
「越冬事情」・・・村境の春
数千名の生命の消滅、安否不明の方は1万名を超すそうです。突然の環境の変化、眼前の瓦礫(がれき)、抗し難い自然の力を前にした無力感、そして目に見えない放射能等、大変な災害です。
先ほどのテレビには、アメーバーのように侵略する津波が映っています。家屋は勿論ですが、植え付け前の、綺麗に手入れされた田畑が侵略される姿には困りました。文章にすること自体に不謹慎さがありそうです。
比較の域では無いものの、昔、我が家でも「水増し」に遇っています。春の雪融け時期、台風の大雨にはハンコで押したように家の前の川が氾濫します。高床(たかゆか)にはしていますが、畳の上1mほどの水になります。
護岸工事がなされた現在は全く心配の無い環境です。しかし、その後始末の大変さは今でも思い出されます。水は一瞬に引きます。その引き際に汚泥を流さなければ、大変な後始末が待っています。
しかし、今回の津波は海水です。これまで経験したレベルを遥かに越えてます。気の遠くなる復旧作業が想像されます。お見舞い申し上げること頻(しき)りです。
テレビでは終日、地震状況を伝えています。歌舞音曲やお笑どころではない事態です。当然のことです。官房長官はじめ政府高官の皆さん、そして電力関係者は皆、作業着のコスチュームです。
しかし、どのテレビ局のアナウンサーもヘルメットをかぶっていることが少し不自然です。おそらく、打ち合わせた結果のようです。画面に映っている他のスタッフは電話片手に右往左往しています。
勿論、彼らはヘルメット無しです。事務所の中です。当然のことです。アナウンサーのヘルメットは単なる演技に映ってしまうのです。困ったものです。
被災者には恐縮するところですが、当地の今日は10~11℃までにも上昇しました。昨日まで、そして明日からの気温を考えると夢のようです。今日一日だけの春らしい日に恵まれました。庭の雪はゲソッと融けています。飛び石の一部が顔を出しています。木の根元の植木鉢が転んだ状態で姿を現しています。つい、清少納言の枕草子を思い出します。
興ざめを詠ったものに、『朝に赤く熾(おこ)っていた炭は、昼近くには白くなっている。』という一節です。
そして寺山の、『村境の春や錆びたる捨て車輪ふるさとまとめて花いちもんめ』です。意味はよく解りませんが、おそらく、故郷を離れた作者が故郷を自虐的に詠ったもののようです。
表面的には、キラキラ輝く都会の文化に対しての、一匁(いちもんめ)ほどにも満たない、素朴過ぎる田舎の様子を描いているようです。
表面的には故郷を卑下(ひげ)した詩に読み取れます。しかし、反面、その自虐性からは故郷に対するどうしようも無いノスタルジアが伝わってくるのです。
むしろ、婉曲的(えんきょくてき)に表現している後者を詠っているように思えます。雪が融けた跡には思いがけない姿が現れることが不思議です。
夕刻、茨城にお住まいのY女史から電話が入りました。これまで通じなかった相手です。水道はまだのようですが電気はさきほど回復したそうです。
ホッとしているところです。彼女にも川の氾濫(はんらん)の経験があります。ガッツのある方です。心配はなさそうです。
「工房事情」・・・ムーンリバー
先日、K女史から彼女の著書の「ムーンリバー」が届きました。今日は日曜日です。読み始めました。貪(むさぼ)るように読み続けました。敢て修羅場に立ち向かう生き方が紹介されています。
見返りを求めない、体を張った来し方(こしかた)と往く方(ゆくかた)の自叙伝です。共鳴すること頻(しき)りです。
「世のため人のため」は、体制に抗し続けてきたKUROOBIの人生哲学でもあります。これまでのお仕事も、現在の工房生活もその延長上にあるロマン追求のための旅のつもりです。
その一人旅自体にロマンがあるのです。損得を最優先とする多くの皆さんには理解し難い世界です。近いうちにまたお会いできそうです。遅ればせながら、これまで以上の敬意を持ってのお話になりそうです。
少しの時間でしたが、今日もまた木工作業に没頭しました。先日ご紹介したビットの収納ケースをつくることにしました。例によって設計図の無い工作です。往々に失敗はするものの、何よりの頭の体操です。最近のテーマは、これまで経験したことの無い手法や結果へのチャレンジを意識しています。経験済みの多くは安全圏ですが面白みに欠けるのです。
当初は、リンゴ箱のような単純なつくりにするつもりでした。しかし、材料が、秀木の青森ヒバになったことで急遽(きゅうきょ)の予定変更です。柱となるフレームにホゾを穿()うがち、側面となる板を嵌(は)めこむことにしました。
そのホゾ加工にはこれまでルーターに頼っていました。今日は新しい方法を試すことにしました。テーブルソーです。実は、当初、このテーブルソーは最も敬遠していたツールです。ゴーンと迫力があり過ぎるのです。
ところが、製材所のY社長の、『音はゴツいが、演技だけです。大したことは無いのです。』、の一言が勇気を与えてくれました。最近になって漸(ようや)く仲良しになってきました。
並行してのツールはアジャスタブルフェンスです。これを使う頻度も最近になって増してきました。やはり優秀です。一旦固定したものを基準に微調整ができます。
ホゾの幅は9mm弱です。広すぎればガフガフで、狭ければ嵌(はま)らない宿命です。その0.1m~0.2mの変化に対応します。
完成後の姿をよく想像しないまま、12箇所ほどの加工をしました。寸法を設定しさえすれば、作業自体は一瞬です。ルーターよりもパワフルで安定感に富みます。今日の楽しみはここまでになりました。
2011/03/13(日)
20:54