペーパーで整えます。
問題は内側の加工です。これもストレートビットで荒削りした後、サンドペーパーに頼りました。何とかなるものです。更に問題なのは塗装です。接(は)いだ部分が明確であれば困ります。
適当な塗料はなく、また、あったところで乾わくまでの制限があります。結局、オリーブオイルが採用されます。オイルフィニッシュのつもりです。
その前に焼き跡をつけます。修整したことを表面に出さないための演出です。これも何とかなったようです。その後再びストーブ前で乾燥させます。しかし、ここに落とし穴がありました。本体と取り付けたものに目違いが生じています。
この理由は両者の乾燥度の違いのようです。本体は普段、水で洗われていることで多少の水分が含まれているようです。それと比較して、補修材は乾燥がすすんでいるようです。この差が乾燥後の目違いとして表れたようです。とはいうものの、再びサンダーをかけることで解決します。
何となく、偽装工作に似ている感がしてきます。しかし、想像したことを具体化させることが木工の目的のようでもあります。
夕刻の4:00、K社長がお出でになります。丁度、T氏がお出でになっているところでした。両者に採点をしていただきます。前後のいきさつを理解していないT氏は、『どこか治したところがあるのですか。修正の痕跡は判りません。』、と言います。
また、依頼主のK氏は、『厨房にあるものよりも優秀に見えます。120点でも可笑しくないです。』、と持ち上げます。困ったものです。
実は、自己採点では65点ほどだったのです。ま、この世界は、喜んでもらえた分だけやり甲斐のある世界です。善し、とすべきのようです。
夜になって雨が強くなっています。気になります。実は、山にまた入りたいところでした。遠方の皆さんに贈る「ワサビの粕漬け」をもう少しつくる必要があるのです。
2011/05/01(日)
19:57